平成ライダー三ヶ月半で全部見た オーズ(OOO)編

 こんにちは、マグロダです。
 
 「平成ライダー三ヶ月半で全部見た」とは、平成ライダーを二ヶ月で全部見ようとルーレットを回して作品を決めていたら、結局は全部見るのに三ヶ月半かかっちゃったチャレンジのことです。本記事では、視聴した作品を一作ずつ振り返っていきます。

 視聴の順番は完全ランダム。18回目の視聴作品もルーレットで決めたところ、今回見ることになったのは「仮面ライダーオーズ(OOO)」でした。『オーズ』は2010~2011年にかけて放送されたライダーで、平成ライダーのナンバリングでいう12作目に位置づけられます。

 オーズもすごく名作だという周囲の意見ががあって、たいへん楽しみにしていた作品です。しかし事前知識はかなり少なく、しばしばTwitterで話題に上がるのを観測はするものの詳細は知らないままでした。ところが視聴するとこれがまあ面白いわけで。もう放送から10年経とうかというのに根強く人気なのも納得の作品でした。


■目次
・どんな作品?
・登場人物ピックアップ
・注目ポイント
・個人的名シーン
・視聴のススメ


◆どんな作品?

 仮面ライダーオーズは、人間の欲望をめぐる物語です。主人公の火野映司(ひの えいじ)は、「少しのお金と明日のパンツがあればいい」と言いながらほとんど手ぶらで世界を旅する人物。ある日彼は警備員のバイトをしていたのですが、その倉庫で事件が起きます。

 なんとメダルが集まって手のような形状になり、古びた棺を開けようとしているのです。弱弱しく這いずるその手は、どうにか棺を開けることに成功しました。そして封印されていた怪人を復活させたのです!

 怪人の名は「グリード」。彼らは名前のとおり、欲望そのままに活動する存在です。そしてグリードのエネルギー源もまた欲望。彼らは人間の欲望に付け込んで、欲望エネルギーから「ヤミー」という自分たちのしもべのような怪人を作り出します。そして生み出したヤミーに欲望を集めさせて、それを自分の力にするのです。そうして集めた欲望は「セルメダル」という銀色のメダルとなり、ヤミーやグリードたちの肉体を構成していきます。

 一方、映司くんはヤミーと遭遇し撃退しようとしますが全く歯が立ちません。しかし、そんな映司くんに協力を呼びかける存在がいました。彼の名は「アンク」。自力で封印を解いたものの、右手だけの不完全な姿で復活したグリードです。アンクは棺から封印されていたベルトを持ち出し、映司くんに仮面ライダーオーズへと変身する力を与えようとするのです。

 なぜグリードであるアンクが人間に声をかけたのか? それはメダルの争奪戦のためです。セルメダルだけで構成されているヤミーと違い、グリードはそれぞれ「コアメダル」と呼ばれる凄い力を秘めたメダルを9枚ずつ持っていました。しかしそれは封印とともに散逸。アンク以外は全身が復活したとはいえ、彼らもまた完全な状態ではありません。いくつかのコアメダルを失ったままなのです。

 しかしひとたび完全体になれば、人間はもちろん他のグリードさえも蹂躙できる最強の存在になることが可能。そうなればなにもかもが思いのままです。そのためグリードたちは他に先んじて完全体になるために、自分のコアメダルは集めつつ、相手のコアメダルは見つけてもコッソリ隠したりとそれとなく妨害する暗闘状態になるのです。

 そこで、右手だけでは他のグリードに後れを取ると考えたアンクは人間を利用することにしました。そのためにオーズのベルトを持ち出し、たまたま見つけたヤミーに襲われている人間……すなわち映司くんに目を付けたのでした。

 映司くんはアンクの協力を受け、オーズに変身しヤミーを倒します。グリードの事情を映司くんは知りませんが、アンクのことを単なる善意の協力者だとは思っていません。彼もまた、オーズの力で人々を助けるためにアンクを利用しているのです。こうして映司くんとアンクの、油断ならない協力関係がスタートしていきます。


◆登場人物ピックアップ

火野 映司(ひの えいじ):ニコニコとした青年。仮面ライダーオーズに変身する。「少しのお金と明日のパンツがあればいい」という考えを持っており、着の身着のままで各地を旅している。その言葉通り我欲が薄いように見え、誰かを助けるために我が身を顧みない行動をとることもしばしば。また、朴訥とした印象とは裏腹に巧みな交渉能力も持つ。

アンク:右腕だけのグリード。瀕死の警察官の肉体を借り、人間の姿で活動するようになる。グリードらしく強欲で身勝手で基本的にわがままだが、目的のために策を仕掛けて機を待つといったクレバーさと辛抱強さも持つ。自分以上に権謀術数に長けた相手や、逆に無邪気で人のいい人物相手にはやりこめられてしまうこともしばしば。映司をはじめ人間と共に暮らす中で少しずつ変化していく。アイスが大好物。

鴻上 光生(こうがみ こうせい):巨大企業「鴻上ファウンデーション」の社長。誕生という概念が大好きで、人間が持つ欲望を「何かを生み出し進化するための力」として肯定している。本人も非常に強欲で、大企業の社長にまで上り詰めているのは彼の哲学の裏付けともいえる。グリードやオーズのベルトが封印されていた棺を遺跡から持ち出して自社施設に保管させたのも彼。よく社長室でケーキを作っている。

後藤 慎太郎(ごとう しんたろう):ライドベンダー隊という、セルメダルで動くバイクを操る戦闘部隊のリーダー。元警察官だが、もっと大きな平和を守る仕事がしたくて鴻上ファウンデーションに入社した。マジメで融通の効かないタイプだが、映司くんたちをはじめとする人々との交流を通じて頼れる戦士として成長していく。説明書やマニュアルはよく読むタイプ。

伊達 明(だて あきら):鴻上ファウンデーションに多額の報酬で雇われた男。仮面ライダーバースという、セルメダルで動く鴻上の技術で開発されたライダーに変身して戦う。映司や後藤よりも人生経験が豊富で頼りがいのある豪快なナイスガイ。セルメダル集めが仕事であり、ヤミーやグリードとの戦いではセルメダルをめぐってオーズと対立することも。

真木 清人(まき きよと):鴻上ファウンデーションの研究所で働く人物。陰気な性格で、いつも腕に人形を載せており、人形が腕から取れると過剰に取り乱す。科学者としての実力は確かで、ライドベンダーやバースを作り出したのも彼。鴻上社長とは反対に、死や終末を信奉する思想の持ち主でもある。勝手に研究室に入り浸りフランクに話しかけてくる伊達さんとはそりが合わない。


◆注目ポイント

・コアメダルを奪い合うバトル展開

 『オーズ』はコアメダルが物語の中心になってきます。コアメダルというのはそれぞれに動物の力がこもっており、グリードたちもそれに応じた力を扱うことができます。例えばアンクは鳥系のグリードで、本来はタカ・クジャク・コンドルのコアメダルを3枚ずつ、合計9枚持っていたのです。他にも海洋生物のグリードや昆虫のグリードなどが存在します。

 自分のメダルを集めるほど強くなるグリードに対して、オーズはすべてのメダルを使用することが可能。そもそも最初のフォームだって頭がタカ・腕がトラ・足がバッタの「タトバコンボ」が基本です。いろいろなメダルを付け替えて柔軟に戦闘できるのもオーズの強みですが、3つのメダルすべてを同じ系統の者で揃えたら本領発揮。「コンボ」という特別強力なかわりに消耗が激しい状態に変身することができるのです。

 このようにコアメダルは戦況を大きく左右するアイテムです。そのため『オーズ』の作中では頻繁にメダルの奪い合いが起きます。グリードとの戦闘中にオーズが相手の体内からコアメダルを引きずり出して自分の変身に利用したり、逆にグリード側がオーズに手痛い一撃を与えてコアメダルを奪ったり。グリード同士でも相手のメダルを隠し持ったり、あるいは自分以外のコアメダルをも吸収してさらなる力を得ようと仲間を裏切ったりもします。こうしてキャラクターのパワーバランスと勢力図が目まぐるしく変わっていくのです。

 このように変身に利用するアイテムを巡って、各キャラクターの奪い合いのバトルが繰り広げられるのが『オーズ』の面白いところなんですよね。「なんで敵は主人公にとどめ刺さないんだよ!」みたいなシーンっていろんなバトル作品で発生しちゃうと思うんですけど、『オーズ』では相手の撃破よりコアメダルを奪うことの方が重要なんです。そのため、むしろうまいこと有効打を与えてある程度コアメダルを回収出来たらさっさと離脱するほうが良いんですよ。

 なぜかというと、コアメダルはグリードにとってもオーズにとっても重要なパワーリソースだからです。彼らがコアメダルを奪われるのは、だいたい強烈な攻撃を食らってしまった時。コアメダルを奪われると、オーズは変身できる種類が減りますしグリードは単純に力が弱まります。そのため相手からメダルを奪えるほど追い込むことができたのなら、何か予想外の攻撃で奪い返される前にさっさと離脱したほうがいいんです。単純に考えて、次に同じ相手と会うときはもっと弱体化してるわけですからね。

 逆に、もしメダルを奪われてしまった場合も逃げの一手です。相手がどんどん攻撃してきて一方的にやられてしまい、メダルをすべて奪われたらもうおしまいです。そうなったらグリードは消滅、オーズは変身が不可能となります。それを避けるには無理にメダルを奪い返そうとせず、損切りして速やかに脱走したほうがマシなわけです。

 こうして『オーズ』では各キャラの強さの関係性がジリジリと変化し続け、それが裏切りや連帯といった戦術的な駆け引きにつながります。この点は平成ライダーの中でも珍しい特徴なのではないでしょうか。

◆個人的名シーン

 私が大好きなのは、かなりベタなんですけど38話です。バースである伊達さんが追い詰められてしまい、後藤くんにバースのベルトを受け渡す回ですね。

 後藤くんは熱意はあっても実力が追い付いておらず、さも「この人は途中で仮面ライダーに変身するようになりますよ」みたいなポジションなのに全然その機会が来ないんですよ。いきなり途中から出てきた伊達さんがバースに変身するんです。でも伊達さんは若い映司くんや後藤くんを諭し、導いてくれますし、仮面ライダーとしての実力も確か。おまけにプライベートの時間では後藤くんに修行までつけてくれます。もうめちゃくちゃ好感度が高い人なんですね。

 その伊達さんがグリードたちの攻撃にやられて戦闘不能になってしまうんです。そして38話という終盤になって、ついに後藤くんがバースに変身する時がやってくるんですよ。彼も彼で最初はライドベンダー隊の隊長だったものの、自分を見つめ返すためにいろいろ修行をしてきました。鴻上ファウンデーションそのものを休職していたこともあります。そうやってかなりじっくり心身が成長する過程を見ていたので、このシーンはすごく盛り上がった記憶があります。

 あと、後藤バースは戦い方が豪快で見ていて楽しいですね。伊達さんの仕事は戦いではなくあくまでセルメダル集めなので、セルメダルで動くバースの武装はうまくやりくりして使用するものだったんですよ。あとマニュアルを読みたがらないので使ってない武装なんかもあったんです。ところが後藤さんはセルメダルを節約する義務なんてないしマニュアルも完全読破しているので、どんどんセルメダルを消費して大量の武装をガンガン使っていくんです。これが派手でとってもいい! すごく満足度の高い回でした。

◆視聴のススメ

 『オーズ』も前後編2話が基本構成です。とはいえキャラクターの精神的な変化やメダルの争奪戦など、大きなストーリーの枠組みでみても着実に1話ごとに変化していきます。そのため『オーズ』は一気に見て物語を楽しむこともできますし、ゆっくり視聴してキャラクターたちに愛着を持っていくのもすごく楽しいのではないかと予想しています。


 以上、今回は仮面ライダーオーズについてお話ししました。『オーズ』のなかにクワガタのメダルがあって、それをオーズが使うと頭がクワガタヘッドになって電撃を出せるようになるのが完全に意味不明で大好きなんですよね。鳥系が炎で攻撃するのはなんとなくフェニックスとかのイメージで納得できるんですけど、クワガタが電撃はなんか面白く感じてしまう……。しかも普通に強いし。

 次回は仮面ライダーゴーストについてお話しします。お楽しみに!

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