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人間さえいなければ地球は美しい?

こんにちは。「まほらbo」で国語を指導しているゆか先生です。6月のテーマは「環境」でした。まずはスライドで問題提示。

1 美しい自然、生き物のスライド、動画
 子どもたちの目はキラキラ。画面にくぎ付けです。地球って綺麗!
2 公害、森林破壊などを中心にしたスライド、動画
 え?人間ってひどい……。
3 新型コロナウィルスの感染防止の為、人間が社会活動を休止。
 空気が澄み、動物が闊歩する。もしかして、人間さえいなければ地球は美しい?

子どもたちには少しショッキングな内容です。でも知らないまま、または教科書でたんたんと学習するよりも効果的ですし、何より新型コロナウィルスの影響で、自然にとっては良いものもあったという事実は、記憶に残る事でしょう。

第1回授業の様子↓

さて、その次は「ぼくがしている環境破壊」
宿題として、子どもたちに「間接的にでも自分がしていると思われる環境破壊」を書いてきてもらいました。鉛筆を例に出したせいか「森林破壊」が多かったので、もう徹底的に「木」に注目。

紙を使うのも環境破壊?
家具も木だよ。
木の実も食べるよね。

あれ?木を使って生活しているのは、人間だけじゃないよね? リスは?きつつきは?ビーバーは?

第2回授業の様子↓

では、彼らは環境破壊をしているの?

「していない気がする」

みんな一様に答えます。

そこで、ビーバーに注目し、彼らが大量繁殖した河川で森林が大きく破壊されているニュースを読みました。10万匹は殺傷処分しないといけないとのこと。あれ?ビーバーも森林破壊しているんじゃん!

そこで、人間の立場からビーバーに文句を言ってもらいました。

木はできるだけ少なくして。もう少し節約して。
なるべく木を使わないよう、家を改良してみて。
木を倒すのは、使う分だけにして。
勝手に次々とダムを造らないで。

この時ある子が気づきました。
「あれ?ダムって、人間も作っているよ」
これって、ビーバーに文句を言っているんだよね?
みんななぜか不思議な気持ちになってきましたよ。

ここで、1つの事実を公開。動物と言うのは、こんなに急に異常に増えません。生態系の絶妙なバランスにより、増えた動物は、えさの不足により、または食物連鎖で上位にいる動物により、自然と元のバランスに戻っていくのです。ではなぜ、このように急激に繁殖したのか?

なんとそれは、人間がこの地にビーバーを運んだからなのです。良い毛皮が取れたら売れるだろうと、最初は十数匹の持ち込み。ところがもともとビーバーのいない土地。当然天敵もいません。エサは豊富にあります。それでこんなに増えてしまったというわけです。外来種の増える仕組みを伝えました。日本でも様々な外来種が生態系を崩していますね。でも、外来種というのは、その土地に旅してきたのではないのです。人間が連れてきたのですね。

今度はビーバーの立場から人間へ文句を言ってみましたよ。

君たちが持ってきたくせに。地元に返してよ!(なぜかビーバーっぽい声)
ダムを造らないと、家が流されちゃうんだよ。
余計なお世話です。人間に木を切る資格はない。
家族が大勢いるので、1つの家では狭いんです。
10万匹も殺すなんてひどい!!

両方の意見を出したあとは、ひとりずつ考えます。

自分にできることはあるかな?宿題にしました。
そして、ひとりひとり、発表

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・消しゴムで消して紙を再利用する
・本を汚さないようにきれいに読む
・ペットを最後までかうこと
・何にどれだけ使うか考えてから使う
・ワークショップに参加する。

一人として同じ人間はいません。大人が下手に導かなければ、こんなにも様々な回答が出るのだと改めて関心しました。

たしかに、大人には物足りないと感じる答え、矛盾と感じる答えもあるでしょう。でもその感覚って、本当に合っているんでしょうか。

例えば3年生の「消しゴムで消して紙を再利用する」
この案は、幼いと思いますか?
最近は、インクを除去して紙を再利用するコピー機も出てきました。考え方は同じじゃないですか?
そして私は何より彼の「消しゴムで消すより、木を切る方が時間がかかる」という考えが正しいと思います。大人は、コスパ、一人当たりの時間で考えるから、環境破壊につながるんです。そしてこの視点をもった彼はこれから「木を育てるのはもっと時間がかかる」ということに気が付いていくことでしょう。

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