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鶏が先か、卵が先か

最近はサッカークラブを運営するうえで、どのような問題に直面するのかなということを考えています。
運営するクラブのカテゴリーや種類によって色合いは変わってくると思うのですが、その際の議題としてあがってきやすいのが、タイトルにもある【鶏が先なのか、卵が先なのか】問題。


「XがY無しに生じ得ず、YがX無しに生じ得ない場合、最初に生じたのはどちらなのか」という理論で要は鶏が先に生じたのか、卵が先に生じたのかどちらなのかとういう事。
鶏は卵無しに生じ得ないが、卵もまた鶏無しには生じ得ない。これがサッカークラブの運営、経営とどのような関係があるのか。

【現場が先か、マーケが先か】



まずは現場の強化だけを考える。ここに尽きる。選手を補強し、ガチガチに勝てるサッカー戦術を落とし込み、試合に勝てるようになる事を優先する。試合に勝てるようになれば認知度は高まり集客も出来るようになる。クラブの目指すべきビジョンやクラブとしての理論は試合に勝ってから吐け。試合に勝つからこそ【マーケ】が生まれるんだよという考え方。

が1つ。

もう一つはクラブのビジョンや理念をしっかりと議論しながら構築し、クラブのカラーをまずは決める。そのビジョンやクラブのカラーというのは「このような選手を育てる!」や「このようなサッカーを展開する!」的な現場の事もそうだし、「こういう活動を通して社会に貢献する」や「サッカー以外の活動も積極的に行う」的なマーケの部分両方です。このようなクラブとしての在り方を差別化する努力をしたうえで、選手を集める。認知を広げ集客する事ではじめて【現場】が生まれるんだよという考え方。

【大学サッカー部MG兼広報としての経験】

僕自身は大学4年生の時にサッカー部の広報として活動した経験があり、【鶏が先か、卵が先か】という議題によく頭を悩まされました。

伝統ある部活であることは間違いなく、歴代のOB達がサッカー部に様々な期待や想いを抱いてる。伝統あるクラブとして好成績を収めていたが、近年成績が沈み気味。そのような状況でクラブの在り方を再定義し、発信していくという行いは非常に批判が生まれやすかった。

広報として活動を始めたのはこんなに熱い試合が大学のホームグラウンドで行われているのに、お客さんが少なくてはもったいないというのがキッカケ。

最初はただただ、試合を観に来てください!といううるさい宣伝だけを行っていましたが、それだけではもちろん共感を生む事が無く、試合を観に来たとしてもリピーター(サポーター)になることはありませんでした。

お客さんをたくさん呼ぶため、サポーターを生む為には客寄せパンダとしてスター性のある選手を獲得するのも一つの手でありますが、大学サッカーにおいてそれは万全策ではありません。

やはりアマチュアサッカーでもプロサッカーでもそう。お客さんを呼ぶためにはクラブとしての在り方が差別化されていないといけません。

そして、うちのサッカー部は社会的観点からするとどういった存在で、どう在るべきかという事を再構築し、発信し始めました。

「地域のコリアン学校への訪問」、「大学関係者との関係構築」、「他部活との共同プロジェクト実施」、「大学での売店運営」、「ホームグラウンドの環境設備改善プロジェクト」などなど。

そうする事によって、じわじわと集客数が増え始め、サッカー部を応援してくれる人達。関心を持ってくれる人達が生まれてきました。

まずは【マーケ】を高速で回し、【現場】へと循環させよう。集客はぐんぐん成長。

しかし、

一方の現場はというとイマイチ戦績が伸びる事なく、むしろ二部リーグ降格を喫する。

「試合に勝ってから夢を語れ」

「結果を残してから宣伝をしろ」

「試合に勝てないくせに集客ばかりに力を入れるな」

という批判がありました。いや、そういった批判を直接耳にする事は実際になかったのですが、そのような雰囲気は蔓延していました。

選手達の価値を広める、高める立場である広報の立場としては非常に申し訳なく、選手達も肩身が狭かったに違いないでしょう。

でかい口を叩いたのにもかかわらず、結果で示すことが出来なかったのですから仕方ありません。しかも、クラブの理念やビジョン、活動のハンドルを切っているのはピッチで走っている選手達ではなく、クラブを運営している僕達なのですから、なおさらです。

ここで、もう一度【鶏が先か、卵が先か】「現場が先か、マーケが先か」について考えます。

実際に上記のような批判や反省点があったはあったのですが、果たしてそれは間違った行動だったのか。

まずは時の問題。

たかが1年間だけマーケを高速に回したからといって現場に好影響をもたらせるはずが無いということ。今行ってる活動が実を結び始めるのは1年後かもしれませんし、10年後かもしれない。

マーケを高速に回すという判断は間違った舵取りではなかった。最初から誰もが上手く舵を取れる訳がなく、舵を取るという決心をした人だけが舵取りが上達する。

クラブの在り方を積極的に発信し、サッカー以外の所の活動を積極的に行う。最初は不器用で上手く見せることがなかなか難しい。

しかし、

不器用で下手な僕を見た、たくさんの方々が助けてくれました。僕を通してサッカー部に興味、関心を持ってくださる方がたくさんいました。

クラブの看板はもちろん選手ではありますが、クラブの内部の人間もクラブの看板、ブランドになってもいい。

内部の人間こそが自分の考えを発信し、物語を提供する事によって、よりクラブに愛着を持てるような気がします。

【収益】

理念構築➡️普及➡️認知➡️集客➡️収益➡️強化(環境、設備、人材)➡️勝てるチーム

このサイクルを試みました。

しかし「収益」を再現する事が出来ずにサイクルを動かすことは出来ませんでした。グッズ、チケット、スポンサー等々。収益を生むための方法はたくさんありますが、一歩が出ませんでした。

ヒト・モノ・カネ

これをマネジメントする難しさに直面。
良いサッカーをするから人材(選手、スタッフ、サポーター)が集まるのか、勝てるサッカーをするから人材が集まるのか。

まずは勝てるチームを意地でも構築し、横のマーケへと展開していくのか。

【鶏が先か、卵が先か】

答えがあるようで無いこの議題。もっともっと行動し考えていきたいと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。