Don’t be nice, be kind! ほんとうの優しさとは #heydesignersnight 中編

hey desiners night Vol.2 レポート中編です。前半は↑こちら。

niceとkindの話

久下:
デザイナー同士でも、エンジニアやビジネス職の人でも意見が食い違うことがあると思います。褒めるの大事とされてるけど「無理やり褒めて言いたいことぼやかす」というのは親切なのか?Nice(ナイスガイのナイス)とKind(親切)について。

Taido:
さっきプライベートで二人で話してたことなんだけど、会社やプライベートでも自分は好き嫌い割とはっきりした人間というのは気づいてると思うんだけど(笑)

みなさんフィードバック聞くのは怖いんだと思う。
フィードバックもらうのは自分が間違えたことをしたり悪いことをしたからと思ってしまう。学校でもそう習ってきて悪いことをした時と覚えてしまってる。正しい、間違っている…。
しかし「間違い=悪い」という考えはグロースマインドセット(伸びる考え方)じゃない

それを防ぐため今はみんな優しくてナイスな方法で一緒に仕事をしている。フィードバックが悪く受け取られないシステムがある。
「褒め言葉+フィードバック+褒め言葉」というフィードバックサンドウィッチというやり方

それはナイスなやり方だけど、bullshit(クソ)だと思う。なぜならフィードバックサンドウィッチは相手のためではなく、自分が人を傷つけたくないからやることで、自分勝手
それだったら don’t be nice, be kindであるべき。優しさより心を持って、その人のためにということがあってこそ。

例えば「このフォントの使い方は正しいと思わない」と伝え、理由を与える。レイアウトとしては割合が大きすぎるのでフォントの大きさを変えたほうがいいと具体的な方向を示す。ライトアップキャンドルという。方向をしめすということ。
それは僕は人のためにいってると思っている。別にそれが酷くてダメなのではなく、成長を助けたいという気持ちがある。

上野:
Taidoさんと以前Evernoteにいた時の逸話がある。ある時もとのデザインをEvernoteが出していたが「こういうデザインにしてほしい」と日本企業がプッシュしてきた。
それを「絶対違います」とTaidoさんが押し返していたことがあった。その時「ユーザーが見たときどう思うのか」を常に言っていた。自分たちの都合ではなく、ユーザー・使う人がどうか、体験が変わるからという話をしていた。

Taido:
ミカさんが言った通り、フィードバックをきつく感じたかもしれないが、はっきりいう事は悪気ではない。これをやると成功しない、今の体験が損なわれてしまって、そうなるとプロダクトやビジネスにも回ってくる。CRが落ちるとかSign-upがなくなるとか、ビジネスの理由もつく。

自分の成功以上にパートナーの成功を考える。何が間違って何を言いたいのか言って、次にどう直したらいいのかステップ・アクションを与えるのがいいと思う。

デザイナーは作ったものをパーソナルなものに感じている。自分の魂を込めて作ったもので思い入れが強くなると、傷つけられたような気になってしまう。
が職人として作ったものに対してフィードバックを受け入れることは自分の成長にもなるし、納得して認めて聞くべきだと思う。デザイナーだけでなく、何かを作る人間は全てそうかも。だから Don’t be nice, be kind !

久下:
あそこにいるコイニーのリードデザイナー松本は、作ったものは世の中的によく褒められる。けれど最初いろんな人にぼこぼこにされる。
彼は「一番最初につくったデザインは駄作な可能性が高い、だから甘んじて受け入れる。個人攻撃をしてるわけではない、だからみんなもフィードバック受けた方がいいよ」とチームに言っている。それに近いのかなと。

Taido:
そう、フィードバックもらう時にリアクションが純粋な場合は間違いないし、理解してそこで終わらせずに「なぜそう思うのか」その目線から理解しようとすべきだと思う

久下:
デザイナーがビジネスを立ち上げようとすると、小手先の話になりがちだけどそんなんじゃないと。

Taido:
そんな簡単にビジネスたちあがるならみんなやってます!(会場笑)
自分も新しいビジネスやプロジェクトを立ち上げてるけど、Noが80%!意見合わないとか、社長にボコボコにされたりとか。

でも自分の意見を持っておくべき、poit of viewを持っておくべき。上司が言ったから「あっ、そうですね」ではなく、自分の考えの理由をきちんと伝えるべき。こういう考えがあって、こういう方向性があってデザインしてると話す。
それに対して何か言ってくるのはあくまで人の意見。社長でも上司でも他人。必要があればパートナーとして話すべき。立場によって自分が劣ってるというわけではないし、自分の方が長くやってる場合もあるし、リサーチもしてる。逆に、その人のために教えるべきではないのかと考える

人の意見に従うだけになれば、それまでのリサーチやパートナーにも申し訳ないことになる。だから「なぜこうした方がいいのか」説明する。説得のチャレンジをするべき。
個人のコアバリューとしてあるのが continue to change others. 他の人にいつでもチャレンジしていく。悪気ではなく、人をより良くするために、デザイナーとして人間として父として友達として、よりよくするためにチャレンジしていきたい。

僕の1番の恐怖は、来年いまと同じ場所にいること。成長していないということ、現状満足は職人・クリエイターとして毒。だからプッシュ、チャレンジしていくのが大事!

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質疑応答

Q1 : UXのプロセスについて
レストラン予約や検索、マッチングなど色々やっていたとのお話でしたが、それぞれのプロジェクトに対して「こういう体験を提供したい」というゴール設定を、そもそも誰と話しているのか?
ビジョンの話とコンセンサスを取るためのアウトプットはどういうものなのか詳しく聞かせてください。

Taido:
レストラン予約の具体的なプロセスとアウトプットについて。
これは最初はインキュベーションプロジェクトのような感じで担当しました。本当に役に立つのか、何がairbnbの体験をよくできるかというチャレンジクエッションからはじまりました。宿を借りて、次に何ができるのか?

まずチームを作り上げるところからはじまりました。チームがなぜ必要なのかbuy-in、リーダーシップから必要だったのでプロポーザルを作りました。そしてCEO、プロダクト、ボードと話し、ワンページャーになり、プロダクトプラン、white paperから始まって、プロトタイプを作り、何十個のアイディアの中からアイディアのtop5を考えてユーザージャーニーを作りました。
アイディアは、ブレインストームのテクニックを使いチームで1週間、様々なアイディアが出ました。

"Every Frame Matters" (全てのストーリーのフレームを大事にすべきだ)という言葉があります。
行動を具体的にイメージします。例えば友達と初めて旅行に行くことを想像します。現地に着いて現地の言葉を話せない。「どこに食べに行こうか」「どうやって移動したらいいかわからない」となる。そのギャップを見つけ、どう埋められるか考えました。

それは何かということでプロポーザル、プロダクトやフィーチャーがある。しかしフィーチャーで終わらせたくない。どうやってビジネスにするのか?もう少しbigger pictureになるためには何がいる?

それを自分が最初に言ったwhyにつなげていく。End to End Tripを良くしていくというwhyにつなげる。
次にHow。「移動方法をより良くする」「外食を楽にする」
それがwhatになった段階でプロポーザルを何個もだしてユーザージャーニーにして作ってく。そこからは場合によっては個人やグループにして作っていく。

久下:
bigger picture というのは、メンバー全員でコンセンサスをとる?

Taido:
メンバー全員の合意をとるのは難しい。
1回目で「これでいこう」となるのは絶対ないと思う。もしあるという人は、多分パートナーが本当の意見を言えてない、正直なフィードバックを話せる環境が作られていないのかもしれない。それはそれで解決すべき問題。

本心で話せる環境ができているのであれば「私はこう思う」「プライオリティはこっちの方が高いのでは」などの意見が出るのが自然。それがあるからこそ自分のアイディアにチャレンジできる。そういう意見を引き出すことこそリーダーシップがするべきチャレンジ
何回かdivisionした上で、みんなが賛成してなかったとしても、これやろうという方針を決めて進める。


Q2 : 正直なデザインフィードバックを伝える雰囲気の作り方とは
デザインクリティックの話で、正直なデザインフィードバックを伝える環境が整っているとのことですが、それはランドさん自身で進めてるのか、会社としてすすめてるのか、それともジョインしたチームで新しく自分が推していって工夫や雰囲気を作り出してるのでしょうか?
雰囲気の作り方で工夫しているところは?

Taido:
チームは個人でできている
。なので、カルチャーは個人同士で作り上げるもの。最初つくってもらって「どうぞ」ってものではないですよね。
責任はチームの個人個人にある。そしてカルチャーをすすめることは会社のすべての人にあたえられた責任です。

自分のリードしてるチームにはオープンな環境をすすめている。フィードバック簡単にできる、正直に話せる、みんなの意見が通じるチームにするのは自分として重要にしているので推している。

チームのカルチャーが変わればグループのカルチャーも変わる。すると会社のカルチャーが変わっていく。

会場の方 :
個人がはっきりものを言うのがプロとして当然という前提の上で仕事をされてるのかなと思い。想像ではairbnbにいるだけで採用段階で凄い人が集まっていて、当然このくらい出来るという環境なのかと

Taido:
会社やチームは個人で出来上がっている。"当然"っていう言葉は、他人やグループが押し付けた考えや意見。自分が賛成してなくても作られた意見。つまり外部の人間にパーミッションを与えてしまってる。それによって自分を変えなければいけないというのは僕としては論理的におかしいと思う。
だから「当然にみんなが出来る」というのは当然ではない。自分なりの期待や自分のベースをコミュニケーションすべき。

しかしAirbnbの僕での経験は「オープンに話そう」という意識があって、もともとカルチャーとしてそう作ろうという意思があり、それが進化している。それはファウンダーから、最初のチーム、採用しているメンバーも同じコアバリューを支える意識があると。

「戦う」っていうとネガティブなイメージがある。戦うという訳ではない、意見や考え方のちがいは普通のこと、クリエイターが同じこと考えていたらみんな仕事ないですよ。
"おれ対おまえ"とかではなく2人の人間がいて、違いを理解していく会話が何より大事。

会場の方 :
「戦うではない」という価値観が形成された原体験はTaidoさんの中で何なのか?価値観ができたきっかけを聞いてみたい。

Taido :
「自分の価値観のために戦え」という表現は英語でもある。が、自分の考え方が変わったのはチームを作りはじめた時。
みんなコミュニケーションのしかたがちがう、リレーションシップのレベルや深さが違う。話し方の違いで、言ってることは同じなのに「意見が違う」と感じることがある。

戦いは「誰かが勝って誰かが負ける」という意識がある。自分のアイディアのために戦って勝ちいいプロダクトができたとして、ゴールからふりかえってどうなのか?次のプロジェクトを一緒にやれるのか?

やはり勝ち負けではないと思う。当時の意見が合わなかっただけで、誰も勝つ必要はないんだと思う。リーダーシップとしてわかり合うことが必要。理解して受けて、前に進むべきなのでは。

久下:
相手がファイティングポーズをとってくる場合はあるから、合意をとるためにこういう話をしておくの必要かもね。

Taido :
この前同僚に新しいアイディアをプロポーザルされて、色々聞いたり提案したりしていて。僕はもう受け入れてサポートしているが、彼はファイティングポーズをとっていた。そういう場合はちゃんと「ヘルプしてるよ」というのを説明する

いま僕が聞いてることに彼が答えられるようにサポートしてる、僕がこれを聞かなければいずれ他の誰かも聞くぞ、もし社長に聞かれたらどうするのか?その時チャンスは一度しかない。と伝え、何よりもあなたのパートナーとしてどうやってサポートできるかという話をした。

本当のリーダーは前だけではなく場所を変える。前だったり後ろだったり一緒に横に立ったり。それが重要だと感じる。

彼の場合は横に立って足りないことを補うことが必要だった。「なんでそんなにもめてるの?もう僕は賛成しているよ」と話しかけた。
そしたらファイティングポーズはなくなって、逆に事業の相談をもっと受けるようになった。

彼は後輩でまだ1年もいなく、僕は3年以上いて色々なチームとやりとりしてたから、誰と話たらいいのか、この人は何を探しているのか、どう伝えたらやりたいことの成功のためにヘルプできるか、自分のポジションをコミュニケートするのが大事かと思う。
戦い、勝ち負けの発想は人生損なんじゃないかと思う。

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ポジションや肩書きに関わらず、人として、パートナーとしてコミュニケーションに努めようとするTaidoさんの真摯な姿勢、勝ち負けでなく人のためになること、次のプロジェクトを一緒にやれることを、という言葉から
Taidoさんは長い目で人といい関係を築き、いいプロダクトを作り、よりよく生きることを実践しているように感じられました。

本記事は3部に別れています。次は「自分の人生をデザインしよう!」(最終回)です。
熱いお話、まだまだ続きます。

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