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なみだの隠れ家[詩]

とろとろと そして ぼたぼたと 
垂れた雫を
受け止めてあげたい、と そこに紫陽花(アジサイ)。

こちらに手を伸ばす無数の萼(ガク)に掬われて
涙はそっと玉になって、ころころと滑り込む。

ゆく先は しずかな繭に
つつまれて じっと馴染む
そこは、まるで 隠れ家のようだ。

受け止めるたび、ふるえる萼(ガク)たち
ふふふ、と笑った気がした。

”不”安ー”不”遇ー”不”平等 
いろとりどりの”不”の中で
守られて、許されて、生きている。

私も。あの子も。


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*atogaki*

今年は、近所の神社で沢山の紫陽花を写真に収めました。

写真を撮っていると、さやさやと軽い雨が降りました。
紫陽花はその雫を受け一層艶やかに美しくなり、
その姿に「いいよ。おいで。」と抱擁してくれる
母のような清らかさを感じました。

紫陽花の真ん中にはもしや何があるのかしら、
という神秘的な気持ちと、
その時、ちょうど窮屈な想いを抱えていたので
それが吸い込まれていくような気がして、この詩を描きました。

『不』という漢字は、
花の萼(がく)の形にかたどる象形文字だそうです。
花弁のようにみえる美しい
大きな大きな萼(がく)を持つ花、紫陽花。

そこにもまた、どこか包容力や誇らしさやを感じました。

あさき まほろ

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