FairytaleReport03_0422-0505

▶R05
手帳は開いて居ない。こうした思索も、記されて居るのだろう。或いは、それ以前の、オレの半生も。それが書き連ねられる程に、"己の物語"の影響は大きくなる。回帰不能点は近いか、或いは。それでも、何かを手にし得ないので在れば、進むより無いか。童話画廊の深部。"己の物語"を、一歩。
オレの物語に、引き返す事は許されない。
もう、進む事も出来ない物語も、在るのだから。

▶M08:0002 リンドウ
恐らくは鬼と呼ばれるもの。酒に宴を好むは、語られるその通りか。差し出せば何でも食う様な辺り、"安い"様にも思えるが、果たして。怪力乱神を期待するでも無いが、役に立つ札で在る事を願おう。
それにしても、何故小さい奴にばかり巡り会うんだろうな。

▶M09
野宿でも在るまいし。童話画廊ならば容易いのだから、寝具くらい自分で用意したら如何なんだ。

▶M10:0034 よし子と純子
火遊びの心算も無いのだがな。しかし望むなら、そうせざるも得ないか。所詮は泡沫の出会いだ。オレは物語には還らず、あいつは物語に還るのだろう。それでも、と。あいつは、言えるのか。オレは、言えるのか。

付記:人間と変わらないので在れば。人間と同じ様に、傷付くのだろうな。

▶R06
開く事も無く、手帳を手に取る。この手に在る"理論"こそが、オレにとっての、"童話画廊"と言う名の魔術。進む為に。"己の物語"を。解き。結び。理論を辿り。現実を書き換え。オレ自身の存在を、変えて行く。人間から、変えて行く。書き換える事こそが、魔術と言えるのだから。
だから、この魔術で。

――何を、変える?

この物語の、何を変える?
魔術と言う力で、何に手を伸ばすのか。

――何を、求める?

何の為に、変える?
それはきっと、知りたいから。

――何を、知りたい?

魔術の深淵?
違う。
それはきっと、手段だった。
ずっと。オレが知りたかったのは。

オレが生きて。
オレだけが生きた、意味。


      ―― ページは、其処で途切れる。 ――

      ―― 彼の物語は、此処で。    ――

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