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入院

その頃は寒い時期でした
やさしい記憶を
ひとつ

私と同じ病棟にオイルショック時代から
抜け出せずにいるおばちゃんが居ました
クセで、トイレで自分の衣服を洗濯してしまう事もあって
看護師さんから
よく、たしなめられている姿を
見かけていました

このおばちゃん
正気になる時は、あるんだろうか

そんなことを
思う日もありました。

ある寒い夜
寂しくなり、一人でフロアにて
私は泣いていました

すると
ひょっこり、おばちゃんが目の前に。
まだ、起きてたんだ…おばちゃん

おばちゃんはまず自分の持ち物から
まだ封を開けてもいない黄色いハンカチを
その場で、私に優しい笑顔で
無言のまま、手渡ししてくださり
封を開けて使うように促すと

今度は自分のコップにココアの粉をたっぷり入れて
お湯を入れて来ると
スプーンでかき混ぜながら私の目の前に
差し出し、

封が空いたクッキーの袋も取り出して
テーブルに置くと
私の近くに座り、優しい笑顔で

涙拭いて。あったかいうちに飲んで、
クッキーも食べて。

そう言って
にこにこしながら私を見ていました

私の胸の奥が、キュッと
痛みを覚え

「ありがとう、ありがとうございます」

そう言う事で精一杯でした。
温かいココアとクッキーをゆっくり
味わいました。

コップを洗って拭いて、
美味しかったです。と
おばちゃんに返し、ハンカチも洗濯して
後日お返しします。と言うと

ハンカチは持っといて。あなたに
あげたの。プレゼント。

そう、にこやかに言ってくださり
機嫌良さそうに
その場を立ち去りました。

私は
今でも、あの時のやさしいおばちゃんを
思い出します

素敵な方です。

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本当に、良いんですか!?泣くわーー
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1985年8月24日三重県生まれ 幼い頃から幻覚が見える等の症状。統合失調症と診断されるのは大学時代。1回の入院歴あり。今は旦那さん(内縁)と猫二匹に恵まれながらも我がままに暮らす日常
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