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2024年9月号書評特集

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恒例書評特集です。 15編のうち8編を転載します。
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記事一覧

黒木三千代『草の譜』評・2024年9月号書評特集①

時間のもたらすもの     後藤由紀恵  『クウェート』に続く、三十年ぶりの第三歌集。こ…

大辻隆弘『橡と石垣』評・2024年9月号書評特集②

人生の曲がり角の歌    小島一記  本歌集は『景徳鎮』『樟の窓』等に続く著者の第十歌集…

睦月都『Dance with the invisibles』評・2024年9月号書評特集③

レース越しの白   滝本賢太郎  子どもの頃の記憶である。病弱だったわたしは、夏休み中も…

目黒哲朗『生きる力』評・2024年9月号書評特集④

もっと遠くへ   富田睦子  著者は一九七一年長野市生まれ。高校生の時に齊藤史を訪ね「原…

中井スピカ『ネクタリン』評・2024年9月号書評特集⑤

フラット、リズミカル、微熱、あと    久納美輝  わたしたちが視るとき、人と同じように…

俵万智『アボカドの種』評・2024年9月号書評特集⑥

豊かな比喩の世界     米倉 歩  俵万智の第七歌集。一読して感じたのは歌意が明瞭で具…

大松達知『ばんじろう』評・2024年9月号書評特集⑦

言葉と自分と技術と   小瀬川 喜井            五九七首が収められた第六歌集。四十六歳から五十一歳までの時が編まれている。まずは「あとがき」を読む。「こういう時代であるからこそなおさら、言葉を確実に手渡す作品が必要なのだと思います。作者が作品の中心にしっかりと存在し、言葉の引力に振り回されていない作品。そして作者と読者の間に一本の確かな道を通す作品です。」とある。「言葉の引力に振り回されない作品」「一本の確かな道を通す作品」という部分がやはり強く印象に残り、その

御供平佶『羽交』評・2024年書評特集⑧

『羽交』評   大谷宥秀   平成時代の『国民文学年刊歌集』に三十一年間収載した三百十首…