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47. 帰省できない年末年始にスカッとできる映画3選

年間100本映画を観ることを自らに課して10年目のわたくしが、映画初心者のために「なりたい気持ちで映画セレクト」する企画、THREE FOR YOU。今日のお題は、友人の仕立屋さんのYさんから、閉塞感たっぷりの今年の最後にふさわしいこのお題をいただきました。

僕は日々ストレスを溜め込むたちでスカッとしたいんですが
今年は実家にも旅行にも行けず退屈しそうです。
そんな僕におすすめ映画あったら教えてください。

急遽年末の帰省を取りやめたYさん一家。おせちってなんだっけ??と思ってしまうほどの初めての帰省なしのお正月ということで、やることに困る人も多そう。映画は、やっぱりそういう時間違い無いですからね。色々と悶々とすることの少なくなかった今年の最後ですから、あんまり小難しいことは抜きで、かつ2人のお子さんに有害なエログロバイオレンスな「スカッと」はなしで、3本選んでみました。

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LIFE!

2013年公開
監督:ベン・スティラー
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雑誌社のさえない管理部門おじさん。廃刊を目前にして最終号の表紙を飾る写真がどうしても見つからない。運悪く、撮影した写真家は世界を放浪しながら写真を送ってくるのが常で、今も世界のどこにいるのか判らない。はからずもウォルターは写真家に会うために現実の冒険をすることに…。

人はいつだって、勇気があれば人生の主人公を生きることができるという物語。失敗を恐れずに世界に飛び出す。なかなかできることじゃないし、いつも勇気を使い続ける必要はないけど、本当に大切なことを目の前にしたときに、踏み出せる人にはちゃんと世界は応えてくれる。そんな、世界はよいところだと思える、旅に出たくなる一本。今年はただでさえどこにでもいけなかった年だからなおのこと。國分功一郎さんが、「刑罰の歴史を紐解けば、人間にもっともダメージを与えるのは、”移動の禁止”であることは明確」とNHKのコロナ特番で言っていて、それくらい僕らは何気に、今年疲れているんだと思う。一番怖いのは、コロナが開けた後も、心がすっかりコロナに飼いならされて億劫に衰えてしまって、どこかに行く気力が戻ってこないことなんだけど、そんなこと忘れるくらい、飛び出したくなる一本です。この映画から感じる「スカッと」は、”いつだって誰だってやったら変なことなんて、ほとんどなんだ!”ということ。2021年、旅行はまだまだ難しいかもしれないけれど、踏み出す勇気を再燃させられる1本。

スパイダーマン : スパイダーバース

2018年公開
監督 : ボブ・ペルシケッティ / ピーター・ラムジー / ロドニー・ロスマン
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スパイダーバース

あるアクシデントから、時空の崩壊を救う使命を負ってしまった高校生が、悪の組織に立ち向かうお話。

表現が半端ない映画。ストーリーも荒唐無稽でスピード感満載の展開。それを全部表現で持ってっちゃうすごいアニメ。昔、初めてスーファミのマリオ見たときみたいな、次元が増えちゃったものを見せられて「やべー!すげー!」って男子が言い続ける、アドレナリン出ちゃうあの経験に近いものがあります。視覚がただただ気持ちよく、見ているだけでスカッとする、映画本来のカタルシスが味わえます。この映画から感じる「スカッと」は、”見ているだけで気持ちいい”ということ。ストーリーは、「信じて待つんじゃ無い、信じて跳ぶんだ」という感じで、1本目と同じく、踏み出せ!っていう青春ものでございます。

ファンタスティックMr.FOX

2009年公開
監督:ウェス・アンダーソン
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元泥棒のキツネの父親が、より輝いた生き方を求めて大農場主の人間に一世一代の盗みを仕掛けるお話。丁寧なストップモーションアニメに気が遠くなりますが、それくらい細かくて作りこまれた美術に持ってかれます。独特の風合い。子ども時代のジオラマとか立体造形好きの自分が観たらヘビーリピートしてたでしょう笑 一方で主人公の行動動機が「野生の本能」とか「ファンタスティックでありたい」とか、しょーもない男性性に基づく感じで、奥さんキツネが呆れながらも諦めてついていく感じとか、理屈っぽくなくていい。この映画から感じる「スカッと」は、”理屈や必然性なんかなしの、「やりたいからやる」ってことを、最近やれてますか?”ということ。「べき」「べからず」がすごく多かった今年。不自由さと、一方での「自由すぎてどうしたらいいのかわからないこと」も少なくなかったりで、「意思決定疲れ」が溜まっているように、僕は感じてます。年を越すときにその疲れは置いていきたいと思うと、「それは、ファンタスティックなのか?」で意思決定するキツネのお父さんに学ぶことは実は多い気がします。ある意味、怪盗モノのストーリーなので、一世一代の大作戦をファンタスティックに見られる一本。

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「やりたいことを、やっていいんだよ」と思いたい。今年はそんな悶々がたまりやすかった一年だなと、自分が選定した3本を客観的に見て、自分の精神状態がよく見えてくるなと思います。移動や行動の自由を封じられても、心だけは自由でありたいと思うと、映画は心の自由をもたらしてくれる最高の2時間だとワタクシ、今年はかえってそのありがたさを痛切に感じたんですよね。映画館にはなかなかいけない1年で、新作封切り本数も少なかったのはなかなか、寂しい年だったけど、それでも100本見れたのはよかったです。そんな中から選んだ、スカッとの3本、是非是非ご覧くださいませ。

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