FairytaleReport02_0306-0421

▶R03
手帳にペンを走らせる――事も無く、思う言葉が、ページに刻まれていく。成程、是も己を"物語"に近付けた影響か。だとすれば、この手帳が、オレという物語を記す"本"と成るか。それにしては、雑多なメモ書きの方が多いのだが。
"理論"通りとは言え、喜んでも居られない。人間という括りから、一歩離れたという事なのだから。戻る道筋を、見失ってはいけない。

▶M07:0034 よし子と純子
気の抜けた顔を見せる様になったもの、とも思う。あれなりに、懐いていると言う事か。――女児の扱い等、知る由も無いのだから、不機嫌にもさせるだろうが。
物語だと。人間とは、オレとは、別の次元に在るものだと言うのなら。せめてその物語が幸せな結末で在る事を、祈り願うとしよう。
祈りも願いも。魔術師とは、オレとは、縁遠い言葉ではあるが。

付記:飴玉は食べる様だ。
推察:恐らく食性は人間と差異無いのだろう。

▶R04
"物語"が現実に作用するのならば、その観点からは魔術と同義だ。そうで在るならば、魔術と同様に、"物語"を書き換えて、現実への影響を変える事も。いや、"物語"が限定的にでも現実となるのならば、現実を書き換える事も、即ち可能と言う事。魔術との差異は、その影響の範囲か。"物語"の範疇ならば、魔術では実現が難しい書き換えも可能と言う事になるか。試すのならば、この手帳の、"オレの物語"を書き換えるか? だが、それは、益々以て、"人間"を逸脱する事になる。そんな心算は無いし、それに、そうまでして、オレは何を求める? "オレの物語"を書き換えると言うのならば。"オレの物語"では知り得ない、成し得ないものを求めるのが当然で、だとすれば、オレでは無く、

     ―― ページは、其処で破り捨てられている。 ――

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?