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放課後まほらbo第六話 学習を支える鍵「メタ認知」とは

【第六話】
■自分との対話
■メタ認知の役割
■メタ認知の育み方
放課後まほらboでは、子どもの自立した学習を目指して、「自己調整学習の力」を整えるため、自立の基礎となるメタ認知を高める工夫をしています。

■自分との対話
 前回、落合さんは「暗闇の素振り」の説明に、視覚から入る情報を遮断して、神経を研ぎ澄まし、ひたすらバットを振るといわれていました。自分自身の身体と対話をする求道者の姿に私は感動しました。そこで、いよいよ自己調整学習の3つめの要素としてあげられる自分との対話「メタ認知」について考えたいと思います。メタ認知の概要について奈良教育大学のホームページでこのように紹介されています。
 メタ認知の「メタ」とは「高次の」という意味です。つまり、認知(知覚、記憶、学習、言語、思考など)することを、より高い視点から認知するということです。メタ認知は、何かを実行している自分に頭の中で働く「もう一人の自分」と言われていたり、認知についての認知といわれることがあります。メタ認知には、肯定的、否定的といった2つのはたらきがあります。 

メタ認知イメージ

●メタ認知の関連図(奈良教育大学ホームページ)

■メタ認知の役割
 メタ認知が学習になぜ必要なのかは、少し振り返るとイメージできます。自分を客観的にみるということは、例えば、「あぁ面倒くさいなぁ、勉強なんてやめてしまおう」と心の中で思ったとします。すると「でも、いま止めてしまうと明日の学習発表がうまく出来ないかも知れないから、もう少しがんばろう。」と、自分の中のもう一つの声が励ましてくれます。これが肯定的なメタ認知の役割です。よく考えると私たちは常に、自分の中のもう一人の自分と対話しながら、色々なことをすすめているのがわかります。ときに励ましてくれたり、ブレーキをかけてくれたりしながら、より良い選択が出来るように私たちの行動の方向付けに関与します。その力が、弱まったり、バランスを欠いたりすると、いわゆる「キレる」状態になるのです。それだけでも、もう一人の自分と対話する力が重要なことがわかります。また、否定的なメタ認知は学習を阻害する要因にもなるため、肯定的なメタ認知を高めることが大切になるのです。

■メタ認知の育み方
 それでは、どうしたらメタ認知を高めることが出来るのでしょうか。学習に関することで、東京大学名誉教授の市川伸一先生にお尋ねすると「振り返りをすることです」と教えていただきました。授業のおわりに「わかったこと、できたこと」「まだわからないこと、むずかしかったこと」を振り返ると、自分の理解状況を把握することになります。厳密に把握できなくても、授業を受けて自分はどこまでわかっているのか意識することにはなります。それによってわかっていれば自信になりますし、わからないところが見つかれば次の授業への意識が高まることになるでしょう。つまりどちらにしても、意欲にもつながるというわけです。また客観的に自身の理解状態を確認することが出来ると、学習方略のブラシュアップにもつながると思われます。自己調整学習の他の要素に大きく影響を与えるのがメタ認知といえるかもしれません。毎回の授業で振り返りを取入れると、そのメタ認知を高める多くの機会をつくることが出来ます。これが、放課後まほらboで振り返りを重視する理由です。これまで自己調整学習の3つの要素である、動機付け、学習方略、メタ認知、について触れてきました。
 次回は、自己調整学習の効果について。
では。
 
(みやけ もとゆき/もっちゃん)