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⑩夫の逮捕で私は救われたのかもしれない

家に入ってくるお金が足りない。
借金が少しずつ増える。
頼れる人はいない。
でも、店員と別れるつもりは無かった。
勘当された時から決めている。
この人と幸せにならなきゃ、父に示しがつかない。

色々と考えた。
ダメな事だけど、離婚して母子手当をもらう事にした。
店員と話し合って、形だけの離婚。
店員の住所だけを移して、同居を続けた。
余裕が出来たら、また一緒になる約束で。
店員は仕事に励んでくれたと思う。
お金を落としてくれるお客さんと、飲んで帰る事も必要だって、聞かされた。
そういう付き合いも多くなったが、お店の売上の為だと理解しているつもりだった。
帰宅が昼過ぎになる事もあった。
けど、特に売上が上がった訳では無い。
おかしい。

お店のお客さんの家に寄ってから帰って来ている事がわかった。
仕事終わりに遊びに来てくれる、10歳下のキャバ嬢の家。
それでも店の為だと言い切る店員。
帰宅しない日もある。
帰宅しても、洋服に長い金髪や飼い犬の毛が付いている。
こんなつもりじゃ無かったのに。
辛すぎて店員の行為を散々責めた。
とうとう帰って来なくなった。

店員に電話をかけても、全然出ない。
事前に電話番号を調べていた、キャバ嬢に電話をかけた。
いつも来てくれるのに、今日はキャバ嬢の元に帰って来てないし、店員と連絡が取れてないと話してくれた。
わかっていたけど、本人と話して怒りと悔しさと悲しさで一杯になった。
その日の夜11時頃、突然家のチャイムが鳴った。出てみたら、弁護士を名乗るおじさんだった。
店員は朝方、仕事終わりにキャバ嬢の家へ向かう途中、職質され大麻所持で捕まっていた。

お店のスタッフと店員の親友に、事情を話して彼らにお店を開けてもらう事にした。
店員は本当に外面がよく、周りの人に慕われていた。
家ではモラハラ夫だったが、誰にもその話はした事がない。
話せば全てが崩れる。
私が我慢すれば、子供も店員もお店も守れると思っていた。
けれど、我慢するのがもう疲れた。
今度は店員の全てを誰かに話さないとやってられなくなった。

捕まった次の日くらいに店員から手紙が届いた。
お店の片付けと、店員の部屋を片付けるように書いてあった。
部屋から大麻に関わるものを全部捨てた。
お店もスタッフが片付けてくれた。
その翌日、先日までウチに店員の住所があったからと、家宅捜索が入った。
後日、私も警察で事情聴取を受けた。

私は出勤前に、面会や必要なものを届けに留置所へ通った。
面会で店員と顔を合わせても、捕まった事よりも浮気が辛くて、その事で言い合ったりした。
その合間にキャバ嬢も面会に来ていたのを知った。
それでも、釈放されてウチに帰って来たら許そうと思っていた私。
3週間留置され、不起訴で出て来たが私の元には帰って来なかった。

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