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今になって分かる「コジコジ」のおもしろさ

再放送中のアニメ「コジコジ」が毎週土曜日の楽しみになっている。

「コジコジ」はさくらももこさんの作品。「ちびまる子ちゃん」に並ぶ名作だと言えるだろう。

ただ、コジコジが発表されたばかりのころコミックで読んでも、アニメで見てもあんまりおもしろさが分からなかった。

キャラクターは皆さくらももこさんのタッチで描かれているので、どれもかわいらしい。けれど、コジコジは私には難しい漫画に思えたのだ。まるちゃんのような、くだらないバカバカしさや、友達関係のやり取りで生まれるややこしさが全面に出されているわけでもない。

まったく面白くない、というわけでもないけれど、心底「おもしろい!!!」とまでは思えずにいた。

しかし、最近再放送されているアニメ「コジコジ」を見直してみるともおすごくおもしろいのだ。コジコジは朝8時から放送されており、夫が朝食をとりながら見ていたので、わたしも何気なく見てみることにした。

その回は「カメ吉くんが儀式用の甲羅を買いに行く」という内容。

ちなみにコジコジは公式のYou tubeチャンネルがあるので、ちょっとずつみるのも楽しい。ただし、テレビで放送されていたものより、かなり編集されている。細かいおもしろさがカットされているのは、もったいないけれど十分楽しめる。

カメ吉くんが普段の甲羅ではなく儀式用の甲羅を買いに行く、というのがもうすでにおもしろい。ちなみに何の儀式なのか詳しい説明はしてくれない。

カメ吉くんが甲羅を脱いだらどうなるのか? という疑問からコジコジが「体毛の法則」を説明しだす、なんともシュールな内容。

おそらくこの回はお子さんが見てもおもしろいだろう。けれど、大人になった今、改めて見てみるとコジコジ世界の設定がすごい。メルヘンの国だからなんでもありなのか。

やかん君が片思いのペロちゃんを想像し、興奮するとお茶が沸かされる。コジコジとかめ吉君が「お茶だお茶だ〜」と喜んでお茶を飲むとか。文字で書くとムチャクチャだけれど、この流れは定番で、やかん君が興奮した後には絶対に描かれている。

子供の頃には分からなかったのに、大人になってからおもしろさに気付くというのは何でだろう。コジコジは子供に向けた作品のようでいて、大人が見ても楽しめる漫画だということなのだろうけれど。

ただ、分かりやすいおもしろさだけが「おもしろい」の定義には当てはまらないということかもしれない。ちびまる子ちゃんのおもしろさは、小学校三年生がその年齢や経験のなかで繰り広げるおもしろさだ。まるちゃんを見る多くの人が経験したことのあるおもしろさ。

コジコジは経験したことの、その先まで描かれている。そのものズバリのおもしろさではない。やかん君がどうして沸騰するのか、その意味はわかる。でも、その一連の流れでコジコジがお茶を飲んで「ああ美味しい」と和み、やかん君はちょっと落ち込んでいるところまでがセットになっている。

子供の頃には、やかん君の沸騰と、コジコジのお茶のつながりを「?」と思っていたのだろう。今ではその一連の流れにおもしろさを感じることができる。

まるちゃんは、断片的に見てもおもしろい。バカバカしいおもしろさ、とも言えるだろう。対して、コジコジには全体を通したおもしろさがある。断片ごとのモチーフにも面白みはあるけれど、その奥にある比喩的なおもしろさが今になってようやくわかってきた。

以前はよく分からなかったけれど、改めて見てみると面白く感じるものはたくさんあるはずだ。この機会に、また見直してみるのもいいなと考えている。


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