社会デビュー
私が働いているギャラリーにこの春から大学生のインターンが来ることになった。
どうやら、彼女は高校時代にバイトの経験がなく、初めて社会に出て働いてお金をもらうそうだ。なので「困っていたら助けてあげてね」とオーナーが話していた。
初めての社会。
(初めての社会という言葉は仕事以外もあるのである意味では間違っているのだけど…)
私は初めての社会で打ちひしがれた経験がある。
高校時代は、生徒会の一員として活動して放課後は美術予備校に通っていた。高校3年生の時はもはや週7で予備校に通っていたから、アルバイトなどしたことがなかった。
大学生になって、「よし!社会勉強しよう!」と思って働き口を探したところ、一人暮らしの家の近くのインドカレー屋の窓にスタッフ募集の張り紙があった。
インドもカレーも好きな私はすぐに張り紙にあった電話番号にかけて、面接の日取りを決めた。
そして面接の日。
「履歴書出してください」
私は何を言っているのかさっぱりわからなかった。
とりあえず何かメモするかもしれないと思って持ってきたノートとペン以外は財布、家の鍵、チャリの鍵、スマホしかない。
「履歴書持ってないです!」
元気にそう答えるしかなかった。もちろん不採用。
この時私は、高校時代のことをふと思い出して、生徒会長やったところで常識は身につかないのか、と愕然とした。
今思えば生徒会長やったことで常識が身につくわけがないのだけれど、どうあがいても履歴書という存在を今までの日常生活で触れられなかったであろうことに怖くなった。
だって今まで見てたドラマやアニメはバイトしてるシーンはあったけど、履歴書を書いているシーンなんてなかったし。履歴書が売っている場所すらわからなかった。
「常識ってみんなどこで勉強してるの?」
本当にその一言に限る。今だに常識には自信がない。
そこから、私は何か新しいことをやるたびにググっている。
同じ轍を踏まないために。
だから新しく来るインターンの子がどんなにすっとんきょうなことを言っても受け止めてあげたい。
絶対に、誰よりも、優しく見守ってあげられる自信がある。
母校の卒制展を見てきました。
たまに食べてた駅前のケーキ屋さんが懐かしかったです。