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【サッカーを切り口に世界の人と文化に触れる】前編

もし、この記事を読ま始めたそこのアナタに、「一年間の時間を自由に使っていいよ」という指示が下されたとするならば、

何をしますか?

何をしたいですか?

今回、取材させて頂いた人物は東京大学に入学後すぐ、一年間の休学プログラムを取得し、

「サッカーを切り口に世界の人々と文化に触れる」ことを決意した。

現在、東京大学生であり、本田圭佑選手がプロデュースする【SOLTILO FAMILIA SOCCER SCHOOL CAMBODIA】公式アンバサダーでもある、

石丸泰大さん(19)さんに取材させて頂きました。

休学制度とは何なのか。何故、旅に出たのか。何故、サッカーだったのか。旅に出る事により、どういった変化があったのか。

旅の時系列と共に聞いていきたいと思う。

【目的を失った大学一年生】

ーーさっそくですが、旅に出る前はどういった事を得るイメージしていましたか?

「東京大学に入学する前の話に遡るんですが、高校生の頃は部活と勉強と文化祭のこの三点を両立させる事に重きを置いていて。東大を受験するにあたっても、高3の夏まで部活を続けましたし、とにかく目の前の事を全力で取り組みました。特に、部活を早期引退せずに東大に入学するという目標に関しては、必死に取り組みましたし、部活を引退せずに東大に合格するというケースもあっていいんじゃないかと思って頑張りましたね。まぁ極々普通の高校生でした(笑)」

ーー僕からすると東大に合格するだけで、既に普通の高校生ではないですが(笑)

そうして無事東大に合格される訳ですが、そこからどのようにして旅に出ようという思考に至ったんですか?

「中学の時も高校の時も目の前の生活や目的に向かって努力していた毎日があって、いざ東大に入学してみると、東大に入学する事そのものが目的になってしまっていて、東大に入学した後のプランというか目的が何もなかった事に気が付いたんです。『これから何をしよう』って」

ーー東大入学という一つの目的を達成した事によって、次の目的を失ってしまったんですね。

「そうですね。その時は必死に取り組んでいたので、後から振り替えるとそうでしたね」

【サッカーを切り口に世界に出よう】

ーーそれで、新しい目的を見つける為に旅に出ようと?

「ちょうどその頃に大学の『休学プログラム』があると噂に聞いて、そのプログラムを取得して、自分は世界の旅に出ることにしました。旅に出る前のイメージとしては、二つの理由があって。
一つの理由としては、やはり大学入学と共に見失ってしまった目的をまた見つけ出して、自分の本当に『やりたい事』を探る為でした。
二つの目の理由は、『異文化との交流』です。世界の人々の生活模様や宗教について、日本では体験できないような事を経験して、新しい価値観を取得したかった。
旅を構想中はそこにサッカーを結び付けるつもりはまったく無かったんです。が、その休学プログラムを取得する為にはこのプロジェクト内容をもって面接などにも合格しなくてはいけなくて、どうしても計画性のある旅でないといけなかったので、考えた結果、後からサッカーを結び付ける結果になったんです。その時は本当にボンヤリとしていたので、こんなにも充実した旅になるとは思ってもいませんでした」

ーーなるほど!最初からサッカーを切り口にするつもりは無かったんですね。

ちなみに、石丸さんは今でたこのワード「やりたい事」についてどう考えていますか?

「僕の場合は無理やりにでも夢をこじつけて、動いていたら自分が将来的にどう在りたいのか、何を大切にしたいのかを深く考え直すことができたと思っています。

結果的にまだやりたい事は決められていませんが、間違いなく行動をする事によって考えが進みましたし、やりたい事がない時に何もアクションを起こさずに勝手に見つかることはないと思うので。

やりたいことを見つけたかったら自分の興味や好きを大事にして、今まで見てこなかった世界を覗こうとアクションを起こすことが大事かもしれないですね」

ーーなるほど。そうして自分の「やりたい事」を探し続ける訳ですが、旅においてのメインテーマは何だったんですか?

「僕が最もしたかったのは『異文化交流』でした。
異文化交流を果たす為には、訪問する先々の現地の方との距離を縮めるという作業が欠かせませんし、その距離を縮ませてくれるツールこそがコミュニケーションであり、そこで選んだ僕のコミュニケーションツールサッカーになったという事ですね。サッカーというコミュニケーションツールをもって、日本とは正反対の国々に行って、新しい価値観に触れてみたかったという気持ちが強かったですね」

ーーサッカーはあくまでもコミュニケーションツールであり、その根本的な目的には「異文化交流」があったと。非常に興味深いですね。「サッカーを切り口に世界の人と文化に触れる」というフレーズの意味が理解できました。

【夜中の2時まで向き合ってくれたあの熱意】

最初はどこの国に行かれたんですか?

「カンボジアです!」

ーーカンボジアではどのような経験をされたんですか?

「カンボジア一部リーグに所属するソルティーロ アンコールFCというサッカークラブで一ヶ月のインターンをさせて頂くことになりました。このクラブは本田圭佑さんが実質オーナーを務めるクラブでして、多くの日本人の方がこのクラブの運営や、クラブに付随するサッカースクールや地域貢献活動に携わっていて、僕もインターンとして受け入れてもらう事になりました」

ーー色々と聞きたいことがありますが、そのインターンではどのような事をされたんですか?

「主にはトップチームのマネージャー的役割を経験させて頂きました。練習中のサポートであったり、試合当日の準備運営、選手達の備品管理や洗濯業務まで。間違いなく日本に居たら経験出来なかった事を経験させて頂きました。でも、その中で葛藤もありまして…」

ーーどのような葛藤ですか?

「前提として全ては自分の準備不足が起因しているんですけど、外の世界に淡い期待を抱いてたというか」

ーー淡い期待?

「はい。発展途上の国に行って、そこの現地の人達と積極的に交流して、新しい価値観を注入するみたいな刺激を求めていて。でも、実際には現地の人と交流するというよりかは、チームのマネージャー業をやっている…自分の旅に出る前の目標設定がブレブレだったせいで、この時も『何をしているんだろう』というモヤモヤ感に襲われていました」

ーーその「葛藤」にどのようにして向き合ったんですか?

「さすがにこのままじゃいけないなと思って、近くにカンボジアサッカーファンで賑わうフットサルコートがあったので、そこにふらっと立ち寄って、『混じりたいな~』みたいな感じ眺めていたら快く誘ってくれて。そこで現地の方々との距離が縮まったんです。その当時は英語も拙かったので、拙い英語同士でなんとかコミュニケーションを図れましたが、『一緒にボールを蹴る』事によって一気に距離が縮まりましたよ。やっぱりサッカーは偉大ですね。この感覚サッカーをした事がある人だったら分かると思いますよ。
そして、もう一つとしてはソルティーロ アンコールFCの集客活動にも携わらせて頂いていて、その活動の一環でフットサル大会を企画した事が大きかったですね。最終的にそのフットサル大会は70人もの方達が参加してくれて、成果的に終える事が出来ました。今まではルーティンワークだけをひたすらやっていたんですが、そのフットサル大会は自らが考えて、『ゼロから創る』体験が出来たし、『場所を創る』という所に自分のやりがいを感じる事が出来ました。ただ…」

ーただ?

「確かにその時に持っていたモヤモヤ感は解消出来たんですけど、それはこの一ヶ月のインターン活動においてのモヤモヤ感が解消されただけであって、これからの旅の景色はまだまだ晴れていなかったですね」
「実は日本をたつ前から、ソルティーロ アンコールFCに携わる“4人の方達”と相談をさせて頂いていて。そこで、『ただカンボジアに来るだけだったら時間を棒に振ってしまうから、目標設定をしたうえで来た方が良い』ということは言われていて。カンボジアに行った後もそんなボンヤリとした自分を良い意味で許してくれなかったんですよ。常に“4対1”の環境のもと、毎晩2時までこんな僕と向き合ってくれたんです。その方達からすれば、インターン生を受け入れて、インターンを行ったという事実が残ればそれでいいのに、それ以上の対価をこんな僕に払ってくれた。『19歳なのに世界を旅するなんて凄いね』とか『何で旅に出ようと思ったの?』という質問に対して、これまでは“うわべ”だけの答えを持っていたし、どうしても人によく見られたいという心理が働いていて。僕はそれまで否定された事があまり無かったんですが、その時に初めて否定されまくりました。『何がしたいのか』『何故それをしようと思うのか』そこを問い詰められれば、問い詰められる程、自分の社会においての実力の無さを痛感しましたね」

ーーその方達の情熱、凄まじいですね。うわべや形だけではなく、より論理的に自分の考えをブラッシュアップしないといけないような環境に身を置かせてくれたんですね。

「ほんとそうですね。今までは同世代の人達としか濃く関わって来なかったのですが、その方達の交流を通して世代の壁が壊れましたね。『社会人』としての、『大人』としての、洗練された『考え』に触れさせて頂いたおかげで、少しずつ方向性が見えてきました。この方達の姿勢や熱意に心を打たれて、絶対にこの想いに答えないといけないなと思いました」

ーーいやー素晴らしいですね。その情景が目に浮かびますよ。ちなみに、その“当時”の少しずつ見えてきた方向性とはどのような方向性でした?

「そうですね。自分はプレイヤーとしてはサッカーをかじっていた程度なので。ピッチの外からサッカーに貢献し、更に日本に貢献出来る方法は無いかなと模索し始めました。そこで出た当時の答えとしては、その為にはまず世界のサッカー。更に言うと世界のサッカービジネスの模様を知って、そこで活躍する事によってそれらを日本に還元出来るのではないかと考えるようになりました。サッカービジネスの最前線に足を運んで、その様子を覗いてみたいと思いました」

なるほど。日本に対して貢献する為には、更に規模感のあるサッカービジネスの最先端を知らないといけないと。

【世界のサッカーに触れる】

そこでまずマレーシアに行かれたんですよね。マレーシアではどのような事を?

「そうですね。そこではアジアサッカー連盟(通称AFC)にお邪魔させていただいて、そこで働く日本人の方にもお会いさせて頂きました。この仕事に携わるようになった経緯等をお聞きする事ができて、本当に面白かったですね。こういった関わり方もあるんだと」

ーー素晴らしい!行ってみたい…

「後は、少し脱線してしまうんですけど、マレーシアや東南アジアの方々と交流するなかで、『見返りを求めない暖かさ』を感じる事が出来ましたね。
全員が全員そうとい訳ではないと思うのですが、商売目的とか関係無く、一日中マレーシアをガイドしてくれるタクシードライバーの方とも出会いましたし、少し忘れかけている部分を思い出させてくれました。例を挙げればキリがないんですが」

ーー確かにそうですね。僕達はどうしても損得勘定で物事を考えがちですからね。僕もその部分では感じる事が多いですね。

その後、石丸さんはヨーロッパに旅立たれます。ヨーロッパでの放浪はどのような内容になりましたか?

「東南アジアからヨーロッパに移動した際は環境整備の整い具合に感動したんですが、人間の“慣れ”というのは怖くて、少しずつ感動の幅も縮まっていきましたね。
とはいえ、ヨーロッパでも本当にたくさんの方々からご縁を頂いていて、サッカークラブで働いている日本人の方や、TEAM Marketingにお勤めの岡部恭英さんにお会いさせて頂きました。TEAM Marketingとは、UEFAの専属マーケティングエージェンシーで、UEFAと一緒に『Champions League』を創り上げビジネス面を全面的に担うスポーツマーケティングの会社です。この会社で日本人として、アジア人として初めてお勤めすることになったのが岡部さんです。間違いなく日本人で一番サッカービジネスの最前線に携わっている方です」

ーー凄いですね。そこにはどのようなノウハウがありましたか?

「チャンピオンズリーグに携わる仕事をされている岡部さんからは『とにかく好きな事を徹底して追及しなさい。好きな事以外でドライブがかかる事はない』という事、そして『外に出ること』の重要性を学ぶことができました」

「ベルギーでは日本人選手が多く所属する『シント=トロイデンVV』というサッカークラブに訪問させて頂きました。そこではなんと、クラブのCFO(最高財務責任者)を務めていらっしゃる飯塚晃央さんにお話を伺う時間を設けていただけました。たくさんのお話を聞くことが出来たんですが、『世界での活躍を試みる日本人のファーストステップになる』というビジョンを伺う事が出来ました。それは選手だけではありません。『選手、指導者、現場スタッフ、フロント、ビジネスパーソン達の欧州で戦う為の舞台を用意する』という理念です。とても印象に残っているし、本当に勉強になりました」

濃すぎる。

とても一つの記事にはまとめ切れない。

まだまだ本当は引き出せる言葉、経験がある。

足りない。

今回ばかりは二部構成にしよう。

皆さんはここまでお読み頂いていて、どのような感想を持たれただろうか。

もちろん彼が持つ行動力も間違いなく素晴らしいのだが、どこか柔軟性があり、自分の“失敗”や“負”をすんなりと認めてしまう姿勢がそこにはある。

自身の虚無感を受け止め、どうにかして前に進もうとする。

東南アジアでの葛藤、毎日のように議論したあの日々。

そして、最先端のサッカービジネス模様を覗くことが出来た、ヨーロッパ。

その後、彼はどんな考えを持ち、次の場所へと走って行くのか。

後編では、アフリカ南米での経験を中心に語ってもらい、

今後は何を考え、何に興味を持っていくのか聞いて行きたいと思う。

乞うご期待!

【石丸泰大さんTwitter】
https://twitter.com/yasuishi123?s=09
【ソルティーロ アンコールFCの公式日本人後援会サイト】
https://soltilo-angkor-fc.com/
【ソルティーロ アンコールFCの公式note】
https://note.com/soltiloangkorfc
【ソルティーロ アンコールFCの公式Twitter】
https://twitter.com/soltiloangkorfc?s=09
【SOLTILO FAMILIA SOCCER SCHOOL CAMBODIA🇰🇭】
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