マシーナリーとも子ZEROを書く過程について

SPIDER SENSE TINGLING! マシーナリーとも子よ。

先日、インターネットでこんなお便りが来ました。


Vtuberなる本とは12月に発売されるマシーナリーとも子が書いた本です(宣伝)。

この本は基本的にVtuberのガワを作る本なのでお話の作り方は載っていません。っていうかマシーナリーとも子にプロットの作り方とか聞くか? ふつう。適当に作ってるのが染み出しまくってるじゃねーか。なので話したくありません。あと周りにお話書いて食ってるマンが複数いるのでマシーナリーとも子ごときが知ったクチ聞くのは恥ずかしい。なので言いません。


と言いたいところだが「note向けの話かもしれねーな」と思ったのでここで書く。なぜか。noteで書けば小銭が稼げる可能性があるからだ。このように「お金が儲かるかもしれないな」と考えることは何かを始めるにあたって重要な原動力となりえるのでみなさんもお金のことを考えて生きてみましょう。


じゃあ今回はpixiv chatstoryで書いてるマシーナリーとも子の外伝ショートストーリー、『マシーナリーとも子ZERO』を題材にして「書き始めてから書き終わるまでどんなことを考えて書いてたか」を書いてみようと思います。ご笑覧ください(予防線)。


【1】土曜日になる

『マシーナリーとも子ZERO』は毎週土曜日更新です。別に土曜日に更新しなくたって死なないんだけど「マシーナリーとも子ZEROは毎週土曜日更新します」と宣言してしまったので変えられない。いつもこうやって自分の言ったことに苦しめられるんだよ。

土曜日の朝目覚めたらコーヒーを飲みつつTwitterを冷やかしながら「今日は土曜日だからマシーナリーとも子ZEROを書かなきゃなあ」と考えながらダラダラ過ごします。だいたい昼ぐらいまで何も手を付けないし考えません。


【2】腹をくくり、書かなきゃと考え始める

お昼ご飯を食べると「そろそろ手を付けないとやばいかな……」という気がし始めるので「よし書くか」という気持ちになります。考え始めます。


【3】誰がなにをする話なのか決める

お話というのは「誰かがなんかをする話」なので誰に何をさせるかを考えます。そういえばネットリテラシーたか子の頭の矢が刺さる話をそのうちやろうと思ってやってなかったなあと思いだしたので今回はそういうお話にすることにします。ネットリテラシーたか子の頭に矢が刺さる話を書くぞ!

ネットリテラシーたか子。頭に矢が刺さっている

【4】ほかの人をどうするか考える

登場人物ひとりで話を回すのは大変なので、脇役に誰を配置しようか考えます。どうしようか。以前、インターネットで「ネットリテラシーたか子の頭の矢は那須与一に射たれたものなんじゃないですか」と聞かれたときに完全にめんどくさくて適当に「そうです」と答えたことがあることを思い出したので、後付で本当にそうしてしまおうと思いついて脇役は那須与一に決定しました。

【5】話の原型を他媒体に求める

これで主な登場人物とやることは決まったので、じゃあどんなストーリーにしようかを考えることにします。無から何かが発生することはまず無いので大抵は「昨日まで読んでた本」とか「最近やったゲーム」のストーリーが頭に浮かんできて徐々に融合されていきます。今年の9月から10月は現実逃避に毎日『戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー』を見ていたのでなにを書いてもトランスフォーマーになってしまうので困っていましたがまあいいやと思いながらやっていました。俺にはプライドはない。だいたいどんな話だってみんな無意識になにかを原型にしているので気にせず考えましょう。『ジョジョ』の「運命の歯車」だってまんま『激突!』だもんな。どうせ稚拙なんだから出力してるうちに違う話になる。

今回はとくにそういった引き出しが思いつかなかったのですが「那須与一……ってなんか……弓やる人だろ……扇の的の……」と考えてググって「そう、そう、源平合戦な。源平合戦」となって、でも源平合戦って日本史の授業で軽く勉強しただけで全然知らねーなってWikipedia見て、Wikipedia見たら那須与一が扇の的を射ったのは壇ノ浦の戦いじゃなかったということを初めて知って驚いて、とりあえず那須与一が扇の的を射つということだけ決めて、あとは源平合戦なんだから源義経と弁慶出しとけばなんかそういうフレーバー立つだろってことだけ決めてじゃあもう書くぞということになりました。

【6】諦めて書く

諦めて書き始めます。書いてるとなんか勝手に「お話がこうなっちゃたらこうにしかならねえよなぁ~~」と最初考えてなかった方向に話が曲がっていったりするので曲がるままに任せます。知ったことか。オチだけ最初考えていた方向に落ち着けば大丈夫です。なんとかなる。pixiv chatstoryは短い、ショートストーリー向けの媒体なので書き始める前に「2~3時間で書くぞ!」と決めます。ダラダラ書いてられねーこんなこと。

書き続けてるとなんとかいつのまにかオチ、終わります。

【7】書けなくなってきたら

書いてる途中にだんだん「これでいいのか?」「これで終わらせられるのだろうか?」と悩むこともあるでしょう。私はあまりありませんが……(テキトーに書いているので)。そんなときに強い助けとなる作品があります。

『戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー』です。日本で産まれ、アメリカで育ち、アメリカの金によって日本が作ってさらに日本に輸入されたこの作品は23分の短い尺のなかにとてつもない量のプロットが詰められており、すさまじい勢いで話が進んでいきます。ものすごいスピード感です。このアニメを日常的に見ていることで「おもしろければ話は適当でいいのだ」という感覚が身につきます。トランスフォーマーを見ろ。

このアニメの特徴は「ハラハラさせられれば解決策は適当で構わん」という割り切りがものすごいところで、例えば毎回CM前や前編後編エピソードのラストでは誰かが大ピンチに陥ります。わかりやすいところだと人間キャラが崖から落ちそうになって「助けてー!」って叫んで、CMに入る……といったパターンです。

スパイク・ウィトウィッキー(CV速水奨)/助けてー! と叫ぶのが仕事

見ているほうは「果たして、どうなってしまうんだ!? このままだとスパイクが死んじゃうぞ!」とハラハラしてしまうのですが、CM明けには「落ちたがトランスフォーマーがふつうに助けにきて、なんか割と危なげなく助かった」みたいなカンジで5秒くらいで解決してしまいます。これは「たまにそういう話がある」というレベルではなく毎回毎回1話のあいだに2回くらいあります。なんなんだよ。

そんなクリフハンガー展開のなかでも珠玉の逸品が日本放映版最終回、第68話「破滅の日 PART3」です。

このおはなしは実写映画『トランスフォーマー ダークサイド・ムーン』の原案にもなっている重要エピソードです。

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デストロンの策略により、トランスフォーマーの故郷セイバートロン星が地球に大接近! なんとかデストロンは退けるものの、このままではセイバートロン星が地球に近づきすぎた影響で地球が滅びてしまう! いったいどうすればいいんだ!? という番組史上最大の大ピンチが訪れます。

どう考えてもこれは助からないだろ、と見守っているとスパイクがとつぜん「ボクにいい考えがあるよ! やってみよう!」と言い出します。この土壇場でいったいどんなアイディアが浮かんだスパイク!? とテレビにかじりついていると次の瞬間、サイバトロン戦士たちはなにを思ったか手持ちの銃をセイバートロン星に向けて一斉射撃!


するとなぜかセイバートロン星はものすごい勢いで地球から遠ざかり、元の位置に戻るのです。マジ????????????????

ここで「手持ちの銃で撃っただけで惑星が元に戻るわけないじゃん!」と思ってしまうあなたはお話を書くのに向いていないかもしれません。違うんだ。違うんだよジョージ。

この『トランスフォーマー』のエピソードが我々に語りかけてくれる大切なことは「盛り上げるだけ盛り上げたら解決策はどうでもいいんだ」ということです。そう。どうでもいいんだ。過程が楽しければ。どうでもいい。そしてそのどうでもいい解決策を豪腕で成り立たせているのが『戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー』という作品なのです。トランスフォーマーのアニメは作劇に役立つ。多分。私はそう思っているいつも勇気をもらっている。「果たしてこの話、こんなんでいいのか」と悩んだとき、いつも私のそばでコンボイが囁きかけて勇気を分けてくれたんだ。「トランスフォーマーだったらアリだよ」と。だからみんなも解決策はどうでもいいので適当にお話を作ればいいと思います。


【結論】

トランスフォーマーを見ろ。






読んだ人は気が向いたら「100円くらいの価値はあったな」「この1000円で昼飯でも食いな」てきにおひねりをくれるとよろこびます