3) 大日本国体 ①肇国
次元上昇の大きな転換期を迎え、西洋近代文明終焉の時となり混乱した世界の中で、私たちは
日本の国体に照らして、次なる健全な世界をどのように築いていくのか? その指針を探るべく
国体の本義の書から日本の国体=国柄について
読み解いてゆきます。
【肇国】
天地開闢
修理固成
天照大神
神勅と皇孫あの降臨
天壌無窮
万世一系の皇位
三種の神器
肇国…まずは国の肇まりと天皇について
著しています。
原本を掲載します。
【口語訳】
大日本帝国は、万世一系の天皇皇祖の神勅を奉じて永遠にこれを統治します。
これはわが万古不易の国体です。
この大義に基づき、一大家族国家として国民一心聖旨を奉体して、よく忠孝の美徳を発揮します。これはわが国体の精華とするところです。
この国体は、わが国永遠不変の大本であり、
国史を貫いて光輝いています。
それは国家の発展と共にいよいよ固く、天壌と共に窮まるところがありません。
我らはまずわが肇国の事実の中に、この大本が
如何に生き輝いているかを知らねばなりません。
《天地開闢》
わが肇国は、皇祖天照大神が神勅を皇孫ニニギノ尊に授け、豊葦原の瑞穂の国に降臨なさった時にあります。
古事記・日本書紀等は、皇祖肇国の御事を語るに当って、先づ天地開闢修理固成のことを伝えています。
すなわち古事記には、
「天地の初発の時、高天原に成りませる神の名は
●天之御中主アメノミナカヌシノ神
次に●高御産巣日 タカミムスビノ神
次に●神産巣日 カミムスビノ神
この三柱の神はみな独神 ヒトリガミで成りまして
身を隠したまいき。」
とあり、又日本書紀には
「天先づ成りて地ツチ後に定まる。然して後
神その中に生れます。かれ曰く、天地の分かれる
国土の浮かれ漂えること例えば、なお遊ぶ魚の
水の上に浮けるがごとし。その時天地の中に
一つのもの生れり。形は葦牙アシカビの如し。即ち
成りませる神を国常立クニトコタチノ尊と号モウす。」
太古の昔、まだ天地が別れていず、陰陽も分かれていず、混沌として生卵をかきまぜたような様子だった中に、ほのかな芽が含まれていました。
そのなかの清く明るいものは薄く広がって天となり、重く濁ったものは地ツチとなりました。
清妙なるものは広くかわり、重く濁ってい地と
なるものは凝り固まりにくかったので、 このため先ず天が成り、後に地が定まりました。その後に神聖カミがその中に生ナられました。
天地開闢の最初に壊れたような洲が浮き漂う様子は、例えれば游ぶ魚が水に浮かんでいるような様子です。その天地にひとつのものが生まれました。アシの芽に似たそれは、すなわち国常立尊と号します。
とあります。
この伝承は古来の国家的信念で、わが国はこうした悠久なるところにその源を発しています。
《修理固成》
国常立ノ尊を初とする神代七代の終わりに、イザナギノ尊・イザナミノ尊二柱の神が成りました。古事記によれば、二尊は天ッ神 諸々の命もちて、漂える国の修理固成の大業を成就しました。即ち、
「是に天ッ神、諸々の命もちて、イザナギノ命・イザナミノ命二柱の神に、この漂える国を修理 ツクリ固 カタメ成 ナセと詔ノりごちて、天の沼矛ヌボコを賜いて、言依コトヨさし賜いき。」
とあります。
《天照大神》
かくてイザナギノ尊・イザナミノ尊二奪は、先づ大八洲を生み、次いで山川・草木・神々を生み、更にこれらを統治せられる至高の神たる天照大神を生みました。即ち古事記には、
「この時、イザナギノ命 いたく歓び仰るには、吾れは御子を生み生みて、生みの果てに、三貴子
ミハシラウズノミコ得たりと仰って、即ち其の御頚珠ミクビの玉の緒もゆらに取りゆらかして、天照大御神に賜いて仰るには、汝が命は高天原を知らせと、言依さして賜いき。」
とあり、又日本書紀には、
「イザナギノ尊・イザナミノ尊共に議ハカりて曰
ノタまく、吾れ既に大八洲国及び山川草木を生めり
いかに天下の主たるべき神を生めと言うのでしょうか。是に共に日神ヒノカミを生みまつります。
大日孁貴オオヒルメムチと号モウす。この皇子、光り麗しく宇宙をどこまでも照らします。」
とあります。
天照大神は日神ヒノカミ又は大日孁貴オオヒルメムチとも申し上げ、「光麗しくして宇宙の内に照徹らせり」とあるように、その御稜威ミイズは宏大無辺で万物を育てます。
即ち天照大神は、高天ノ原の神々を始め、二尊の生んだ国土を愛護し、群品を撫育し、生成発展させます。
《神勅と皇孫の降臨》
天照大紳は、この大御心・大御業を天壌と共に窮りなく弥栄えに発展させるために、皇孫を降臨させ神勅を下して、君臣の大義を定め、わが国の祭祀と政治と教育との根本を確立し、ここに
肇固の大業が成りました。
わが国はこのような悠久深遠な肇国の事実に始まって、天壌と共に窮りなく生成発展するのであり、まことに万邦に類を見ない一大盛事を現前しています。
天照大神が皇孫ニニギノ尊を降すに先立って、御弟スサノオノ尊の御子孫である大国主ノ神を中心とする出雲の神々が、大命を畏んで恭順なされ
ここに皇孫は豊葦原の瑞穂の国に降臨されることになりました。
皇孫降臨の際に授かった天壌無窮の神勅には
『豊かで瑞々しいあの国は、わが子孫が君主として治めるべき国土です。わが孫よ、行って治めなさい。さあ、出発しなさい。皇室の繁栄は、天地とともに永遠に続き、窮まることがありません。』
と仰られました。
即ちここに厳然たる君臣の大義が昭示され、わが国体は確立し、全てを統治なさる大神天照大神の御子孫がこの瑞穂の国に君臨なされ、その御位
ミクライの栄えること天壌と共に窮りありません。
この肇国の大義は、皇孫の降臨によって万古不易に豊葦原の瑞穂の国に実現されます。
更に神鏡奉斎の神勅には、
『この鏡は、もっぱら私の御魂として
私を拝するように祭りなさい』
と仰られました。
即ち御鏡は、天照大神の崇高なる御霊代ミタマシロとして皇孫に授けられ、歴代天皇はこれを承け継ぎ、いつき祭ります。
歴代天皇がこの御鏡を継承なさるのは、常に天照大神と共にある大御心であって、天照大神は御鏡と共に今におられます。
天皇は常に御鏡をいつき祭って、大神の御心をもって御心とし、大神と御一体になるのです。
これがわが国の敬神崇祖の根本です。
又この神勅に次いで、
『思金オモイカネノ神は、前ミマエの事を取り持ちて政マツリゴトせよ。』
と仰いました。
この詔ミコトノリは、思金ノ神が大神の詔のまにまに、常に御前の事を取り持ちて行うべきことを明示したもので、大神の御子孫として現御神アキツカミである天皇と、天皇の命によって政マツリに当るものとの
関係を、厳として御示しになったものです。
即ちわが国の政治は、上は皇祖皇宗の神霊を祀り現御神として下は万民を率いる天皇の統治するところであって、事に当るものは大御心を奉戴して輔翼の至誠を尽くすのです。さればわが国の政治は、神聖なる事業であって、決して私のはからい事ではありません。
ここに天皇のご本質を明らかにし、わが国体を一層明徴にするために、神勅の中にうかがわれる天壌無窮・万世一系の皇位・三種の神器等についてその意義を明らかにしなければなりません。
《天壌無窮》
天壌無窮とは、天地と共に窮きわまりないことです。無窮ということを単に時間的連続に於て
のみ考えるのは、未だその意味を尽くしたものではありません。
普通、永遠とか無限とかいう言葉は、単なる時間的連続に於ける永久性を意味していますが、
天壌無窮は、更に一層深い意義をもっています。即ち永遠を表すと同時に現在を意味しています。
現御神の天皇の大御心・大御業の中には、皇祖皇宗の御心が拝せられ、又この中にわが国の無限の将来が生きています。
わが皇位が天壌無窮であるという意味は、実に
過去も未来も今に於て一つになり、わが国が永遠の生命を有し、無窮に発展することです。
わが歴史は永遠の今の展開であり、わが歴史の
根柢にはいつも永遠の今が流れています。
「教育ニ関スル勅語」に
『天壌無窮ノ皇運ヲ扶翼スべシ』と仰られていますが、これは臣民各々が、皇祖皇宗の御遺訓を
紹述なさる天皇に奉仕し、大和心を奉戴し、
よくその道を行ずるところに実現されます。
これによって君民一体となり、無窮に生成発展し皇位は弥々栄えるのです。
まことに天壌無窮の宝祚はわが国体の根本で
これを肇国の初めに当って永久に確定したのものが天壌無窮の神勅です。
《万世一系の皇位》
皇位は万世一系の天皇の御位であり、ただ一すぢの天ッ日嗣アマツヒツギです。
皇位は皇祖の神裔にあり、皇祖皇宗の肇めた国を承け継ぎ、これを安国と平らけくしろしめすことを大御業オオミワザとなさる『すめらぎ』の御位であり、皇祖と御一体となってその大御心を今に顕し
国を栄えしめ民を慈しみくださる天皇の御地位です。
臣民は、現御神の天皇を仰ぐことに於て同時に
皇祖皇宗を拝し、その御恵の下にわが国の臣民となるのです。
このような皇位は尊厳極まりなき高御座タカミクラで
あり永遠に揺ぎなき国の大本です。
高御座に着かれた天皇が、万世一系の皇統より出でるは肇国の大本であり、神勅に明示するところです。即ち天照大神の御子孫が代々この御位に着くことは、永久に変わることのない大義です。
◆個人の集団を以て国家とする外国に於ては、
君主は智・徳・力を標準にして、徳あるはその
位に即き、徳なきはその位を去り、或は権力に
よって支配者の位置に上り、権力を失ってその
位を追われ、或は主権者で在る民衆の意のままにその選挙によって決定される等、専モッパら人の
仕業、人の力のみによってこれを定める結果と
なるのは止むを得ないところでしょう。
しかもこの徳や力は相対的なものですから、権勢や利害に動かされて闘争を生じ、自ら革命の国柄を成すに至ります。
しかしわが国に於ては、皇位は万世一系の皇統に出でる御方によって継承され、絶対に動くことがありません。
それゆえ、こうした皇位に在られる天皇は、自然にゆかしき御徳をそなえられ、従って御位は益々固く神聖なのです。
臣民が天皇に仕え奉タテマツるのは義務ではなく、
また力に服することでもなく、止み難き自然の心の現れであり、至尊に対し奉る自らなる渇仰随順です。
我ら国民はこの皇統の弥々栄えます所以と、
その外国に類例を見ない尊厳とを深く感銘し奉ります。
《三種の神器》
皇位の御しるしとして三種の神器があります。
日本書紀には、
『天照大神、乃ち天津彦彦火瓊瓊杵アマツヒコヒコホノニニギノ尊に、八坂瓊ヤサカニノ曲玉マガタマ、八咫ヤタノ鏡、草薙クサナギノ剣、三種の宝物を賜う』
とあります。
この三種の神器は天の岩屋の前に於て捧げられた
●八坂瓊ノ曲玉 ヤサカニノマガタマ
●八咫ノ鏡 ヤタノカガミ
●素戔鳴ノ尊の奉られた 天ノ叢雲アマノムラクモノ剣
(草薙ノ剣)
の三種です。
皇祖は皇孫の降臨に際して、特にこれを授け、
神器は連綿として代々相伝えて皇位の御しるしとなりました。
従って歴代の天皇は皇位継承の際これを承けられ
天照大神の大御心をそのままに伝えられ就中ナカンズク、神鏡を以て皇祖の御霊代として奉斎なさるのです。
畏くも、今上天皇陛下御即位式の勅語には
『朕祖宗ノ威霊ニ頼リ 敬ミテ大統ヲ承ケ 恭シク神器ヲ奉リシ 茲ココニ即位ノ礼ヲ行イ 昭ニ爾有衆ニ誥ツく』
『私は皇統の祖の威霊により、敬いて大統を
受け恭しく神器を奉り、ここに即位ノ礼を行い、
昭らかに爾(なんじ)国民に告げます』
と仰います。
この三種の神器については、政治の要諦を示されたものと解するものもあり、或は道徳の基本を示されたと拝するものもありますが、こうした事は、国民が神器の尊厳をいやが上にも仰ぎ奉る心から、自ら流れ出たものと見るべきでしょう。
〜〜漢字の読みと意味〜〜
国体/国の特色、国柄
肇国 チョウコク•ハツクニ/国の始まり
天地開闢 テンチカイビャク/世界の初め
修理固成 シュウリコセイ/うくりかためなす、未完成の国を1つに造り固め成す、国を造る
万世一系/永遠に続く一つの皇統
皇祖/皇統の祖先=天ッ神=天地創造神=主神皇祖皇宗/皇室の祖オヤ、皇統の流れ
現御神 アキツカミ/高天原からこの世に人間の姿で現れた神
すめらぎ/皇祖から続く天皇の皇統
朕 チン/天皇の一人称、私
神勅 シンチョク/神のご命示
万古不易 /永遠に変わらない事
天壌無窮 /天地ともに窮まり尽きないこと
天地と同じように永遠に続くこと
天壌無窮の神勅
千五百秋 チイホアキ/限りなく長い年月、永遠
億兆一心/国民の心が一つになること
高御座 タカミクラ/天皇の位、皇位
聖旨/天皇の思し召し
豊葦原瑞穂の国 トヨアシハラミズホノクニ/豊かな葦原に瑞々しい稲の穂が実っている国=日本国の美称
天ッ神 アマツカミ/天地創造神=主神
天ッ日嗣 アマツヒツギ/皇位を継承すること
現御神 アキツカミ/この世に人間の姿で現れた神
神裔 シンエイ/神の末裔
天の沼矛 アメノヌボコ/国生みで使われた矛
大八洲 オオヤシマ/日本国の古称
光華明彩/光麗しく
六合 アメツチ•リクゴウ/天地と四方、宇宙
肇固 チョウコ/国固めの初まり
御綾威 ミイズ/神の大きな力、大きな威光
皇運/皇国の運命
御遺訓/歴代天皇の遺された教え
紹述 ショウジュツ/先人の業を受け継いで、それに従って行うこと
統べ治しめす スベシロシメス/天皇が統治する
神鏡奉斎の神勅/天照大御神が三種の神器の鏡を授け、その鏡を大御神と同じように地上でまつることを命じられた神勅
撫育 ブイク/可愛いがり大事に育てること
奉る タテマツル/いつきまつる
奉戴 ホウサイ/慎んで戴き祭る
輔翼 ホヨク/助ける
皇運 /国の運、天皇の勢威
弥栄 イヤサカ/一層栄えること
肇固 チョウコ/国造りの初め
君臣 クンシン/天皇と国民
万邦/全世界の国々
敬神崇祖/神を敬い祖先を崇める
詔 ミコトノリ/天皇の仰せ
思金ノ神 /智恵を司る神
鞏く カタく/固く、強く
宝祚 ホウソ/天皇の位、皇位
渇仰随順 カツゴウズイジュン/深く慕って従う事
所以 ユエン/由縁、ゆかり
就中 ナカンズク/その中でも特に、とりわけ
即く ツく/地位に身を置く
闡明 センメイ/不明瞭をはっきりさせる
而して/シカして
儼然/厳然
蓋し ケダし/思うに、考えてみるに
渝る カワる/変わる、代わる
誥く ツく/君主が告げる
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