このさい屋根の話だけしよう
暇を持て余してきたので、
建築の話をしちゃお。
建物ごと、建築家ごと、のお話はたくさん溢れてるので、
この際全てを横断する、屋根の話をしたい。
特に、愛するヴォールト天井をぉぉお!
ヴォールト天井とは、
いわゆる、かまぼこ型した天井のことです。
この写真はflickrから拝借。
ボールドとかヴォールドとか、色んな言い方がありますな。
もうこれは古代ローマ時代からゴシックの時代まで、ありとあらゆる建築に使われてる、
天井の大御所です。
つまり、めちゃくちゃ使い勝手がいいのです。
何が良いのかと言うと、
柱を使わなくていい!!!
室内が広く感じられる!!
めちゃくちゃザックリ言うとこう。
そして私が最初に拝借したあの画像、
あれは、キンベル美術館、という
ルイス・カーン設計のアメリカにある美術館です。
(これは10+1から拝借…行ったことないから…)
内装にも外装にも、このかまぼこ感を前面に押し出した美術館は、近代的なヴォールト天井の使い方として満点を出してしまった。そんな感じ。
まず何も遮るものがない、湾曲したコンクリート天井。
本来なら天井の上に張り巡らされる配線や電気機器を、かまぼこのくぼみ部分(天井としては低くなる部分)にまとめることにより、湾曲した高い部分はコンクリート1枚板のようなスッキリとした姿にしてる。
それによって陽の光を直接入れられるし、床とのコントラストも本当に綺麗に映える。
天井が高い=スケールが大きくなりすぎる、という弱点?もあるけど、美術館だとそれが異空間のような面白さを醸し出すし、この建物に関しては、行ってみると実はコンパクトなんじゃないかなと思ってます。予想だけど…。
そしてそんな、異空間として普段使いとは違うような顔を持つヴォールト天井を、日本人に馴染む形で落とし込んでいる建築を発見したのが、つい数日前。
それが、これ!!!
堀部安嗣・設計の温泉宿。(城崎温泉の泉翠という所)
見切れてますが、見事なヴォールト天井。
無料開放中の新建築を読むと、
キンベル美術館同様、ヴォールト天井の凹み部分に必要機器をまとめたそう。
恐らく、廊下部分の上に見えるのは空調だと思いますが、ここに設置するのも不意をつかれるというか、見え見えのようにみえて息を潜めてますね。
そして驚いたのはこの使い方。
ヴォールト天井に吊り下げ式の照明!
ヴォールトの良さに逆行するような使い方だけど…
途端に身近に感じるというか、
安心感を与えるというか…。
これは素直にハッとさせられました。
高けりゃいい、シンプルならいい。
だけじゃない。
そのお店の雰囲気や人への寄り添いが、
この使い方でふっと湧いてくる。
暗めの窓枠との繋がりも、
これでうっすい窓枠で地面ギリギリ、もいいかもだけど、
写真のような窓のほうがもっと落ち着きを感じられる気がする。
こんなに日本の宿にフィットするヴォールト天井があるのかぁ〜と、新しいかまぼこを見ました。
普段noteは、いかに短く書くか、を考えてるんだけども、一つの天井だけでこんなに長く…。反省。
しかしながら、やはりヴォールト天井は最高!
建築は常に新しい視点と忘れかけた自分の背丈を思い出させてくれる。
また書いてみよう。
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