ようやく鑑賞できた「DANCER」

先週末に鑑賞。以前noteに「絶対観たい」と予告編を載せてから、どのくらい経ったことだろう。2回目だから、前回と少し違うUPLINK版の予告動画をupすることにする。

 息子の才能を早くから見抜いた母親をはじめ、家族皆が彼の教育のために全てを捧げて来た。期待に応えてセルゲイは史上最年少でロイヤルバレエ団のプリンシパルとなったのだが、離れ離れの家族は崩壊してしまう。子どもにとって家庭の崩壊がどれだけひどい痛手となるかということをまざまざと感じた。天才バレエダンサーだって同じなのだ。孤独に耐えて厳しい練習を続けたのも、成功すれば家族皆の笑顔に囲まれて暮らせると、少年は信じていたというのに・・・。踊る目的を見失い、成功の挙句にバレエ団を退団し、彷徨う姿は本当に痛々しかった。

 家族が撮影していたのか、幼い頃のセルゲイの表情があどけなくて可愛らしくて、胸がきゅんとした。無垢な天使のような表情が、やがて苦悩で引き裂かれるのだと思うと苦しくなる。

 ロイヤルバレエ団のステージ前に、楽屋で痛み止めやエナジードリンクの類をあおるように飲み下し、「ハイになれ!ハイになれ!」と自身を叱咤し、黒マントを翻して出ていく姿も忘れられない。

 バレエは好きな芸術の一つだが、そんなに詳しいわけでもない。そんなわたしの目にもセルゲイの踊りが並外れて美しいということが映画を観ていてよく分かった。群舞の集団と比べると、とても大きく優美な動きで目立っているのだ。関節の可動域が広いのは生まれつきらしいけれど、腕も脚も伸びやかに大きな弧を描き、滞空時間が長いジャンプ、ぶれない回転!実に美しかった。若く才能溢れる人を見るのは、どのジャンルでも喜びだね。

 「ヌレエフの再来」と言われているらしいセルゲイ・ポルーニン。ヌレエフとはルドルフ・ヌレエフ。よく知らないのだが、「愛と哀しみのボレロ」でジョルジュ・ドンがヌレエフをモデルとしたバレエ・ダンサーを演じていたのが印象に残っている。ジョルジュ・ドンのボレロは圧巻だった。横道それているけど、ボレロならば、シルヴィ・ギエムも素晴らしいね。
 ヌレエフの動画を探したら見つかった!うん、ジョルジュ・ドンと似た雰囲気。

 軌道修正!・・・つまり伝説的な名ダンサーを彷彿とさせるくらいセルゲイ・ポルーニンは逸材だということだ。

 さて、名声を捨ててバレエから離れたセルゲイ・ポルーニンはどうなったのだろうか。
それはドキュメンタリー映画と言えどネタバレかもしれないけれど、再び笑顔を取り戻し家族と再会を果たすことができて、ほっとした。

 有名な「Take Me To Church」の振り付けは彼の親友の手によるものだと知って、友情にも感動!