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憧れお姉さん

中学生の頃、毎朝すれ違うお姉さんがいた。
すれ違うのだから、方向は逆、お姉さんは駅まで歩くし、僕は歩いて行ける中学校。
見るからに清楚で優しそう、きれいなお姉さん。

だんだん、すれ違うたびに、お互い、少し笑って頭を下げた。
すれ違いが出来なかった日は、本当にガッカリした。
やかましいだけのクラス女子なんて、目じゃなかった。

高校生になって、やっと並んで駅まで歩くようになった。
チョコチョコと天気の話程度は歩きながらする。
その程度で、すごくうれしかった。

ただ、電車の中では、お互い離れてしまう。
お姉さんの周りは、女子高生が多いし、僕の周りは悪友だらけ。
寂しいけれど、どうにもならない。

そんな通学生活も一年で終わった。
お姉さんは、大学生になり、乗る電車も違う。
寂しい通学生活となったけれど、いつの間にか、僕にも彼女が出来た。
お姉さんのことも、やがて忘れてしまった。

しばらく、半年ぐらいして、電車の中で、お姉さんとバッタリ会った。
ただ、僕も彼女を連れているし、お姉さんも彼氏と思わせる人と一緒。
ちょこっと目が合い、恥ずかしかった。

それでも、駅は一緒。
家に帰る途中まで一緒に歩く。

「可愛い彼女だね」

「はい・・・あの方は?」

「うん、単なるゼミ仲間、あの人も彼女いるよ」

「へー・・・」
少し安心した。

「ほっとしているし、気に入らないなあ」

「意味わかりません」

「ふふん、私に黙っているから、今度邪魔してあげる」
「じゃあ、またね!」

お姉さんは、クスクスと笑って、投げキッスまでして角を曲がって行った。

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