東京ジンジャーエール百景 16杯目『芸人さんと、自宅でラジオ』

ラジオ番組に出演することになった日

緊急事態宣言が発令される4日前の4月3日、後輩の髙本から連絡がきた。

「Radiotalkというラジオアプリで、離れた場所にいてもラジオが録れる新機能をリリースしました。山内さんと芸人さんが喋る番組、聞いてみたいです!」

髙本はMBSのラジオ局員でありながら、Radiotalk社の取締役でもある(どれくらい偉いのかは知らない)。昔はテレビ制作にいて、僕が総合演出を務めたときのオールザッツ漫才のリハーサルで、全身墨だらけになっていた(僕がしたのだが)お笑い大好き人間である。

僕は「すべての芸人さんはラジオをすべきだ」とずっと思っているので、自分が出演することはさておき、すぐにやることを決めた。芸人愛No.1放送作家ともいえる小林さんにお声がけすると、二つ返事でOKをもらえた。この日のうちに番組内容も決まり、タイトルやゲスト案もほぼ決まった。テレビでは考えられないスピード感が楽しかった。

タイトルは『芸人リモートーク~会わずにラジオ~』。ロゴも完成した。

一応テレビ制作の上司に報告すると「いいんちゃう」とすぐ承認してくれた。顔には「なんのことかようわからんけど」とハッキリ書いてあったが。

4月7日に緊急事態宣言が発令され、収録やロケは中止、出社はほぼ禁止になり、実質普段のテレビディレクターとしての仕事がストップしてしまった。しかしRadiotalkの「リモート収録機能」は、この自粛期間のためにあるような機能だった。何しろ顔を合わさず、どこででも収録できる。無限にソーシャルディスタンスが保てるのだ。着々と準備を進められた。

4月29日、配信開始

1回目のゲストは、2011年からの付き合いになる和牛の川西くんにお願いした。仕事をしたきっかけはまさに番組の中で喋っているので、まだの方は是非聴いてもらえたらと思う。僕は東京の自宅、川西くんはテレビ局の楽屋、小林さんは大阪の自宅と、3人とも離れた場所で番組を収録した。本当はもっと話したいことがあったのだが、久々に喋ったこともあってあっという間に12分の番組が3本録れてしまった。4月末に配信すると、川西くん本人が告知してくれたこともあり、予想以上の反響をもらった。

そこから1人につき2本収録と決めて、毎週水曜日に配信。ゲストはインディアンスの田渕くんおいでやす小田さんななまがり森下くんと続くのだが、ここまでは1本目はエピソードトーク、2本目は顔を合わさず話してみてどうだったか振り返る、という構成だった。

こちらは拙い喋りながら、芸人さんたちがちゃんと笑いどころを作ってくれてそれぞれ内容は面白かったのだが、もっと濃いものにしたいと思い、エピソードトークをやめて『お笑い』に向き合う内容に変えることにした。

お笑いファンの自分が一番楽しみたい

ゲストには、収録を始める前に「お笑い好きのディレクターと作家が、○○さんとお笑いをテーマに雑談する番組なので、気楽に喋ってください」と言うのみ。あとは12分×2の時間いっぱいまで3人で喋るだけにした。

そうして迎えた次のゲストが、コロチキの西野くんだった。「ほとんど話したことない」という『ナダル誕生秘話』をたっぷり語ってくれた。めちゃくちゃ面白かった。「”これ話したら解散”リストがある」というくだりは何度も聴いても笑ってしまう。ナダルを前に押し出しながら、後ろでガッツリ手綱を引くクレバーな西野くんの話は、是非番組を聴いてみてほしい。

続く3時のヒロイン・福田さんは『THE W』優勝でブレイクしたあとのリアルな葛藤を語ってくれた。「緊張する先輩芸人が出てるテレビは見れなくなるので、共演者が増えるたびに見れるテレビ番組が減っていく」という話は福田さんの生真面目さを表しているようだった。しばらく時間が経った時にまた話を聞いてみたい。

テレビディレクターと芸人さんの距離感

テレビのディレクターが芸人さんとがっつり話すのは大きくは2つしかない。それは「飲みに行く」か「ロケに行く」。飲みに行くのは言わずもがなだが、ロケは移動時間が長いので、そこで色々と話すことができる。しかし大抵はスタジオの楽屋で”収録の打ち合わせをしておしまい”が多く、なかなか踏み込んだ話はできない。スタジオの段取りを確認する前に「ナダルいじりの線引きってあるの?」はとても聞けない。

その点、この番組では顔は合わせていないとはいえ、濃い話を遠慮なく聞ける。テレビディレクターとしてだけでなく、お笑いファンとして話が聞ける。1日に何人か一気に収録するのだが、終わった時はいつもテンションが上がって全然眠れなくなってしまう。(ちなみに、この番組に関して常時エゴサーチしてるので、感想など書いてもらえたら飛びつきます)

『芸人リモートーク』の今後

この後も、おなじみの芸人さんが続く。ティモンディの前田くん、ジャルジャルの福徳(なぜ呼び捨てなのか、理由は番組内で)、そしてラランドのサーヤさん。山内・小林・髙本の3人が単純に「話を聞いてみたい」と思った人にどんどんお願いしていて、ありがたいことに皆さんがOKしてくれる状況が続いている。ちなみに、その後もかなり充実したラインナップになっている。きっとお笑いファンの皆さんに楽しんでもらえるはずなので、是非Radiotalkアプリをダウンロードしてみてください。

ちなみに、番組の感想・芸人リクエストも受付中です↓

geinin.remotetalk@gmail.com

東京で飲んだジンジャーエールの話を書くのが本筋のこのnoteだが、自粛期間中にジンジャーエールを飲みに行くわけにもいかず何も書くことがないので、こちらもいったん自粛させてもらうことにします。では(逃亡)。

※ちなみに「スキ」を押してもらうと、B'zにまつわる何かしらのコメントがランダムで出ます