ショート・ショート・トリップ

4月12日 日曜日。この日は東中野から板橋まで歩いて向かう。距離にして約7キロほど。板橋は僕の彼女(Rさんとする)の家がある街だ。

Rさんは4月上旬からやや風邪気味だったので、大事をとって会社を休み、僕の家で2週間ほど療養&自己隔離していた。といっても微熱が出る程度だったのだけれども。病状も落ち着き、それから日数も経ったので、今週の金曜日くらいから「1度家に帰りたい」と漏らしていた。といってもこの時節柄、1人で過ごすのはなんとなく心細いので、必要な荷物を取ってまた僕の家に戻ってくるという。それならばと、僕は「じゃあ気分転換も兼ねて、今週末、東中野から板橋まで一緒に歩いて帰ってみようか」と提案。それを実行に移したのだった。2人とも散歩が好きで日頃からよく歩いていて、かねてから東中野-板橋間も踏破してみたい思っていたから、ちょうどいい機会だと思った。なによりこの時期、電車に乗るのはなるべく避けたいし。

出発前は僕の家でお昼ご飯。東京MXでビートルズのドキュメンタリーがやっていて、それを見ながら食べる。そのあとはしばしのお昼寝タイム。Spotifyを眺めていたら、Dirty Projectorsがジョン・レノンのカバー曲「Isolation」を公開していた。グッドタイミング。とてもいいカバーだった。そのあとは、元曲が収録されているアルバム『ジョンの魂』を聞きながらお昼寝をする。1時間後くらいに目が覚めて、気づけば3時30分。このままだと板橋に到着するのが遅くなってしまう、雲行きも怪しくなってきたということで、2人で急いで支度をして板橋を目指して家を出た。

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板橋までは基本的に山手通り1本道を歩くだけなので、地図を見る必要もなくて、比較的楽だった。東中野を抜けたあたりでスカイツリーがお目見え。道中、ランニングしている人と多くすれ違った気がした。みんな家でじっと過ごしているので、運動不足解消のために「ランニングくらいなら」と外を走っていたのかもしれない。といっても、普段どれくらいの人が日曜日の昼過ぎに山手通りを走っているのか、気にしたこともないので、それがいつもより多いのか少ないのかは分からない。

2キロくらい歩いただろうか。そのあたりで少し疲れを感じ始めていた。出発してから間もないのに。かといって、どこかのお店に入って休むということもしたくない。コロナが怖いし、そもそもそれをしてしまうと、電車を避けた意味もあまりなくなってしまう。とか思っていたときに、自転車に乗ったカップルとすれ違った。彼らの自転車には、前カゴに「ダイチャリ」と書かれたカードが掲げられたいた。その名前を見たことも聞いたこともなかったけれど、状況的にシェアサイクルのサービス名であることが伺えた。この名前を見たときに、「自転車で向かえばいいのでは」と閃き、歩きながらダイチャリについて調べてアプリをダウンロード。アプリの位置情報検索で、周囲のレンタルスペースを探してみると、近くに見つけた。「疲れすぎて万が一のときは、自転車を借りよう」という話をRさんとして、黙々と歩いた。結論から言うと、自転車は借りなかった。

池袋に近づくと、ビル群が多くなった。駅前にある百貨店の看板も遠目で確認できる。やけに高いビルを遠くに見かけて、「あれってサンシャイン池袋かな?」という話から、芸人のサンシャイン池崎は池袋サンシャインから名前を取ったのかなみたいな話をRさんとした。いま思い出して調べてみたけれど、名前の由来はよく分からなかった。そういえば、この前サンシャイン池崎が出ていた回の相席食堂はすごい面白かった。沖縄の海でサンシャイン池崎が水圧を利用して宙に浮かぶアクティビティ、あれ名前なんて言うんだっけな。めちゃくちゃ面白かった。相席食堂×マリンスポーツといえば、蛭子さんが出ていた回も最高だった。バナナボートで宙に浮かぶ蛭子。

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話を戻さなくては。板橋に近づいたころ、道に落ちていたマスクを見かける。使い終わって捨てられたものはよく見るけれど、袋で包装されていたマスクだった。少し先に進むと、もう1枚落ちていた。2人とも例に漏れずマスク不足に陥っているけれど、「もったいねー」などと言いながら、さすがに拾わずにスルーした。

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