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明日もまたあなたに朝がきますように[詩集]

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あさき まほろの詩集です。 誰かにとって、お守りとなるような言葉のつながりをめざして。少しずつ更新していきます。
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記事一覧

しゃぼん玉/漂白剤[詩]

しゃぼん玉 作りましょう

つー っと 吐息 注いで

まあるく まあるく

くるくるくるーって 色彩が 

ぺかぺかと 笑いながら

こころもとない 境界線を 流れていく

旅立つときは どこからみても

円であれば それだけでいい

なるだけ 遠くに いってほしい

私の 気持ちだけ ぷるんっと はなれて

なるだけ 遠くへ いってほしい

「しゃぼん玉[詩]」

* * *

わた

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分度器は[詩]

分度器は[詩]

なりたいな と思っているうちは
本物ではないなとわかっている

たとえば わたしは
レースのような
せっけんのような
白になりたい

何色かに見蕩れるということは
確実にそれじゃないのよね

「誰かより」という尺度があるなら
その分度器はどの方向から刺し込むの?

迷う力があるうちは
まだ冷静さを保っていられるから
あなたはあなたの側にいてもいいのよ

「分度器は[詩]」

*atogaki*

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かげろう[詩]

かげろう[詩]

赤く熟れたトマト
あなたにも届けてあげたかった 

という間に
サッと季節は過ぎて

夏の日差しは贈り物
揺らめいて 

ちかっとする
でも そこには なにもなくて

ただ眩しい、と
戸惑う間に

人は勝手に
成長するものだから

どうかそのまま
煌めいて  煌めいて
駆けて 駆け抜けて

「かげろう[詩]」

*atogaki*

8月も終盤、今年も夏が終わりそうです。

夏野菜、父母が畑をや

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コインランドリーの詩[詩]

コインランドリーの詩[詩]

その空間にひとりぼっちだ。
外はザアザアぶりだ。
これは何かの罰だなあなんて思ってしまう。

ザザンパシャッ
ザザンパシャッ と、波打つ水槽に
少しだけ余裕がある、一人分の生活が回る。

ぐるんと回る。
たまにちょっとだけ引っかかる。

”ああ、大人になったなあ” と
”みんな、しっかりやっているのになあ”
右へ左へ ふたつの呟き、顔を出す。

特に後者は
古びたタオル、
洗面器の湯に
つけたよう

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波[詩]

波[詩]

人間関係は”波”みたいだなと思った

たっぱん たっぱんと 

じゃれてきたと思ったら 一気に引いて

追いかけようものなら 逆さに逃げて

ワアアっと盛り上がり 泡のように消える

それなのに 遠くで 

大きなうねりとなって 鳴いて

わたしを  呼ぶ

ひたひたと 足首まで 浸かって

心地いいような でも

前へ進もうとすると 足枷のように 

しがみついて 重たいので

なんともい

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なみだの隠れ家[詩]

なみだの隠れ家[詩]

とろとろと そして ぼたぼたと 
垂れた雫を
受け止めてあげたい、と そこに紫陽花(アジサイ)。

こちらに手を伸ばす無数の萼(ガク)に掬われて
涙はそっと玉になって、ころころと滑り込む。

ゆく先は しずかな繭に
つつまれて じっと馴染む
そこは、まるで 隠れ家のようだ。

受け止めるたび、ふるえる萼(ガク)たち
ふふふ、と笑った気がした。

”不”安ー”不”遇ー”不”平等 
いろとりどりの”不

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かざぐるま [詩]

かざぐるま [詩]

すきま だらけ でいいの

だから 回るの

か ざ ぐ る ま

曲がってて いいの

ちょんと とがってても いいの

風と手を取り 空を統べる

あなたの 歪さは

そのための ” つ ば さ ”

『 か ざ ぐ る ま (詩)』

*atogaki*
もうだめだ、と思ったとき。
誰かの言葉を受けて、
自分が再び回りだす瞬間を感じることがある。

その誰かの助言から、ひとつふたつ・・ぽろぽ

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それは、焼き立てのパンのように[詩]

それは、焼き立てのパンのように[詩]

考える余白が好き。

だれかが「うーーーん」と唸る。

その先に、新しいセカイが

ひとつ誕生しようとしている。



「うーーーん」と唱えるその一秒は、

まるで、グラスにジュースが

コポコポと注がれていく様子・・?

と思ったけど、

どちらかといえば、

それはパンが焼きあがる美しさ、そう思った。



まぜて、こねて、のばして、

ねむらせて、ふくらませて、

じっくりと、じっく

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