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癒されるべきはオトナ、それでも

映画「ファースト・ラヴ」
観てきた。もちろん、イケメン大好きはくさいのこと、目当ては中村倫也氏である。
窪塚洋介氏は若い頃に好きだった。今回はかっこいい役どころだった。若い頃のとんがった性質を抑えていて、時の流れを感じる。
そんなことはどうでもいいな、今は。すみません。
本題、映画の感想ではなく映画を観て想起したことをネタバレしない程度に言うと、トラウマの話なんである。
身も蓋もない話をすれば誰だってトラウマはあるし、PTSDに悩まされるなんて大小あってもみんな心に覚えがあるはずだ。
昨今の虚構では、というよりここ20年くらい虚構はどんなトラウマにするのか、トラウマ合戦になっていて、虚構の戦い方がどんなトラウマを主人公の属性には与えるか、に集中して消費され尽くしてきたので若干辟易している。
虚構が一回りすると、リアルでトラウマを語る人が増えた。誰もが発信出来るようになった今では、あんなトラウマこんなトラウマで埋め尽くされてる。
わかる、わかる。
私もそうだし、あなたもそうだ。
発信することで救われるなら、それでもいい、と思う。言語化は大事だ。良い時代になったよ。
発信できるまでに回復した証拠だ。言いっ放しで終わらなければいいと思う。
小説や映画はトラウマを料理して疑似体験させる働きで、人はその料理によって耐性をつけたり気持ちに気づいたりする。
SNS発信はこの回路がない分ストレートだ。
願わくば、自分の吐露だけの回路とならないようにと切に祈る。トラウマを乗り越える回路で火傷するのは本末転倒だからね。
さて、この映画には傷ついた大人しか出てこない。
ちゃんとした大人は主人公の夫、我聞(演者、窪塚洋介)だけで、出てくる大人はもれなく傷ついた大人で、こじれて捻くれている。
それぞれが子ども時代に正常な生育環境ではなかった。主人公、由紀(演者、北川景子)も迦葉(演者、中村倫也)もトラウマで苦労してきたし、父殺しを犯してしまった環奈(演者、芳根京子)は特に誰も助けてもらえない。結果、親殺しに至る訳で、とことん救いがない。
言うまでもなく、子どもは守られる存在だ。
それでも、まず癒されるべきは大人である。その上で、徹底的に守られるべきなのは子どもなのだ。
父殺しの娘を持った母親(演者、木村佳乃)彼女自身が深く傷ついていることを示唆して映画は終盤を迎える。
この母親は誰も助けて貰えなかった末(想像)に娘の心に目をやることが出来なかった。虐待の連鎖はここだ、大人が大人として機能してない問題だ。
主人公たちの心の傷は蓋をされ厳重に心の奥底に隠される。そして、折り合いをつけその事に慣れていく。現実の大人たちも、大抵はそうしているに違いない。
カサブタを剥いでわざわざ対峙はしたくないものだ。
カサブタになる前、生傷の頃は「みてみて!」とアピールしても、それが叶わず、みて貰えなかった生傷は乾いて、かさかさになってカサブタになるのだ。
自分が傷ついていることに気がつけるひとは稀で、自分が思う以上に、被害は自分を蝕んでいる。
蝕まれてしまった自分を回復するにはどうしたらいいだろうか、ひとつ提案がある。蓋をしてしまった傷に対峙は出来なくとも、ゆっくりと癒されていく回路についてだ。それだけではないと思うし、誰もができることでは無いけれど、傷ついたという自覚があるならやってみるのも手だ。
自分より小さきものに優しくしてみてほしい。
たとえ、向こうから何も返して貰えなくても機械的に優しくしていく(疲れない程度でね)
結果的に、これが自分を癒す近道になるのではと思っている。
自分が癒されることよりも、癒す側に回ることで自分も癒すことになる。
出来るくらいなら、と思うかもしれない。
それでも、試してみてほしい。
あとは、自分は守られることがなかったことを噛み締めて、自分だけは自分に優しくすることだ。
それを他人に求めないで、基本は孤独に対峙する。信頼出来る人がいるなら支えて貰えば良いと思う。
依存になるなら、それは諦める。
自分を愛して、守るべき子どもや、自分より力が弱いものを大事にすることは必ず自分を癒す。
繰り返しの悪夢は、大人が断ち切る。子どもに背負わせない。それも出来ないくらいに疲弊したなら、他者に頼ろう、それが出来なくなる前に。
何を当たり前のことを滔々と、と思われたかもしれないけれど、認知には段階があって自明のことも知らない人にははじめての出会いなのかもしれないから、色んな手だては必要だ。
指摘しておきたいのだけれど、虐待の連鎖を恐れる人は沢山いる。自分が同じことをしてしまうのではないか、と恐れてしまうのはとてもよく分かる、それでも大丈夫だ。繰り返しの呪いには、情報が役に立つ。
今では、心理に対しても研究が進んでる。
少し手だけを伸ばせば、自分を助ける言葉や人に手が届くよ。
多分、有史以来こんなことが繰り返されて来たのだと思う。
今、大人と言われるひとたちは、この瞬間にでも、つらい子どもたちに目を向け、できる範囲で支えていくことで自分を癒してほしい。
原作未読で、映画を観た範囲で想起されたことをつらつらと書き綴ってしまったけれど、こうして辛かった経験に向き合う作品が増え関心を持つ人が増えていることを嬉しく思う。
子どもは口を(言葉を)持たない。そして傷に気がつけていない。大人が、見つけるしかないのだ。
それがオトナなのだから。
子どもが最優先される未来を当たり前にしたい。
虚構や、現実でトラウマを吐露する人たちの経験が役に立ち、少しづつ優しい世界が訪れる気が今、少しだけしている。

#子ども未来部 #虐待 #ファースト・ラヴ #中村倫也
#窪塚洋介
#PLANETSCLUB

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