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「これがやりたい」と言うことで、涙が出てしまうこと。

2月に行われる、高校生たちの次回公演に向けてのオーディション。
ひとりひとり、全員の前で名前と希望する役を言ってもらうところからはじめました。

途中、ひとりの子が、自分の番が来たときに顔を歪めている。
どうしたのかな?と思っていると、「希望の役を変えていいですか。」
良いよと答えたけれど、その子の顔は不安なまま。声は震えて、質疑応答に答えながら涙が流れる。

どうして希望の役を変えたの?
「前回練習した時、この役がやりたかったけど、うまくできなくて。周りの人からも他の役の方が合うと言われて。周りにそう言われるなら、その方がいいのかなと思って別の役を第一希望にした」
「前回の公演でも色々迷惑をかけたから、そうなるくらいならやめた方がいいかなと思った」
「できなかったらどうしようと思うと怖くて怖くて。けど、やっぱりやりたいって思った」

今話していて気持ちがばーっと出て来たと思うんだけど、なんでだと思う?
「考えていただけじゃなくて、それを実際に伝えたから。」
「今も怖くて怖くてしょうがないけど、誰にも言ってなかったことをここで伝えられて、少し安心したのもあると思う」

何度も涙をぬぐいながら話してくれた。

自分の中にある自分の「やりたい」を大事にできたこと。
それを伝えるために声を出したこと、気持ちを伝え続けてくれたこと。
うん、うん。と聞いていたけど、わたしの心はずっと動かされていた。

やりたいことをやりたいと言う。
好きなことを好きと言う。
わたしはこれを、2016年頃の目標にしていた。
目標にしています、と周りに言わないと、そう動けないくらい怖かった。

そんなわたしには、彼女がとても眩しかった。
その子だけではなく、みんな眩しかった。
自分の意思で、自分のやりたいことを「やりたい」と言っていた。
立ち上がって、声を出して、伝えようとしていた。
素敵だった。

ああ、この子たちから、教わってばかりだなと思った。
今日も大事なことを教えてくれて、ありがとう。


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