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『親子で遊べるDS絵本』を讃えたい

面白いゲームアプリ探す際大変お世話になっているゲームキャストさんがゲーム感想文のコンテストをやると聞き、まずはどんな感じかと投稿された感想文見てみると人それぞれで大変面白かったので僕もやってみようと思いするなり。僕は何書くかなあ。と色々考えた末、ニンテンドーDSで発売された『親子で遊べるDS絵本 うっかりペネロペ』のことを書くことにしました。僕がやってるブログで発売当初の感想を書いてるんですけど、今一度遊んで再評価してみたいなと思ったもので。
ゲームキャストさんの読者層とは全然合ってない気がしますが、最近僕のTLでお父さんお母さんになり子育てに奮闘する姿をちらほら見かけるようになりまして、中古でしか手に入らない作品だけど相場は1000円前後とプレミア化で入手困難ということもなさそうですし、意外に今でも推せるかなとも思ったので読者層は気にせず書いちゃいます。人のことはしらん!僕が読みたいから書く!改めて遊んでみて再評価したくなったので書く!
ということで、しばしお付き合い頂けたらこれ幸い。それでは。

『うっかりペネロペ』とは?

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やっぱりここからかな。「うっかりペネロペとは?」
『うっかりペネロペ』はゲオルグ・ハレンスレーベンとアン・グッドマン夫妻による絵本作品で初出はたしか2003年のフランス語版かな。日本でも2004年に刊行されたしかけ絵本シリーズ(写真左)を皮切りに何冊も日本語化して出版されシリーズで300万部ぐらい売れてる大人気の作品となっております。
ハレンスレーベンご夫妻の作品だとペネロペの前に刊行されたリサとガスパールシリーズも有名ですね。リサとガスパールシリーズも大変楽しくて素晴らしくてですね……

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「ガスパールびょういんへいく」(写真はオリジナルのフランス語版)は特に好きな作品でガスパールがおもちゃのキーホルダー誤飲して大騒ぎな回なんですが写真のシーン見た時は大爆笑すると共にその着想と表現力に感服。以降僕はハレンスレーベン夫妻の作品の大ファンになりまして、作品色々追っかけております。ちょっと横道に逸れてしまいましたがどうしても紹介したかったもので。もう脱線しないように努めたいと思います。努めたいと思います。
うっかりペネロペは3〜4歳をターゲットに作られた作品で、うっかりやさんのペネロペが繰り広げる騒動を親子で楽しく眺められる作品となっております。うちにも何冊かありますが、しかけ絵本シリーズでいくつか登場する高速でんぐり返しギミックは大変愉快ですので小さなお子さんお持ちの方は是非。プレゼントにも最適です。ただし乱暴な扱いには弱くうちのしかけ絵本のペネロペも子供の操作に耐えきれず数度遊んだ後高速でんぐり返しすることはなくなってしまいました。当時は大分がっかりしたけどそれも今となっては良い思い出。

ペネロペ、アニメ化される

原作が大人気となると次にくるのはそう、アニメ化の話。絵本や児童文学が原作のアニメ化といえば日本放送協会、略してNHKさんが一手に引き受けてるイメージで最近だと『おしり探偵』という、ともすれば局やBPOにクレーム殺到で放送中止に追い込まれそうなタイトルの作品をパーフェクトにアニメ化して好評を博し、春には映画化と凄いことになってますね。さすがは我らのNHK。学校放送含め積み重ねてきた経験値が違いますので子供向けコンテンツ手掛けた時の安定感は桁外れです。たまに本気すぎて引くけどそこもいい。ペネロペは引くほどロックな顔でなく、安心安全のNHK・Eテレキッズ枠で2006年から3シーズンほどアニメ化されております。
アニメ化されたペネロペは5分ぐらいのショートアニメなんですが、アクリル絵具をたっぷり乗せた筆致の残る、アニメ化するには難易度高そうな原作の絵を3Dアニメーションを用いて完璧に再現しております。これを手掛けたのは白組。僕はパチスロの戦国乙女で大変痛い目……お世話になっております。明智殿とソウリンさんいいよね。テイストは全然違うけどペネロペでのお仕事も大変素晴らしい。
現在はEテレで毎週水曜夕方5時20分から(2020年2月時点)放送してる他……

Netflixで「うっかりペネロペ」を観よう
https://www.netflix.com/title/70284858?s=i&trkid=14170286

リンク貼ったNetflixをはじめAmazonプライムビデオ見放題などでも観ることができます。百聞は一見に如かずと言いますし、一度ご覧頂くとその素晴らしさ多少なりとも感じていただけるのではと。尺も短いので一度是非。
アニメ版の推しポイント挙げるとしたら僕はナレーションでしょうか。能登麻美子さんによるナレーションが大変暖かくて、日々の生活に疲れたお父さんには心に染み入る優しさで癒されます。僕が能登麻美子さんのお名前意識したのは『よみがえる空-RESUCUE WINGS-』だった気がしますが今はペネロペのナレーションが1番印象に残ってるというか好きです。「みんなはどうかな?」とかこちらに呼びかけるような場面もあり、確実におじさんに向けられた言葉ではないのですが生活に疲れたお父さんを死に体からHP30ぐらいで復活させるガッツ効果ありそうです。こども番組だからと敬遠せずに一度ご覧頂ければと。

そしてゲーム化へ……

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いよいよゲームの話です。「マダオ前振りなげぇよ」とお思いかもしれませんがもう本文書きますので。多分もちょっとで終わると思います。たぶん。

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『親子で遊べるDS絵本 うっかりペネロペ』
ニンテンドーDSソフト 2008年4月24日発売
ジャンル:タッチ絵本
発売元:テクモ株式会社

もう12年も前の作品になってしまったかあ。そうかあ。
ゲーム版は先に紹介したアニメ版を基に、12種類のミニゲームと画面をタッチしたり息吹きかけたりして発生するギミックを楽しむ、デジタルしかけ絵本とでも言うべき作品です。

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どこをタッチすればどんな反応起きるか。どこにミニゲームがあるのか。その遊び方は?といった内容が説明書に書かれてまして、お父さんお母さんはここで予習してお子さんと一緒に遊んでいくって寸法です。

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ゲームの流れはこんな感じです。説明書の完成度高い!僕は現在ビデオゲーム買う際99.5%ぐらいDL版購入してるので紙の説明書久しく見てないんですけど(その影響か紙の攻略本買う率がちょっと上がってます)いやあ、昔は凄いですね。いや、DSが元気だった時代全部が全部凄いって訳ではありませんでしたが、これはかなり完成度の高い説明書だと思います。導入にはペネロペを説明する絵本パートがあり、そこからゲームの遊び方説明。巻末にはぬりえページもあるという。非常に丁寧な仕事で唸ります。

ちょっと説明書に見惚れてしまったのでゲーム内容に目を戻しまして。
プレイサイクルは写真の通り。非常に秀逸なのがアニメの演出に則った流れになっているところですね。まず導入としてアニメが展開されまして、その後サブタイトルが出るノリでミニゲームのチュートリアルが始まります。チュートリアルは設定でOFFにもできるのでやり込んで先を急ぐせっかちなお子様にも安心の仕様です。そしてミニゲームを遊び終えるとまたゲームを締め括るアニメが流れ終了。アニメを見るようにゲームが進行していくという、アニメに親しんだ方なら自然と入り込める作りは本当に素晴らしい。
このゲームのもうひとつ素晴らしいところは完全フルボイスなところ。アニメと同じキャストで、アニメと同じようにゲームでおしゃべりし、ナビゲートしてくれる。能登麻美子さんもあの優しい語り口で完全ナビゲート!僕……ではなく我が子に向けて能登さんが語りかけてくれる。こんなに素晴らしいことはない。

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12種類のミニゲームは原作と同じく3〜4歳児をターゲットに、簡単な操作で楽しく遊べるものばかりです。
写真はキッチンでお父さんが出題するクイズ。写真は「オレンジジュースはどれかな?」というお題で僕盛大に間違うの巻。このゲーム難易度2種類ありまして違いはクイズだと3択か6択かの違いですね。間違った時のリアクションですがこどもの自尊心損なわず次に進めるような気遣いに溢れる、子育ての際大変便利な言葉「あれあれ」なのも秀逸ですね。ここが「ブッブー、ちがいまーす」とかこども煽る方向だとゲームの印象悪くしかねませんので。流石です。ちなみに対子供向け間違い指摘ワード「あれあれ」は大変有能ですが会社の上司や部下に使うと「バカにしてんのかこの野郎」と思われ大変危険ですので会社では「なるほど」と一呼吸おいて「こういう考え方どうでしょう」とコンボ続けると角が立たずうまく回せると30年ぐらいのサラリーマン生活で学びました。ゲームに関係ない話ですみません。

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再び気を取り直して。
クイズはお父さん出題の食卓クイズに加えお母さん出題のお買い物クイズも。その他スタンプツールペタペタ押すように遊べるケーキ作りとクッキーの型抜き、お子様仕様のやさしいやさしい太鼓の達人のようなリズムゲームに往年のFlashゲーム、クターシリーズにもあった縄跳びなんかもあります。マウス壊すほど高速になったりはしませんのでそこはご安心を。僕が当時最も気に入ってたのは写真の曇りガラスにお絵描きするゲームですね。発売から12年経ち、曇りガラスに指でお絵描きするアプリも色々出てる今となっては特段凄いという訳でもないですけど、当時は凄く面白くて。特に描く事ではなく消す方に痺れたなあ。マイクに息をふーっと吹きかけて元に戻すんですよ。ガラス曇らすんだから“はーっ”かな。とにかくそのひと動作が理にかなってて当時とても感激したことを今もよく覚えてます。

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お絵描きツールもあります。お子さんが描いた絵をオプション画面のスケッチブックから見ることもできまして、そこから親御さんがペイントでコメント残したり追加でお絵描きできる機能も。コミニュケーションツールとして使えるような配慮も見て取れて楽しいですね。今なら絵をSDカードに絵を残せる機能つけて沢山の思い出残せるように出来そうですがこの時代は1枚のみ。しかも上書きしたら終わりなのでそこは少し残念。そうそう、個人的な意見ですが、今DSソフト遊ぶならこのニンテンドー2DSが1番じゃないかなと思います。上下の境目狭いですし。これでスペースインベーダーエクストリーム2なんか遊ぶと最高ですね。スピーカーモノラルなのがアレですけどヘッドホンすれば問題なし。モノラルの方がセリフ聞き取りやすい面もありますのでペネロペで遊ぶにはスピーカーがモノな2DSはより最適かもしれません。

面白いと言っても3〜4歳児ターゲットのゲームですので幼稚園の年長さん以上がガチで遊ぶとあっという間に飽きてしまうかもしれません。ただ、ターゲットの年齢層にはがっつり刺さるのではと思います。小さなこどもは気に入った事を何度も何度も繰り返す生き物でして「寝る前に同じ絵本なんども何度も読まされて辛い」と思われてるお父さんお母さんも少なくないと思われます。そんなこども達にとってはひとつでも気に入った遊びが見つかれば、その時点で最高の一本との出会いではなかろうかと思います。
このゲームは遊びすぎ防止のためのプレイ時間設定機能(10分単位で設定可能、時間超えるとアラームが鳴って能登さんの中断を促すナレーションが流れ、終了するようアイコンが出ます)も備わってますのでエンドレスエイトのような読み聞かせループよりも区切りをつけやすいのではなかと思います。
あとゲーム履歴記録機能なんてのも。お子さんがどのゲームでどれくらい遊んでどのキャラをよく選ぶのかなどなど、親御さんにはありがたい(かもしれない)おひとりさまビッグデータが記録されるという、今思うと時代先取りなことやってたんだなあと変なところで感心してしまいました。

親子で遊べるDS絵本として、キャラゲーとして

世の中には本当に沢山のゲームやアプリがあります。普通に「RPGです」とか「知育ゲームです」といって出したところで中身まで中々伝わらない。ペネロペのジャンルは「タッチ絵本」となってますがそれをより明確に示すためタイトルに『親子で遊べるDS絵本』とついてます。店頭で目にした際「なるほど、親子で遊べるゲームか」とパッケージからその内容が伝わるようになっており、実際に遊んでみて「なるほどこれは親子で遊べるDS絵本だ」と思える作りになっているという。これってけっこう凄いことです。しかも『うっかりペネロペ』のゲームとしても完璧な内容。僕はかれこれ43年ぐらいビデオゲームで遊んできましたがタイトル通りで期待通りの内容って本当に少ない。アンパンマンのあいうえお教室やドラがなと言った学習メインの知育ソフトは、ゲーム内容はほぼハズレなしですがキャラゲーとしてみると少し弱かったりする。(先に挙げた2本はそこもまずまず満たしてるとは思いますが)
ミニゲーム集なんかになると「思ってたのと違う」というのが頻発。難易度がターゲットを考えると難しかったり、あるいは作りが子供騙しで雑だったり。キャラゲーとしてもちゃんと原作勉強したのかなあと思わずにはいられないものも少なくありません。まあ、この辺りは原作に旬があり開発期間短そうとか予算厳しそうとかゲーム遊び過ぎのゲーマー目線では色々思う所もありますけど楽しみにしてるお客さんには関係ありませんからね。

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ペネロペに関しては、この両方が完璧です。プレイ感は「親子で」「遊べる」「DS絵本」以外の何者でもない。そしてキャラゲーとして見てもアニメ版と変わらぬ布陣で丁寧に丁寧に作られていて、小さな画面の中にアニメの世界が広がっています。その上、その世界に触れることができる。導入からゲーム終了までうっかりペネロペの世界を満喫できます。このゲーム、終了時にシールブックが現れその日遊んだミニゲームの分シールが貼られる作りになってまして、シールが一定数貯まると原作の名シーンがひとつ楽しめると本当に1プレイ始まりから終わりまでしっかり楽しめる作りになっています。ここまで丁寧な仕事はそうそうお目にかかれない。発売から12年経ちましたが、今遊んでも全く色褪せない素晴らしいお仕事です。携われた全てのスタッフさんに「素敵な作品をありがとうございます。」とお礼を言いたいです。12年経っても変わらず最高に楽しいです。ありがとう。

最後に

ここまで長々とお付き合い戴きありがとうございました。この作品の素敵さ、少しは伝わったかな。僕は今から40年ちょっと前にアタリのブレイクアウトやサーカスに出会って以来ビデオゲームに魅了され、以降その可能性を見たくて沢山のゲームで遊んで、未だ遊び続けてますけど、その中でもTOP100には加えたい。たまたま僕がかわいいもの好きでこのような低年齢向けの作品でも存分に楽しむことができたという幸運もありそんなチョイスになっとりますが。とにかくよいのです。人に薦める際は相手の好み考えて選びますが、僕が好き勝手いう分にはマリオだろうかデスストだろうがペネロペだろうが好きか嫌いか。そこがすべてだと思います。
『親子で遊べるDS絵本 うっかりペネロペ』僕は大好きです。
そしてその気持ちが伝わって、新たにファンを獲得できたならこんなに素敵な事はない。
冒頭で述べましたが、現在は残念ながら中古で出回ってるもの探すしかない状況です。ただ手に入れる難易度はそこまで高くないかと思います。現在ターゲット付近の小さなお子様と日々格闘しているお父さんお母さんには特におすすめ。お時間ある時探してみてはいかがでしょうか。ほんとはiPadアプリとして移植してくれると嬉しいんですけどね。あの頃のテクモはもうありませんし、これを手掛けたスタッフさんも何人残っているのか分かりませんし、それは無理かなあ。とにかく以上のような状況ですが、中古でもいいよという方は探して遊んでいただけるとうれしいです。気に入ってもらえればさらにうれしい。

以上、『親子で遊べるDS絵本 うっかりペネロペ』について、12年ぶりぐらいに書いてみました。中々楽しかった。この記事書くに当たって初めてnoteを使ってみたけどどうかな。うまく使えてたかな。久々の長文だったしだいぶ自信ありませんが、好評だったらこっちでちょこちょこ記事書いてみようかな。と思ったマダオでした。
ではでは( ・ω・)/

サポート頂いたものは概ねゲーム会社に回ると思います