麻雀イメージ1

【麻雀統計データ】見た目枚数が違うときの両面リーチのアガリ率(1章 序文および巡目に関するデータ)

研究者

研究代表者 nisi
研究協力者 とつげき東北みーにん

1-1.はじめに

 これまで、データに基づく戦術論では、「先制門前両面聴牌はリーチしろ」などという言い方に代表される通り、両面聴牌を一括りで扱う傾向がありました。それに対して、こう思う方もいたかもしれません。

・3枚見えの36待ちと0枚見えの14待ちでは結構アガリ率が変わるんじゃないか。
・同じ2枚見え14待ちでも1が2枚見えなのと4が2枚見えでは全然違うのではないか。
・同じ2枚見え14待ちでも、場に2枚切れているのと自分で2枚使っている亜両面では違うのではないか。
・巡目が変われば、どうなるか。
・副露者がいたら、どうなるか。
・ドラ待ちやドラそば待ちだと出にくいのでないか。
・その他、場況の良しあしなどで変わるのではないか。

…など、単純に先制両面聴牌といっても、いろいろと考えるべき要素が多くあります。
 今回は、クロス集計という、複数の条件を課して、詳しくデータ分析をするための手法を用いて、先制両面リーチのアガリ率が種々の条件ごとにどのように変化するのかを見ていきます。
 今回の記事は主著者nisi、共著者とつげき東北、みーにんでお送りいたします。

1-2.今回の記事の構成

 今回の記事は下のような構成で成り立っています。

1章 序文および巡目に関するデータ
 1-1 はじめに
 1-2 今回の記事の構成
 1-3 クロス集計のやり方
 1-4 巡目別待ち種別、先制両面リーチのアガリ率
2章 枚数に関するデータ
 2-1 合計アガリ牌見え枚数別待ち種別、先制両面リーチのアガリ率
 2-2 合計&外側アガリ牌見え枚数別待ち種別、先制両面リーチのアガリ率
 2-3 合計アガリ牌見え枚数&手持ち枚数別待ち種別、先制両面リーチのアガリ率
3章 他家副露数と筋・無筋に関するデータ
 3-1 他家合計副露数別待ち種別、先制両面リーチのアガリ率
 3-2 他家最大副露数別待ち種別、先制両面リーチのアガリ率
 3-3 合計アガリ牌見え枚数別待ち種&内側アガリ牌が両無筋かどうか別、先制両面リーチのアガリ率
4章 ドラに関するデータ+全体のまとめ
 4-1 ドラ区分&合計アガリ牌見え枚数別待ち種別、先制両面リーチのアガリ率
 4-2 全体のまとめ

現在、読んでいただいている記事は無料公開している1章になります。2章~4章については、別記事にて有料(2章100円、3章200円、4章300円)での公開となっております。
2章 枚数に関するデータ
https://note.mu/mahjong_math/n/n701dba969007
3章 他家副露数と筋・無筋に関するデータ
https://note.mu/mahjong_math/n/n8c2b97591e61
4章 ドラに関するデータ+全体のまとめ
https://note.mu/mahjong_math/n/n2e31108768da

1-3.クロス集計のやり方

「クロス集計とは」でネット検索すると、次のような説明が見つかりました。
(引用はじめ)
 ある与えられたデータを集計するとき、異なる属性や基準に分類し、個別に集計すること。たとえば、ある商品の売上高を顧客の年齢層や性別に分けて集計することなどを指す。→単純集計
(引用おわり)
(参考)
https://kotobank.jp/word/%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%82%B9%E9%9B%86%E8%A8%88-1829841#E3.83.87.E3.82.B8.E3.82.BF.E3.83.AB.E5.A4.A7.E8.BE.9E.E6.B3.89

 今回の先制両面リーチの場合であてはめると、一例として、アガリ率(ある与えられたデータ)を集計するとき、異なる巡目や待ち種(属性や基準)に分類し、個別に集計すること、ということになります。
まだちょっとわかりにくいでしょうか。今から具体的な方法を解説していきます。

クロス集計するにあたっては、大きく、
(1)集計するためのデータベースを作成する。
(2)作成されたデータベースを集計する。
という2つのパートに分けられます。

(1)では、牌譜解析によって、巡目や待ち種などの属性と実際にアガれたかどうか(局結果)の組を1件のデータとした、データベース(csvファイル)を作成します。下図のような形です。

 牌譜解析により、1回の先制両面リーチに対して、以下の属性をcsvファイルに記録していきます。
・巡目
・待ち種
・外側当たり牌見え枚数
・内側当たり牌見え枚数
・合計当たり牌見え枚数
・外側当たり牌手持ち枚数
・内側当たり牌手持ち枚数
・合計当たり牌手持ち枚数
・内側当たり牌両無筋かどうか
・下家、対面、上家副露数と合計副露数と最大副露数
・ドラ区分
・実際に上がれたかどうか

 対象とするデータは2017年までの鳳凰卓四麻の牌譜14028144局のうち、
・局内で一人目のリーチがかかった瞬間
・待ちが両面待ちである場合
・最終的に上がれた回数を一人目リーチの総回数で割ったアガリ率を調べる。
です。
注意点として、「一人目のリーチがかかった瞬間」なので、他家に副露者がいる場合もデータの中に含まれます。他家副露数については後で述べるクロス集計の分析対象です。
 また、巡目について、今回は先制リーチ者が切った牌の枚数ベースでカウントします。
 
 次に(2)で、このデータベースを集計することを考えるのですが、我らがExcel大先生によると、元データとなるcsvファイルさえ用意できていれば、きわめて簡単な操作で、クロス集計ができる、ピボットテーブルという機能を使うことができます。ピボットテーブルを使うと、表組みやグラフ化も簡単にできるという優れものです。csvファイルの容量が約222MBとなかなかの量なので、集計するのにちょっと時間は取られますが、待ってるだけなので、(1)の牌譜解析によるデータベース作成に比べれば、苦労は少ないです。もっと早く知ってれば、今までブログで公開してきた表とかグラフも簡単に作れたのになぁ、とか思ったりしましたが、一つ賢くなったということで。
 というわけで、1-4や2章以降は今回のクロス集計の結果をどんどん並べていって分析してみようと思います。

1-4 巡目別待ち種別、先制両面リーチのアガリ率

 まずは簡単なところからで、巡目と待ち種のみを分類対象としたデータを示します。

 横の行方向が巡目による分類を、縦の列方向が待ち種(14-69待ちか、25-58待ちか、36-47待ちか)による分類を表しています。例えば、8巡目の14-69待ちリーチのアガリ率は上の表を見ると、59.4%であるということがわかります。
 アガリ率の表全体の傾向として、
・巡目が深くなるほど、アガリ率が下がる。
・待ち種別アガリ率では、14-69待ち>25-58待ち>36-47待ちの順に小さくなる。
ということがわかると思います。このあたりまでは、巡目が浅くてツモれる回数が多いほどアガリやすいとか、端待ちのほうが出やすいとかいうところから容易に想像することができると思います。
 面白いところで言うと、各待ち種の間のアガリ率の差について、25-58待ちと36-47待ちの間の差よりも、14-69待ちと25-58待ちの間の差のほうが大きいということが挙げられます。巡目問わずの総計(最下段の数値)のところをみると、25-58待ちと36-47待ちの間の差は2%強なのに対し、14-69待ちと25-58待ちの間の差は5%弱と違いが大きくなっています。感覚的には14-69待ち>>25-58待ち>36-47待ち、くらいに思ってもいいかもしれません。他家にとって使いづらい19牌を待ちにできることはそれだけ強いということですね。
巡目換算だと、14-69待ちは1巡早い25-58待ちとほぼ同じアガリ率になっています。例えば、8巡目14-69待ちのアガリ率は59.4%に対し、7巡目25-58待ちのアガリ率が59.5%とほぼ同じ数値です。1巡違うかどうかで、リーチ判断が大きく変わらないと思う大多数のプレイヤーなら、端待ちという要素だけでもリーチ判断は大きく動かすことはそれほど多くないでしょう。一方、14-69待ちと36-47待ちの間だと2巡弱くらいの差になっているので、多少気になるくらいの差にはなりそうです。


 というわけで、1章(無料記事)はここまでとなります。2章以降も1-4節と同じような形で、先制両面リーチのアガリ率についてより詳しく分析していきます。もしご興味を持っていただけましたら2章以降を購入していただけると幸いでございます。2章・3章・4章は互いに独立している内容になるので、一部の記事のみ購入しても全体の流れには支障はありません。

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2章 枚数に関するデータ
 2-1 合計アガリ牌見え枚数別待ち種別、先制両面リーチのアガリ率
 2-2 合計&外側アガリ牌見え枚数別待ち種別、先制両面リーチのアガリ率
 2-3 合計アガリ牌見え枚数&手持ち枚数別待ち種別、先制両面リーチのアガリ率
https://note.mu/mahjong_math/n/n701dba969007

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