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透明な人間を顕在させてくれたこと

遠方に住む娘のところへ、バスで向かっていた車中、部長の訃報を知りました。11月始めの頃です。
あれから、少し経ちました。いろいろ考えをまとめるつもりでつらつら書いていました。
毎日午後4時になるとTwitterでお知らせがきます。そのbotを見る度、部長を思い出します。
「遅いインターネット」web記事を読んだ感想をシェアするのに4時くらいにアップすると読んでもらえるので、開始の意味で部長が作ってくれたわけです。botは毎日お知らせしてくれます。制作者が居なくなっても。その度、思い出してしまうのです。

私は、特になにか出来る訳でもなくどこの場所に居ても面白いオバサン認定されるか、存在自体忘れられることもしばしばで特に頭の良いとされる男の人にはあまり良い印象がない。目に入ってないか、私は透明なのかもしれない。まァ紳士が周囲に居ない環境という自体お里が知れる。ということなのかもしれませんが。
接客業なので横柄な人に接することも多いです。歳をとると慣れたり諦めたりできるようになります。男女関係なく、相手によって態度が変わるなんて当たり前にあるし配慮されないか、逆に接待されるか、接待されるような年齢になってくると相手をしてくれるだけでもありがたいことです。
子育ても終わり、時間が出来て興味のあったオンラインサロンに入りそれなりにコンテンツを楽しんでいましたが、ひときわ楽しそうに活動しているクラブ内活動があり憧れていました。
それがランニング部です。
「楽しそうだな」
ウォーキングはずっとやっていたけどランニングをする自信はなく。
それにランニング部はキラキラしていて自分なんかが入れるような部では無いとずっと思っていました。
それでも走り始めてみました。
そのうち憧れのランニング部に別のzoomで顔なじみのメンバーが気楽に誘ってくれ、嬉しくて調子に乗って入部出来ました。
ランニング部の部長はクラブでもキラキラで、仕事できるオーラ全開!クラブの皆さん紳士淑女なのは承知しているけれど、若くて賢い部長はこんなオバサンの入部なんて「あ、どうも」くらいの出来事なんだろうな、と思っていて。
ところが我がランニング部の部長はそんな矮小なことを考えるような小さな器ではなかった!
こんなオバサンの入部でも心から歓迎してくれました。
丁寧に親しみをこめて対応してくれているのは、zoom越しでも伝わってきました。
私は物凄く感激しました。
居ても居なくても「あ、いたんだ」くらいの反応しかない。ぞんざいに扱われるのに慣れているので部長に敬意をもって対応して頂いたことに感激!
敬意を払ってもらえる。とは、とてもステキなことなのです。関心のない人に丁寧に接することは案外大変でものすごく難しいことなんです。
経験上、わかっているので期待せず。むしろ若くて仕事ができる人は慇懃無礼なんじゃないかと勝手な印象で、色眼鏡で見ていたのはこちらでした。
ものすごく嬉しくて、ここに居てもいいんだァ。と安心しました。キラキラランニング部は、もっと深い意味でキラキラでした。
イベントもnoteを書くのもモチベーションがあがりました。ランニング部の編集会議は読んだ人からリアクションがあります。部長はもちろん、皆に指摘してもらったことはすぐ反映できます。中でも忌憚なく言ってくれた部長は本当に素晴らしい。
だからこそ、褒められるとものすごく嬉しかった。
入った時に流行っていたinnocentのジュース。残念だけど田舎では売ってなくて仲間に入れず。
朝出るランや、次々出てくるアイデアのイベント。楽しくてでしゃばるつもりはなかったのにいつの間にか大騒ぎするオバサンに。
部長はそんな私でも邪魔にしないで取りこぼさないように配慮してくれていまして、さらに感動です。
でもそれは、私にだけじゃなんですよ。
部長は誰にでも、そうなんです。
それが本当に素晴らしくて憧れました。
そうそう出来ることでは無いです。
仕事でも後輩をどう伸ばすか心を配り、自らの知見をどう渡すか苦心されていました。日本一の賞をとった時。後輩を導きながら進めた企画だったと仰っておられたのが印象的でした。ご自分で紹介のnoteを書かれています。

仕事で活躍するだけではなく。
クラブメンバーでまわす、DJzoomでは、みんなを楽しませるエンターティナー!この回は本当に楽しかった。
アメリカ大統領選の時は、zoomで集まってカピバラの映像をみんなで眺める会を企画してくれました。世間の喧騒なんかどうでも良くないですか。この時は誇らしかったですよ。バカ騒ぎを他所にカピバラで和むなんて。楽しかった。
トレイルランのリアルイベントは率先して動画を作ったりしてリーダーシップをとっておられた。
参加はしてないけどきっとみんなが快適なように充分配慮されていたのだと思います。
地方在住の私は、羨ましいなァ来年は絶対行きたい!と心に決めていたのに。
コロナは上京の機会を奪いました。

愛犬をこよなく愛し、韓ドラに感動する。
クールそうな見た目とうらはらな部長、一度部長からかけられた言葉に反省しました。
韓ドラの「RUN ON」最初と最後を視聴する会で、ヒロインの髪型(長い髪を片方で垂らす)について、「これ面倒臭いんだよね」と発言したら「そこは我慢するんですよ」呆れたように仰った。すっかりオバサンが板について、オシャレも面倒臭いになっていたなァと反省して、少しはオシャレに気をつけるようになりました。

楽しくなればなるほどランニング部の面々や部長とリアルに会いたい気持ちは募ってきます。今年のはじめは秋には行くぞ!って思っていたけれど、事態はそう思うようには行かず、リアルイベントはいつになるやらといった世界線。
春先、部長からおやすみされる、ということを聞きました。体調が思わしくない。とは聞いていたけれどそこまでとは思っておらず、心配になりましたがすぐ戻ってこられるものと思ってました。
Facebookの皆さんからのコメントの多さが部長の人徳を物語っています。
しばらくして、一旦良くなられ、これからリハビリだということを伺って胸を撫で下ろしました。
しかし、期待に反して部長が戻ってこられることも、様子を伝え聞くこともなくなっていって、
どこかで何か起こっているのかもしれないと感じていたのかもしれないけれど。まさか、という気持ちの方が勝っていました。
部長のお母様からの友達申請にピンと来なかったどころか、良い方の知らせなのかと思ってしまう鈍感さが私の無神経なところで。
訃報は交通機関での移動中で、娘のところに遊びに行く予定で、ワクワクしていた気持ちは一気にしぼみました。
若い部長の運命に、涙が止まらなくなり。衆人環視の中ずっと涙を流し続け、最寄り駅まで迎えに来てくれた娘が訝しむのに「部長が、亡くなった」としか言えず察してくれた娘はずっとさすってくれました。
すぐ浮かんできたのは、こんなオバサンが何だかぼんやり生きているのにあんなに有能で優しい若い部長がなぜ。ということで、でもそれは言っても仕方ないことだとすぐ考えを振り払いました。こんなオバサンさんでもムスメやムスコの母なのだもの。
理不尽、なんです。
こんな風に理不尽に命はなくなっちゃうんです。
会えるときに会いたい人には会って、やりたいことはやっておかなければ、あっという間に失ってしまう。
まだまだやりたいことがあっただろう若い部長、私は、もうそこまで特にやりたいことも無い歳になってしまったけれど文句を言わず生きていきます。すぐ弱音を吐いてしまいますが、そんな時には思い出します。走り続けるのも意志を継ぐことだし、やっていこうと思うけれど、膝は無理をさせてくれそうにありません。走るのはできる範囲で無理せずに。幸い我がランニング部は部長スピリッツを持った紳士、淑女ばかりでどんな立場でもウェルカム。むしろ無理なく参加してくれと注意してくれる人達ばかり安心です。
私がやらなければならないのは、それ以上に部長にしてもらったこと。部長にしたら息をするように普通のことかもしれないこと。
人を尊重して、敬意を持って接すること。
これを念頭に置いて生きていこうと思います。
会いたかったけれど会えなかった部長、さよならです。ちょっとだけでも関われて幸せでした。
ありがとうございました。

#PLANETSCLUB  #ランニング







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