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尻切れトンボの会話から

フランスからの親戚、友達と日本酒を飲みに居酒屋へ行った。
私は京都伏見のお酒をたくさん飲める場所に、どうしても彼らを連れて行きたかった。日本酒も日本のウイスキーも大好きな彼らが絶対に喜ぶと思ったからだ。


18種類利き酒セット

18種類の利き酒セット、この合計は2合ほど。私ならフラフラになる量だが、彼らのアルコール代謝の回路はどうなっているのか、食前酒を飲んだだけのようだった。それでも気分は良くなり、独身の友人(男)の恋愛話が進んだ。彼に会うのは今回で2度目だが、初めてゆっくり話した。

彼の両親は数年前に亡くなってしまったが、両親は不動産をたくさん残したので、今はその収入で暮らしているという。すると、彼のまわりに色々な女性が寄ってきた。一部恋愛にも発展したが、結局お金目当てだった結末。その辺りから、彼は恋愛に消極的、人間不信にもなった。終いに全てが嫌になり、自分のことを誰も知らないフランス国内の場所に家を買って暮らし始めた。でもやっぱりパートナーが欲しい、という話だ。

これを、日本語、英語、そして時々フランス語では通訳を入れながら話した。彼は日本語はもちろん、英語もほとんど話せない。私は時々あやしい英語を話すが、フランス語は全く話せない状況。せっかく話の概要が理解できて、これから彼の気持ちを聞いたり、私のアイデアを話したりしたいと思っても、会話が止まってしまう。繊細な問題であるから、言いたいことがあっても、言い回しに気を使う。それ以上進めないモヤモヤ。もどかしい、尻切れトンボのように会話が終わってしまって、本当に残念だった。

ただ、改めてわかったことは、語学を学ぶ一番の理由。それは心からこの部分にあるということだ。彼の恋愛を語り合うということだけでは無く、この部分から広がる話、相手の世界観も知ることができるにちがいない。言葉が違っても、その人と話したいと思うと、やっぱりその言語を理解するしかない。苦しいけれど、その現実を受け入れざるを得ない気分だった。もちろん、この時ケータイの翻訳機能を数度使ってみたが、意味のわからないカタカナに変換されて終わった。ケータイをいじるタイムラグもあるし、結局スムーズな会話には向かない。

この先の未来、自分の頭にフランス語のチップを埋め込んだら、スラスラ話すようになる日が来るんだろうか。気持ちも、冗談も、自分の母語のように流暢に。

「他力本願」「あったらいいな〜」が頭をよぎりながら、腹のどこかで「(フランス語)またやるか…」が固まった出来事だった。話せたら、もっと楽しい未来だけは見える。


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