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「まだあったかい」とつぶやいてまるかぶり

ぼうっとしていてバスを乗り過ごした。1停分とはいえ少し距離がある。

今日は特別風が冷たい。意地になっているわけじゃないけど、まだ暖冬の今年はコートも出していない。ヒートテックすら出していない。薄手のブルゾンには刺すような風が身に染みる。

道すがら「芋」のシンプルな立て看板を発見。飛び込んで紅はるかと安納芋の焼き芋を購入。乗り過ごしてみるもんだなあ。

約束まで時間があったので一旦実家に帰宅した。祖父に安納芋をあげる。
「まだあったかい」とつぶやいてまるかぶりする。「うまい」と一言。普段文句を言うことはあっても、めったに褒めることがない祖父なので思いがけない言葉に驚いた。
なかなか実家への足も遠のいてきているけれど、また帰ってくるときには買ってきてあげよう。

焼き芋を片手に幼馴染の家へむかう。
彼女は今年結婚式を控えており、ドレスを手作りするのでアドバイスが欲しいとのことでしばしあれこれと話し合う。
ついでに今まで作った洋服も見せてくれた。お気に入りのワンピースから型紙を起こしてコピーしたというワンピース。片方ポケットがちゃんと縫えていなくて穴が開いてるの、というがとてもしっかりしたパターンと縫製でびっくりした。わたしなら勉強していない時、独学でこんなにしっかりきっと作れなかったなあ。

最近は何か作っていないの?と聞かれたが何も作っていない、と返すと「昔からあなたがモノづくりしていたから私も始めたのに」とつぶやかれなんだかむず痒くなる。

彼女がとってくれたLサイズのピザ(12ピース)を目の前にこれぐらい行けるでしょうと食べ始める。結果8ピースで限界を迎え、私たちの実力はこんなもんだったのか、としばし満腹の余韻に浸る。

後ほど、彼女がオーブントースターで芋を温めなおしてくれた。安納芋はねっとりとしていておいしい。あとから食べた紅はるかは、お互いに顔を見合わせた。まるで蜂蜜を食べているように蜜たっぷりでスイーツだ!と堪能する。二人で芋とついでに一つのMOWを交互に食べる。
焼き芋の概念を覆えすマリアージュ。至福のひと時。またドレスの進捗を楽しみにしているね、と家を後にする。

夕方寄った時には、母がまだ帰宅していなかったのでもう一度実家へ戻るが、母の車がないのでそのまま帰る。
バスは15分後しかない。待ちぼうけても寒いだけなので、一停分歩く。それでもバスまでまだ時間があるので結局3停分あるいた。体が温まった。

帰宅すると腰を下ろしてとりあえずスマホをいじる。これこそ一番時間の浪費だなあと思うがスマホをいじってしまう。この時間を有効に使えればいいんだけどなあ。アレクサおやすみ、と声をかけて就寝。

普通の人の毎日はその人だけのもの。人の暮らしに興味があります。なので自分も書き残してみることにしました。いつか文フリに出るときの貯金にします。