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周回遅れませんで、失礼します!「ウィンド・リバー」

ブランコ映画として真っ先に思いつくのは、やはり黒澤明監督の「生きる」でしょうか。余命を知らされた志村喬演じる主人公が、夜中、公園のブランコを揺らしながら、ボソボソ、♪命短し 恋せよ乙女 と、口ずさむシーンは日本映画の歴史の中でも珠玉のシーンであります!

最近の日本映画では、「8年越しの花嫁」のブランコシーンが、印象的です。子どもたちのために小学校のブランコを直す佐藤健。しかし、周りで作業を見ていた子どもたちは飽きたのか、いつしかいなくなり、佐藤健一人、ブランコの前で佇んでいると、遠くから聞こえてきた声は・・・。現在TBSドラマ「この世界の片隅に」の脚本を担当している岡田惠和さんのこれまた、珠玉のシーンです!

また、今年、最も忘れてはならない、ブランコ映画といえば、これでしょう。
スリービルボード」。
庭につるされたブランコに、二人並んで語り合う、フランシス・マクドーマンドとサム・ロックウェル。
様々な思いを抱えながら、静かに、少し揺れながら、佇む二人の後ろ姿は、まるでその場で見ていたかのように、今でも、脳裏から離れることはありません。

そして、もう一つのアメリカのブランコ映画。
「スリービルボード」と同じように、自宅の庭に吊るされたブランコ。
ブランコに乗ることはなく、その前に座り込む二人の後ろ姿。
この映像が瞼に焼き付いて、一生消えないであろう、そんな映画に出会ってしまいました。

ウィンド・リバー

このブランコは決して揺れません。
ただただ重力に引っ張られるがままの姿が映されるだけです。
でも、その存在感たるや。

いつも周回遅れの映画ばかり紹介しているラロッカですが、これは、どうしても、劇場で目に焼き付けてほしいブランコです。

なぜなら、まだ公開されたばかり!

東京では、ヒューマントラストシネマ渋谷、シネマート新宿、角川シネマ有楽町。
名古屋では、センチュリーシネマ。
大阪、神戸では、シネリーブル梅田、なんばパークスシネマ、シネリーブル神戸。
など、全国公開中です!

text by ラロッカ

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