
マジェルカアート
マジェルカでは、障害を持つ人と関わるという事を、一部の特定の人達による特別な行為 にしてしまうべきではないと考えています。
そのために、誰もが日々の暮らしの中で障害を持つ人と身近に関わりあえる手段として、福祉施設で障害のある人たちが生み出す素敵なアートやクラフトなどを、気軽に目にしたり手に取ることが出来る機会を創り出し、提供してきました。
といっても、”障害者が関わる良い感じのモノを良い感じに売る事” それ自体が目的なのではなく、あくまでも手段です。
目的は、障害のある人たちが生み出す製品や作品の価値を正当に評価し、適正な価格や方法で流通させるという"ウェルフェアトレード"を社会に広める事。
マジェルカでは"ウェルフェアトレード"を一貫して唱え続け、それが、障害を持つ人と関わる事が誰にとっても身近で当たり前の行為となり、誰もがフェアに関わり合える社会の実現に繋がる上で有効な方法だと信じ実践してきました。
そして今、全く未開拓ともいえた13年前にマジェルカが切り拓いた福祉の雑貨や手仕事品の市場には様々な活動やプレイヤーが急激に増え、良くも悪くも成熟してきているように思います。
そして同時に、その中でマジェルカが果たせる役割や求められることも大きく様変わりしてきたという事を強く実感しています。
今、福祉雑貨、手仕事品の市場が広がってきたのとは、きっと無関係ではなく障害者アートの活動も広がりを見せています。
ただ、製品ではない作品の世界では、観てもらうため、飾ってもらうための展示の機会はかつてないほど増えている事に対し、市場活動、要は作品の売り買いという機会はそこまでの広がりを見せる様相は見えないと感じています。
そして、そんな状況が、まるで13年前にマジェルカが活動を始めた頃の作業所製品を取り巻く状況に一部重なると感じています。
当時、作業所製品は広く一般に向けて積極的に販売しているとはとてもいえる状況にはありませんでした。
しかもその頃は厚労省による「工賃倍増五カ年計画」という、作業所に通う障害者がそこで働いて手にする収入(工賃)を高める事を目的にした事業が実施されていた時期で、全国各地で作業所製品の販売イベントが行われたり、商品開発やデザイン等々といった作業所のモノづくりや販売活動に対するエンパワメント事業が相当なリソースをかけて実施され、福祉業界の中ではそれなりに盛り上がっていたようですが、それらは「身内向け」の色が強く、少なくとも当時の私はそうだったように、福祉の外側にいる世の中の大多数の人たちにとって、その変化は全くと言って良いほど目に見えていなかったのではないでしょうか。
今でこそ多くの福祉施設が創作活動や製品をSNSでの発信やECサイトを立ち上げたりとさかんにPRしていて、情報を見つけるのも簡単になりましたが、そんな情報にはほとんど目にかかれない当時、
「そもそも作業所ではそれら製品をそんなに売りたくいとは考えてないのだろう。」
と思っていました。
また、どこか敷居が高く特別な世界にも見えてしまう福祉業界でもあることから(少なくとも当時の私にとっては)、
「作業所製品を福祉バザーや福祉ショップの他で売っちゃいけないというタブーがありそう(なんでかわからんけど)。」
「障害者が頑張って作ったモノは、「障害者支援」をアピールする為にしか利用してはいけないのかも(それもなんでかわからんけど)。」
などと本気で考えていました。
しかし、なんでかわからんそれらにとらわれることなく行動を起こし、現場の声を聞いて回ってみると、
「売りたいけれどどうやって売れば良いかわからない。」
「売ってくれるところを探していた。」
という、想像していたのとは真逆な声ばかりなのでものすごく驚きました。
下流の現場が求めている事と、業界が上流で動かしている施作にズレがあると感じました。
その結果、「じゃあ、マジェルカをやろう!」という決心に繋がったのです。
変わって障害者アートの話。
今、障害者アートの推進には厚労省だけではなく文化庁も動いて、その活動はとても活発で大きな広がりを見せています。
今や毎日どこかで必ず障害者アートの作品展が行われています。
それはそれで良い流れだと思っています。
でも、その広がりの大きさに対して、作品そのものを販売する場、買える機会を目にする事はあまり増えていません。
だから私は
「障害者アートというのは作り手や支援者にとっては、売りたくないもの、または売っちゃいけないものなのだ」
「障害者の無垢で純粋な表現活動をお金に変えるとか、そこにはなんかタブーがあるのかも(なんかってなんだかわからんけど)」
と、どこかでそういう風に考えていました。
しかし、実際作り手や現場側に話を聞くと
「作品は日々生まれていく」
「展示は嬉しいけれど終われば戻ってくるので保管する作品は増えて管理に悩む」とか、
「買いたいと言ってくれる人がいるならぜひ買ってもらいたい」
という声も存在すると知りました。
それなのに、それを知ってか知らずか、展示イベントやワークショップはたくさん行われる割に、出口に手をつける人たちがあまり現れない。
ここにも下流と上流のズレがあるのかもしれません。
そこでマジェルカが、それまで提供してきた作業所製品とは別の、誰もが日々の暮らしの中で障害を持つ人と身近に関わりあえる新たなチャネルとして、新たに手をつけたのが昨年の春始動した「マジェルカアート」なのでした。

私たちは障害者アートをもっと気軽に日常生活の中に取り入れて欲しい、楽しさをもっと多くの人に知って欲しいと考えています。
また、障害者アートを特別な場所で見て楽しむだけではなく、身近な日常空間に障害者アートを置く事が、障害のある人たちとの距離をより一層近いものに感じてもらえるのでは、とも考えています。
そして、その思いを伝えたいと考え、このたびオンライントークイベントを開催します。
スピーカーの3人で話している色々な事が「これってみんなにも聞いてもらったら面白いかもね」っていうノリでまずは実施してみる流れになったので
少々急ではありますが、よろしければお気軽にご参加ください。
土曜日の夕方、飲食しながらゆるりと参加してもらっても良いイベントなのでお気軽にどうぞ♪
