記録 六日目

人は何時か。
夜空の星になるのだと、記憶の中の"レティシア"が言う。
遠からず、ボクもそうなるのかと、思うけど。
それはきっと、見上げてくれる誰かが居れば、と言う話。
ボクはきっと、星にはなれない。


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救護記録
〇川辺 水難事故

(#138 鴨鹿 ももか)
夜半、川面に転落する瞬間に居合わせる。
溺れる前に引き上げる事が出来、事無きを得る。
記録名称"鴨鹿ももか"が……あなたが、無事で、良かった。


交渉記録
〇あなたの思い出
あなたが、ボクを、
思い出として、記憶するのなら、
ボクも、あなたを、記憶して、
思い出だけを、つれていく。

交渉記録
〇レシピ供与 水着

(#500 まねっこハチュチュ)
街跡にて、収集行為を行って居た所を確認、こちら側から接触する。
目的とする、水着製作の要綱を確認不能とのことであるため、
手帳内の標準レシピでは在るが、内容の教示を行う。
初日、此処で糸を探していた際、復興者からその交換を提案され、
物資面での支援を受けた事を思い出す。
名称記録…ハチュチュ。

その姿を見れば。
決して幸福な生き方であったとは、言えないのだろうけれど。
朗らかに笑う顔を見れば。
あなたの幸福を、ボクが決められる訳も無いのだろうと。


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夜空の何処か。
ボクが居た星も、在るのだろうか。
何もかもが、壊されて、奪われて。
何もかもを、壊して、奪った。
痛む筈の無い心が、痛いと言っている様で。
そんな筈も無いと、独り首を振る。
痛む様な心が、在るのなら。
ボクは此処に、居ない。

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