大松達知『ばんじろう』評・2024年9月号書評特集⑦
言葉と自分と技術と
小瀬川 喜井
五九七首が収められた第六歌集。四十六歳から五十一歳までの時が編まれている。まずは「あとがき」を読む。「こういう時代であるからこそなおさら、言葉を確実に手渡す作品が必要なのだと思います。作者が作品の中心にしっかりと存在し、言葉の引力に振り回されていない作品。そして作者と読者の間に一本の確かな道を通す作品です。」とある。「言葉の引力に振り回されない作品」「一本の確かな道を通す作品」という部分がやはり強く印象に残り、その