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人と違うのは目指すけど、人より良いのは目指さない。 ー 夜景撮影会レポ

先週行われた「夜景をキレイに撮る撮影会」に参加してきました🌃
別所隆弘さんのアツくて面白いトーク、聞いているだけでワクワクしました。いつもの写真撮影でも覚えておきたいポイントをたくさん教えていただき、ためになること沢山。

イベントは前半に別所さんのプレゼンテーション、後半はグループで街に繰り出して撮影会という構成でした。
このnoteも前半は講義パートについて別所さんの言葉をまとめ、後半は私の感想や撮影したPixel写真などを中心にまとめます😄

会場の雰囲気(HUAWEI P20 Proで撮影)
本レポートに掲載する写真は切り抜き以外の補正なし、スマホで撮影した写真を基本的にはそのまま使います。では講義パートへ!

Q.風景写真と都市夜景写真の違い

風景写真の一番大事なところ、考えなければいけないところは何でしょう?
あまり言われないけど、実は大事なことがこれ。

・風景写真は3分の1 空。つまりブルーバックになる危険性が3分の1 ある。情報が欠落している部分が3分の1 あると使えない
・雲ない時は頭抱える。いい感じの雲が欲しい
・ない時はそこに人が入るように撮影したりランドマークを入れたりする

これが都市夜景になると

・夜になると空全体が黒いモノトーンになる
・写したいのは下の光量が明るい部分、でも下に向けると歪んでしまう

窓の外に見える"下界の景色" …😇(Pixelで撮影)

では都市夜景はどうやっていけばいいのか?が今日の話!

ポイントは「直線と円」

自然風景にはまっすぐな線は無い。絶対に歪んでいる。
完全な円形・楕円形もなかなか無い。

都市は逆、直線ばかりで円も見つけられる。それを構図化していくのが魅力・面白さ。
風景写真の中に都市夜景を考えられることが多いが、実はまったく違う。

↑この写真、夜景の写真だけど、実は風景写真っぽい。

↑これぞザ都市夜景って感じ。都市はキッチリ見せていかないといけない。

↑この写真は、道やビルがちょうど東京タワーに視線を誘うような線を作っている。少し角度を変えただけでこの線は見えたり見えなくなったりする。

幾何学と数学と物理のロジックが都市夜景を成立させている。
その秩序を写真の中に入れるというのが、都市夜景の難しく面白いところ。様々な引き出しを作っていって欲しいというのが今日の一つの話。

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1. 直線の魅力

わかりやすい。見た瞬間バーンとなる写真が多い。

こんな風景、自然風景には無い。
被写体勝ちという感じだが、そこをどう見せるか。
水平線が大事。水平線は都市の秩序を作る基本。傾けるなら傾けるだけの必然性がある。それくらい直線は強い。

写真自体がそもそも「直線の美学」
構図を切るというのは、90度の直線で四隅を切るということ。そこですでに秩序を与えている。その秩序を乱す斜めの歪みは必然的でない限りリスクが高い。ではどういうのがあるかというと…

↑あえて傾けた写真。消失点を作ってカーブを広角レンズで歪ませた。

↑水平で撮るとトンネルに見えるが…

↑斜めに傾けると落ちていく穴に見える。傾けると不安定で、まるで覗き込んでいるように感じる。

水平線を歪ませるとどれだけ効果が出るかの例の一つ。それだけ直線が強いということ。だから直線を見つけるというのが大事。

こんな写真。整然としている感じしません?

写真家がその整ってる感を出そうとしている。
ポイントは「信号機」人は注意を引きつけられて境になる。ここを中心に2種類の直線が合流している。

ちょっとズレるだけで歪んでしまう。2種類の直線が秩序を作り、それが快楽を生んでいる

人間の計算で自然に勝ってるんだなという、争う人間って感じ。
人間が作り出してるんですもんね、都市。改めて思うと人間っておかしい。新宿ってすごいですよね。Pixelで撮るとエグいんで、ぜひお楽しみに。


2. 円を探してみましょ

なさそうだけど、探せばある。円があるだけで持ってかれるんですよね。

これどこだかわかる人いますか?

これあべのハルカスなんですね。あべのハルカスは関西の夜景スポット。下から見上げたら色々な形があるし、上の展望台に登れば大阪の街のシンボルが全部撮れる。

都市自体の機動性を秩序づけているジャンクション。
これはヘリ飛ばさないと撮れないけど。15分5万円くらいで飛ばせたはず!上から見ると人間って円を上手に使ってるんだなと思う。

円があるだけでみんなの目が引きつけられる。

ヘリが無くても、何気ないところに。

あるいは例えば楕円形。これは縦と横の中に丸があるから気持ち良い。
こんな大きなものじゃ無くても例えば…

円の柔らかさと三角形、傘一本あるだけで色々な秩序を与えられる。

円もなければ直線も見つからないって時は例えば

↑魚眼レンズで水平線を円のかたちに歪ませている。地球の丸さを強調しているような感じに。

↑もっとやると、円周魚眼。みんなが知っているランドマークを入れると、元は直線であることを知っているので、円になる意味がある。

↑組み合わせてうまくやるとこんな感じ。手前に円、向こう側に直線。
コンテストで「幾何学の持っている美しさが強調されていて面白い」とコメント頂いた。

都市の中で直線と円を見つけるというのは、夜景を撮る中の基本戦略の一つ。それをうまく組み合わせることで無限の可能性がでてくる。

よく夜景写真で「同じ場所でしか撮れへんやんけ」と言われるが、確かにここから撮ったら同じような写真になるけれど、例えば角度を変えたり下の階から撮ったりというのを組み合わせて、自分が見出した形・秩序みたいなものを出していくことで違う写真が出来上がるのではないか。


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3. Q&A - 参加者から事前に集まった質問

Q. noteのオススメの使い方
ー 心のたけを思いきりぶちまけてください。
ツイッターやインスタはある方向性に寄ってくる。例えば写真家だと、だんだんフォロアーが増えてくると写真以外出せなくなってくる。燃えるの怖い。noteだとゆるくフォローしてくれるからやりやすい。

Q.機材がどんどん高性能になっていくなかで、写真としてのオリジナリティはどの程度意識されているかお伺いしたいです。
ー 人と違うことはめっちゃ意識。出来るだけ考えないようにしているのは「人より良い写真を撮ること」
それ考えると順位競争になってしまって、いずれ闇落ちする。魂がダークサイドに堕ちないためには、人と違うのは目指すけど、人より良いのは目指さない。

Q.スマホカメラの限界を別所さんの知識をフル活用して教えて欲しいです。
ー スマホカメラの限界は「便利なこと」
おそらくPixelがこのまま進化したら、ほとんどのカメラを駆逐する。そのくらいの能力がある。5年後くらいには「Pixelで撮ればいいじゃん」という世界がくる。
ところがその便利さでできないことが、カメラでできること。
フィルムカメラは不便なのに滅びない。それは、不便さの持っている余裕と深みみたいなものが残されているから。
カメラはレンズを変えるのに埃が入ったり面倒くさい。Pixelだったらパッと撮ってエミュレートできてレンズ交換の必要が無いような世界が来るけれど、その便利さがスマホカメラの限界であり、面白いところ。

Q.写真をとり続ける理由(横の人にも聞いてみてください!)
ー 写真って撮った時の感動が共有しやすい。
撮影地に来たら、大抵みんな黙ってお互いのことなんて存在しないように撮ってるんだけど、太陽が昇って撮り始めたら急に「うおーめっちゃ綺麗ですよね!」とか会話が生まれる。感動の共有が面白くてやっている。

Q.夜景を撮ることのオススメの場所や、夜景の撮り方
ー この後Pixelを触ってください!Pixelがあったら三脚もいらないしこの夜景もめっちゃ綺麗ですよ。

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4.そのほかの幾何学性

↑この写真、何を機能させているかというと
上から下を覗いた瞬間に直線が歪み始めたんですよね。なので秩序…それに耐える形を見つけようとウロウロして三角を見つけた。構図が安定する。

↑だらんとした夜景で辛いところはあるんですが、台形(あべのハルカスで撮影。実は右上に大阪城が写っています!)

↑これもヘリからの空撮です。ここが来るのを待って写真を撮った。
川の作っている楕円形、それが進む先に消失点がある。斜めから撮ってるのに安定している不思議な構図。自分で撮って後から面白いなと思った作品。

かつての貿易センタービルから撮った。前の部分がもわんと囲われている。楕円形。

カーブも面白いですね。

↑こういうやつ。S字型の一部を撮ってヴァンと入れる

↑もうちょっと引いたら、人間の目線を誘導する逆S字型。

これは、三角形が綺麗に出るように撮った。無秩序な世界に秩序を与える

↑もうどうしようも無い時…空の月を使いましょう笑

↑人間がいつでも手に入れることのできる秩序ってあるんです…星の運動!
下に重い金堂があるのに上がこんなに黒抜けしてたら不安定。星を連ねることで秩序も感じられる。

↑それもなければ…天の川使いましょう!下の都市もモヤモヤになってるけど、直線で立っていて、天から愛された都市みたいになってる笑

世界に秩序が与えられるのが都市夜景のポイント。その与え方に皆さんの腕と経験とセンスがかかってくるのが一番面白い。
風景写真とは違うロジックで動いている。


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📷後半 夜の六本木に繰り出し夜景撮影会!

ここからは、去年の11月にグーグルが発売したスマホ「Pixel 3」を持って2-3人のグループで撮影に飛び出しました。

配られた筐体、可愛い
ツヤっとしたところとマットな質感。さりげなく入っているGのマーク。横にあるアクセントカラーのボタンも実物はさり気なくてお洒落。幅が狭いので画面が大きくても持ちやすいです。

いざカメラを起動して、夜景モードに切り替えて撮影!
被写体に向けて数秒まつと、こんな感じ!手持ちで普通に撮影です。

え、明るっ!この時19時半くらいなので、ちゃんと夜なんですけど目で見るより明るくくっきり撮れます。
ちなみに明るいところは撮影時間が短く、暗いところは長めになります。撮影時間が長くなるといっても、"シャッターが開放されて手ブレしちゃう"という訳ではないです。

ついでに手持ちのP20 Pro と比較してみましょう。P20 Proもライカレンズを積んだ、写真撮影では評判の機種の一つです。

Pixelの方が明るくシャープな仕上がりになっています。撮影中のアニメーションもこぎみよくサクッと撮れてる感じ。
P20 Proの方は色がナチュラルで目で見たイメージに近い印象。中ほどに光条が出てますね。

なるほど確かにPixelの方は「新しい」写り方や可能性を感じます。目とは違う印象でサクサク撮れるので、撮影していて楽しいのです。

見てくださいこれ。昼のように明るい!

ネオンもいい感じです。

迷い込んだ階段に…

鮮やかなディスプレイ!

折り重なった構造体のカーブや

紫陽花!これ夜8時すぎにスマホだけで撮影してるんですよ。

色々撮影しました!(Pixel 3 で撮影)

今回参加して感じたのは「撮影会、楽しい〜〜〜!」ということでした。
普段スナップ撮るくらいで撮影会自体が初参加で少し緊張していました。が、撮影会を終えて別所さんが言っていた「撮影してて"うおーめっちゃ綺麗ですよね!"とか会話が生まれる、感動の共有が面白い」という言葉、こういうことなのかしら!と早くも実感しました。

知っている人も知らない人も混じってグループになり、共通項はたぶん"写真が好き"ってことくらいですが、一緒に「どこ目指しましょうか」なんて相談しながら、ゆるく撮影しながらの散策は今までにない面白さでした。
また撮影会とか、してみたいなぁ。

それから、夜景モードの撮影もすごく楽しくて魅力的でしたが、今日のPixelの紹介で気になったのが
Googeフォト - 無制限にオリジナル解像度でアップできる、という点でした。これ何気に嬉しくないですか!?

Googleフォトなら設定しておくだけで自動で写真をバックアップしたり、写っている人を覚えて名前を設定すると写っている写真を探せたり、写真整理がとても便利になります。
が、通常は "高画質アップロードは無料で無制限" 。オリジナルサイズは容量が多くなると課金が必要です。これが無料で無制限だとオリジナルを手動バックアップする必要もなく、写真整理の手軽さも変わりそうです。

余談ですが、Google フォトの魅力の一つに「アシスタント」というものがあります。↑こんな感じに自動でコラージュして「3年前の今日」なんて出してきたりします。うちの子は今3歳で、こんな赤ちゃんの頃の写真を見返すと涙ものです😂大きくなったなぁ〜。

他にも連写やビデオからgifアニメを作ったり、自動でアルバムにして提案してくれたり、スタイルを適用したものを提案してきてくれたりと楽しいので子育て世帯にGoogle フォトはとてもオススメ。

昔のインターネッツで見たようなgifを作って提案してくるgoogle先生。

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話を戻し、イベントの最後は別所さんの作例紹介。

↑上のガラス屋根に写った景色と構造体がとても綺麗。

↑車のライトで照らし出された影がシャープで、独特の写り方が面白い

↑円と楕円の組み合わせを強調するために、あえて地面の景色は外したそう

↑白黒にしても、また違った雰囲気が出ます

↑フィルタを使って色を強調するのも手軽にできて面白いです

↑毛利庭園にあるハートのオブジェも…

↑逆に、思いきって切ってしまうことで、違う見え方になる。水面に写り込んだ景色で、螺旋が続いていくようなイメージに。


…最後のハートは、個人的に衝撃でした。独特の切り取り方と秩序の与え方で、同じ時間に同じ景色を撮影していても、その人らしい写真の撮り方や個性があるんだなと実感しました。これも面白い発見でした。

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さいごに

『幾何学と数学と物理のロジックが都市夜景を成立させている』
『自分が見出した形・秩序みたいなものを出していくことで違う写真が出来上がる』
『人と違うのは目指すけど、人より良いのは目指さない』

などなど、とても印象に残る言葉がたくさんあった前半の講義パートも、Pixel片手に夜の六本木に繰り出した後半パートも、とても面白くて学びがたくさんありました。
新しい写真についての考え方を、引き出しに持って帰れた気がします。(それを自由に使えるかは今後の自分次第…!)

新しい技術をワクワクしながら試してみたり、続けていくことが大事なのかな…と30半ばにして感じていたので、その瑞々しい気持ちをもって
人と違うのは目指すけど、人より良いのは目指さない」(今回一番刺さった言葉)スタンスで、地道に楽しくやっていきたいな!と思いました。

別所さん、noteのみなさま、グーグルのみなさま、貴重な機会をありがとうございました😘
お読みくださった皆さん、ありがとうございました😄

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