平成ライダー三ヶ月半で全部見た 龍騎(りゅうき)編

 こんにちは、マグロダです。 

 「平成ライダー全部見た」とは、平成ライダーを二ヶ月で全部見ようとルーレットを回して作品を決めていたら、結局は全部見るのに三ヶ月半かかっちゃったチャレンジのことです。本記事では、視聴した作品を一作ずつ振り返っていきます。

 視聴の順番は完全ランダム。6回目の視聴作品もルーレットで決めたところ、今回見ることになったのは「仮面ライダー龍騎」でした。2002~2003年にかけての作品で、平成ライダーとして数えると3作目ということになります。

 いや~、このライダーも非常に面白かったですね! 多くのライダー視聴の先輩たちが名作と言うのも納得です。


■目次
・どんな作品?
・登場人物ピックアップ
・注目ポイント
・個人的名シーン
・視聴のススメ
・特別コラム ソシャゲ的仮面ライダー龍騎の捉え方

どんな作品?

 仮面ライダー龍騎といえば、願いをかなえるために13人のライダーが最後の一人になるまで戦うバトルロイヤル、すなわちライダーバトルの設定が特徴的です。

 なお先に言っておくとテレビ版で13人全員が出てくるわけではありません。バトルロイヤルなのに!? き、きっとどこかで脱落したんでしょう……。いや、せっかく数字を明確にしてるんだから全員出してくれよ! と思わなくもないですが、キャラクターがたくさんいるとむしろ我々視聴者が大変になっちゃいますからね。劇場版だけに出てくるライダーもいるので、むしろ「あえて出さない」という選択も大切なのかなと思います。

 キャッチコピーは「戦わなければ生き残れない」。龍騎を見たことがない方でもこの言葉を聞いたことがある方はいるのではないでしょうか。まあ、戦っても生き残れるとは限らないのがライダーバトルなんですけど……。

登場人物ピックアップ

城戸 真司(きど しんじ):われらが主人公。底抜けに明るくて優しい、すっごいいい人。唯一、偶然で仮面ライダーになる機会を得た人物。戦おうと思ったのに一発で剣が折れちゃったり、家賃を滞納して家を追い出されたり、冤罪で警察に捕まったりするが、それでもめげずに頑張る。ややお調子者というか軽率な一面もあり、いつも会話で人の地雷を踏む。

秋山 蓮(あきやま れん):仮面ライダーナイトに変身する人物。クールな振舞いと非情ともとれる言動から、出会った当初は城戸くんとは反目する仲だった。とある叶えたい願いがありライダーバトルに参加した。こんな性格なのに城戸くんにライダーとしての戦い方をチュートリアルしてくれる。大金を積まれてめっちゃ目が泳いだりする一面も。

北岡 秀一(きたおか しゅういち):弁護士。金儲けのために弁護士をしており、人生をめちゃめちゃ楽しんでいる。ゴロちゃんという見た目はチンピラだがとっても真面目で優しい助手がおり、彼から非常に慕われている。ライダーバトルには永遠の命を求めて参加した。個人的には平成ライダー全20作品を通しても特に好きなキャラの一人。

浅倉 威(あさくら たけし):凶悪犯罪者。特に願いとかなく、とにかくいつもイライラしておりそれを暴力で発散したいだけの人物。もとから社会的地位など屁でもないので、ライダーバトルとか関係なく生身だろうがほかのライダーを襲撃する。また、ほかのライダーと違い定住していないので相手の住居に対し一方的に奇襲をかけることも可能。当然強い。反則か?

神崎 士郎(かんざき しろう):ミラーワールドやライダーバトルなど、仮面ライダー龍騎における諸々の問題のすべての元凶。彼としてもライダーバトルがちゃんと終わらないと困るので、たびたび各ライダーを戦うよう焚きつけたり、バトルの展開を早めるためにテコ入れとして浅倉さんをライダーにしたり、確実にライダーを倒してもらおうと秋山さんや城戸くんに強化アイテムを与えたりと、けっこう苦労してゲームマスターをしている様子が描写される。

注目ポイント

・ミラーワールドとミラーモンスター

 龍騎ですっげぇセンスいいな~って感心したのは、「ミラーワールド」という世界観とそこに出てくる「ミラーモンスター」という存在です。

 ミラーワールドはその名の通り鏡の中にある世界で、その中にはミラーモンスターという存在が跋扈しています。そいつらはこっちの世界に出てきて人間を食べるんですけど、別に鏡じゃなくて光を反射して景色を映しているものならどこからでも出入りできるんです。つまり、そのへんの車や建物の窓からも出てくるわけですね。

 いや、そんなやつらを現代社会で回避するの不可能に決まってるだろ! なすすべなく死ぬわ!

 なので龍騎の世界の民間人はバンバン行方不明……という形で捕食され死亡します。最悪。

 最初に見たときはかなり怖かったですね~。自宅の洗面所や電車など、本来だったらなんでもないところに人間を一方的に捕食する怪物が潜んでいるんですから。小学校にミラーモンスターが出る回もあるんですけど、もし城戸くんたちが間に合ってなかったらあの小学生たちは全員捕食されて死亡していたわけで……。

 そんなミラーモンスターに人間が対抗するには、仮面ライダーになってミラーワールドに行けるようになる必要があります。にもかかわらず、仮面ライダーになるには神崎士郎という全てを仕組んだ元凶の手からカードデッキを受け取らないといけません。そしてライダーとして見初められる人間は、基本的に自分のために叶えたい願いがある人間だけ。わざわざ一般市民のために戦う人など、そうはいません。

 こ、この世界の民間人、詰んでる……。

・ライダーバトル最大のイレギュラー城戸くん

 そんな最悪の状況で現れるのが、偶然カードデッキを手に入れた城戸くん! 彼は記者なんですけど、謎の行方不明事件を追っていたら新聞紙で鏡やガラスを全て覆い隠した被害者の部屋にたどり着くんです。そこには謎のカードデッキが。本来であれば神崎士郎から手渡されるはずの道具を、城戸くんだけがその使い道もわからぬままに手に入れてしまうんです。

 城戸くんは持ち前の正義感から、人々をミラーモンスターから守るため、ライダー同士の殺し合いを止めるために戦いに挑みます。そして城戸くんとのかかわりを通して、秋山さんや北岡さんといった別のライダーたちの心境にも変化が生じていくんです。

 本来は敵対者であるはずのライダー同士にそれ以外の関係性が育まれていくのも、龍騎のおおきな見どころの一つだと思います。それにはもちろん、バトルロイヤルにも関わらず戦うこと以外の方法を模索し続けた城戸くんの存在が不可欠なんですね。

・北岡秀一という男

 北岡さんがね~! もうすっごくいいキャラしてるんですよこの人は。登場回からして悪徳企業の弁護をして大金をせしめるわ、城戸くんを引き連れてマッサージや豪華な食事を満喫するわ、oreジャーナルの敏腕編集者である令子さんにアプローチするわとやりたい放題。仮面ライダーじゃなくても別のドラマにそのまま出演できるくらいのキャラの濃さなんです。

 なぜそのような奔放なふるまいをするのか、なぜ永遠の命を願うのか。その真実に加えて善人とも悪人ともつかない飄々とした態度含め、大好きなキャラクターです。

 また、北岡さんの現助手と元助手が北岡さん好き好きバトルを繰り広げる30話は個人的に大好きです。北岡さんがコッソリちっちゃい身振り手振りで変身してベルトも空気を読んで小さい音が鳴るところとか、可愛いですよ。


・割れる食器

 龍騎における城戸くんたちの拠点はふたつあります。ひとつは城戸くんの職場であるoreジャーナル、もうひとつは神崎士郎の妹である神崎優衣の働くカフェ花鶏(あとり)です。

 この花鶏の食器がもう割れること割れること。ここには優衣さんと城戸くんと秋山さん(あと優衣さんのおばさん)が同居しているんですが、ライダーバトルに関与しているこの三人は様々な問題を抱えているわけです。それがどう表現されるかというと、食器が割れます。めっちゃ割れる。

 城戸くんが落とし、秋山さんが落とし、優衣さんが落とし……何か新しい問題が発生するたびに割れます。そして龍騎は終始困難な問題が横たわっているのでコンスタントに食器が割れ続ける羽目になるのです。花鶏の帳簿はもうめちゃくちゃですよ。

 余談ですが、城戸くんと秋山さんの関係性の情報ばかり耳に入っていたので龍騎視聴前の私はメインヒロインともいうべき優衣さんのことを何一つ知りませんでした。そんなことある?

個人的名シーン

 これは龍騎視聴者ならば満場一致だと思うのですが、34話のラストではないでしょうか。

 信念のぶつかり合いによって何度目かの衝突をする城戸くんと秋山さん。ライダーバトルで願いを叶えようとしている以上、いつかはどちらかの命が尽きるまで戦わなければなりません。今回ばかりは決着をつけんと強く決意している秋山さんはガンガン攻めます。

 対する城戸くんは防戦一方。秋山さんは城戸くんに呼びかけます。「戦え」と。そして「サバイブ」と呼ばれる強化形態になって城戸くんを追い詰めるのです。

 それに呼応するように、葛藤する城戸くんもまたサバイブのカードによって新しい姿に変身するのでした。裏で必殺のファイナルベント同士が激突する北岡さんと浅倉さんの激戦も含め、龍騎全体を通しても屈指の盛り上がる場面です。

 以上が、秋山さんが23話でサバイブに初変身してから、実に11話もかけての主人公強化シーンでした。それだけ城戸くんが本格的なライダー同士の衝突を回避しようとしていたのであり、しかしその意思に反してこれからはより激しい戦いになってしまうことを象徴するような場面だったのではないかと思っています。

 また、凶悪存在浅倉威がギャグに加担した42話も見逃せません。ライダーバトルも終盤、緊迫した状況の中で「城戸真司が馬鹿だと思う人は手を挙げて」という質問に満場一致で秋山さんと北岡さん、そして浅倉さんまでもが手を挙げるのは龍騎の中でも屈指のオモシロ名場面です。

 こういう箸休め的なギャグもすっごい面白いのが龍騎なんですよね。普段がシリアスな戦いなので、一層面白く感じてしまうんです。無敵の作品だ……。

視聴のススメ

 あくまで個人的な感覚なんですけど、龍騎は一気見でもそうでなくてもすごく楽しく見れる作品なんじゃないかなって思います。龍騎はそのスリリングな設定もあって、じっくり内容を反芻しながらゆっくり視聴するのも向いている作品だと思うんです。当時ツイッターとかあったら考察で相当盛り上がったんじゃないですかね。というか当時の掲示板とかはめっちゃ盛り上がっていたでしょう。

 もちろん、ワーッと一気に見てしまうのも大変おすすめです。それぞれのキャラクターがハッキリしているので彼らが動いているのを見ているだけでも面白いんですよね。加えて状況も二転三転していくので連続視聴でもぜんぜん飽きません。龍騎、おすすめです。見る順番なんて関係ないので、ぜひ見てください。

特別コラム ソシャゲ的仮面ライダー龍騎の捉え方

 龍騎、2020年の視点から振り返って見てみるとなんだかすごくソシャゲっぽいんですよね。秋山さんがまだカードデッキを手に入れたばかりの城戸くんに「まだモンスターと契約していないのか?」とか言う所とか、もう完全にチュートリアルでガチャをひく流れじゃないですか! きみだけのカードとモンスターを組み合わせて最強のデッキを作ろう! というキャッチコピーが目に浮かぶようです。

 しかも城戸くんが変身する龍騎というライダーはドラグレッダーという名前の龍の姿をした激レアSSRミラーモンスターと契約するのですが、ここの演出も完全にソシャゲなんですよ。もともとの龍騎は暗い青色のスーツにがベースになっています。しかし赤色のドラグレッダーと契約することで、スーツの色が赤色に変わるんです!

 完全に超進化とか覚醒とかって名付けられるアレじゃん!! イラストがマイナーチェンジするやつ!!

 ……これはバカにしているわけではなくて、本当にすごいことだと思っています。2020年において定型化されるほどの効果がある演出が二十年近く前にはもう発見されて導入されていたってことになりますし、これは時代を先取りしていたと言えるのではないでしょうか。

 なお、仮面ライダー王蛇に変身する浅倉さんは北岡さんの変身した姿である仮面ライダーゾルダが放つファイナルベントと呼ばれる必殺技を防ぐために、自分のチュートリアルをしてくれた人物を盾にして死なせてしまいます。せめて命を懸けたバトルロイヤルくらい、チュートリアルはスキップせずに聞いたほうがいいと思うんですけど……。


 今回は仮面ライダー龍騎についてお話ししました。『龍騎』はたびたびTwitter等でも話題に上がる作品だけあって私も最終回のネタバレをふんでしまっていたんですが、やはり断片的に知っているのと自分で全話見て最終回にたどり着くのとでは全然違いますね。

 次回は仮面ライダーアギトになります。お楽しみに!

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