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終わってしまった世界の魅力 / 「ポストアポカリプス」という世界観


世界はいつか終わる。


…29歳が書く文章の書き出しとして、実に相応しく無い一文。
今日はもう少しだけ話させて欲しい。

あてのない物思いに耽る時、一体いつまでこの文明世界は続くのだろう、
なんて考えたりする。
私の寿命が尽きる方が先になるだろう。

その
「世界が終わった後」
にとても惹かれるんです、という話。


ディストピア? ポストアポカリプス?


並べたら呪文のようになってしまった。

まとめてしまえば、これらは皆「終末もの」と括られるジャンル。


フィクションの世界において大規模な災害や戦争が起き、文明社会が完全に崩壊する様、その直後を描いたもの。作品によっては、文明社会が完全に忘れ去られた後の遠い未来、「その後」の世界に生きる人類が描かれていたりもする。


アポカリプス、という言葉自体は

黙示(もくし、古希: Απōκάλυψις、希: apocalypsis、アポカリプス)は、初期のユダヤ教およびキリスト教において、神が選ばれた預言者に与えたとする「秘密の暴露」、またそれを記録したもの。黙示を記録した書を黙示文学(もくしぶんがく)という。      (フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)

上記の「黙示録」の意味から転じて、「世界の終わり、終末」という意味も持つ。


よく聞く似たような響きの言葉に「ディストピア」がある。


▶︎ ざっくりとしたまとめ

・「完全に全てが一度終わった」世界
 =ポストアポカリプス
・「理想郷のような完全管理社会だが、人としての尊厳は尊重されていない」世界
 =ディストピア


フィクション作品のモチーフとして、どちらもよく使われるものだ。
たまに一緒くたにしている人を見つけてはモヤモヤしてしまうので、備忘録がてらここに記しておいた。


「本当に終わった街」から惹かれる理由を考えた


「ポストアポカリプス」的な空気を持つ街がある。
それが、プリピャチだ。

ウクライナ北部、チェルノブイリ原発事故によって50,000人もの住民が避難した無人の街。
1986年 4月26日までは市民が穏やかに生活していた街が、そっくりそのまま残されているという。

75もの小中学校には、今も教材や備品がそのまま残る。

象徴的なのが、事故の5日後に開園予定だったという遊園地。

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ここに集うはずだった、幸せな人々を想う。
交わされるはずだった、優しい会話。
幸福の中心として、廻り続けるはずだったカナリア色の観覧車。


全てはもう叶う事はない。
この街は、朽ち果てるのを待つだけ。

「未来」が本当に無くなったその姿は、
切なく寂しい限りなのに、尊く見えてしまう。

自分が今生きる世界が、いかに鮮やかで刹那的なものなのかを実感する。
明日もまた同じ世界で生きられるかなんて、
誰も知らない。

物言わぬ「終わった世界」が語るそれは、手垢のついた「世界はすばらしい」とかそんな言葉よりもずっと雄弁だった。


「終末後の世界」 擬似体験オススメ作品を2つ。


まとめ代わりに、お気に入りのポストアポカリプス作品を。


▶︎ NieR:Automata(ニーアオートマタ)

【プロローグ】
西暦5012年。突如として地球にエイリアンが襲来し、侵略を開始。人類はエイリアンと彼らが繰り出す兵器「機械生命体」の手によって地上を追われ、月への退避を余儀なくされる。生き延びた人類は奪われた地球を取り戻す為、アンドロイド兵士による抵抗軍を結成。衛星軌道上に設置した基地群から反抗を開始するが、十数回に渡る大規模降下作戦を経てもなお決定的打撃を与えることができず、戦況は数千年に渡り膠着していた。この状況を打破するため、人類は決戦兵器として新型アンドロイド兵士「ヨルハ機体」を開発。それらから成る「YoRHa(ヨルハ)部隊」が編成され、戦線へと投入されることとなる。 (公式HPより)

ほぼ人類文明が衰退した世界で、アンドロイド「2B」がエイリアン文明に立ち向かう…というのが表立ったストーリー。

ただ歩き回っているだけでも満足しそうな位、そこかしこに人間文明の残り香を感じる風景が美しい。特に好きなのは砂漠地帯に現れる集合住宅の廃墟エリア。
ゲーム中音楽がさらにこの世界観を美しく見せてくれる。必聴。



▶︎ DEATH STRANDING(デス ストランディング )


デス・ストランディングという現象により崩壊した世界が舞台。「帰還者」と呼ばれる死亡しても黄泉還りが可能な特殊体質を持ったサム・ポーター・ブリッジズは、そんな世界で孤立した人々のため、単独で物資を配達する仕事をしていた。

「メタルギア」シリーズで有名な小島監督作品。
ほぼ崩壊状態のアメリカ合衆国を再び繋ぎ直すべく、「ネオ歩荷」のサムとして必要物資を配送したり、テロリスト集団とボコスカ戦ったりします。
各キャラクターを演じる俳優、声優が名優揃い過ぎて「没入感があり過ぎる映画」といった所。
終わりかけた世界で生きる人間たちの生き様を見て欲しい。


擬似体験で「終わってしまった世界」に浸れる2作品です。

改めて「世界」の美しさに触れるのも悪くないはず。
よろしければぜひ。


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