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新しい挑戦を続けるために、フリーランスにも経営感覚を。映像制作・レンタルスペース運営 原田 祐介さん

「フリーランスにも経営感覚が必要」と、考えたことのある人はどれくらいいるでしょう。長くフリーランスとして仕事をしてきても、日々の仕事に追われ考えていない人がほとんどではないでしょうか。

クライアントが伝えたいことを、グラフィックや映像で表現してきた原田さんは、会社員もフリーランスも、常に新しい挑戦が必要と考えます。変化の早い時代の中で、私たち自身も変化し新たなスキルを身につけなければ取り残されてしまいます。そして新しい挑戦をする際に重要なのが、何に・いくら使っているのかといった資金繰りや経営感覚です。

本記事では、フリーの映像ディレクターとして活躍する傍ら、レンタルスペースの運営も行う原田さんに、今の仕事を選んだ理由や、常に成長するための仕事の工夫、フリーランスとして大事なこと・心がけていることについて、余すことなく語っていただきました。

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このコラムで学べるフリーランスの「ツボとコツ」

・一度は本業にしないと決めた「好きなこと」で独立
・時代の流れと自分の強みを掛け合わせることで仕事に価値を出す
・フリーランスは自分一人。リソースが限られるからこそ作業を圧縮
・フリーランスにこそ経営感覚が必須。
・経営感覚や経理の経験は「新しい挑戦」に必ず活きる

グラフィックデザインか映像か、悩みながらも映像の仕事で独立

—— freee横手:最初に略歴を伺ってもいいですか?

原田さん:もともと20代はグラフィックデザイナーとして仕事をしていました。30歳手前で映像制作のディレクターとして映像制作会社に入社し、30歳を機に退社して独立という感じです。

2012年に独立したので、今年で9年目になります。2015年にもう一つレンタルスペース事業KNOW HOW 北千住も始めました。

—— 映像制作で独立した理由について教えていただけますか?

グラフィックデザインで担当していた仕事は主に広告だったんですけど、人に情報を伝える楽しさみたいなものがありました。クライアントが伝えたいことを、お客さまに正しく伝えるためにグラフィックデザイナーがいて、その翻訳作業に面白みを感じていたんです。

30歳手前で、グラフィックデザインか映像制作、どちらかを極めていこうかと思った時に、もともと好きだった映像制作を選びました。映像は18歳の時からやっていて、大学も映像系の学部を卒業しているんです。ただ、好きなことを職業にするのは辛いかなと思って。

なので、お昼はグラフィックデザイナーとして仕事をして、夜や休日は半分趣味として映像を作っていました。

当時のSNSの盛り上がりも影響しています。みんながスマホを持って動き始めたのが2010年代です。その時代の初めにいたものですから、可能性も感じて映像を選びました。

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時代の流れを素速く読んで、自分の強みを発揮

—— 仕事内容に変遷があれば教えていただきたいです。

昔はテレビCMが一番強かったですね。企業が映像で広告を打つときは、マスに向けてたっぷり予算をかけたビデオを作るのが主流でした。会社紹介の動画でも10周年、20周年の記念に何百万円もかけて豪華な動画を作る依頼が多かったです。

でも時代が進むとともに、もうちょっとカジュアルというか予算を小規模にして素早く発信してく映像のニーズが高くなってきました。

—— 今はたくさん動画を出したいというニーズが多そうですね。

はい、何百万もかけて動画を作るのではなく、新サービスを出したから1週間後に50万円で動画を出したいといった、「ファストムービー」と呼ばれるニーズがあります。うちはファストムービーに映像制作を絞っていった走りの方なのかもしれません。

ファストな制作を打ち出してきた企業さまのニーズに合ったことが、仕事の幅が広がってきたきっかけかもれません。

—— 時代の潮流を掴んだんですね。

旧型の映像制作会社さんのなかには、販売管理費や社員、機材の規模の大きさがあるのでコンパクトな予算の案件で事業をまわしていくことが少し難しいかもしれません。

私のようなフリーランスには、販売管理費が非常にちいさいのでコストパフォーマンスが良いってことですね。リーズナブルな価格で販売管理費などの無駄なコストを省き、かつクオリティは高い、というところをウリとしている感じですかね。

—— そこはすごくニーズがありそうですね。

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時間の短縮になるツールは積極的に導入

—— 仕事する上で工夫している点などありますか?

クラウドツールなど、時間の短縮になるものはガンガン入れていますね。
当たり前なんですけど、僕一人なんですよ。だから本業である制作以外の業務はなるべく圧縮したいと思っています。ファイルの送信や、お客さまとのやりとり、請求書の作成、経理ももちろんそうですよね。

本業以外の仕事は、なるべく圧縮して自分の時間を制作に割かないと業務が回らない実情があるんです。なので、自分の時間を圧縮できるツールは結構ためらいなく導入しています。

—— 周りの制作系の方々もそうしているのでしょうか?

映像は上手いけれど、マネジメントが全くダメなこともあります。僕もそうで、最初の1・2年は経理もどんぶり勘定でやっていました。会計ソフトもfreeeとは違う別のものを使っていて。できているか分からない状態で、バックオフィスの業務をしていました。

—— どのあたりが分からなかったのでしょう?

分からないことが、分からなかった。例えば、経理一件入力するときに、その分類が分からない。とりあえず入力して確定申告は終わったけれども、振り返りもできませんでした。経費の割合のなかで、交通費がどれだけだったかなんて、何を入力したか分からないんだから振り返ることができません。

freeeはサポートページや経営ハッカーの記事ページがすごく充実しています。僕がフリーランスを始めたてのときも、そういうガイドはあったんですけど、基本的に企業向けなんですよね。

フリーランスや個人事業主向けに出しているソフトも、企業ベースの会計ソフトから始まってそれをグレードダウンしたものみたいな感じで提供されていたことが多いように感じました。確定申告の時はfreeeはフリーランスの駆け込み寺だと思いますよ。

—— 日々の経理のフローについて教えていただけますか?

基本的に、月末に半日、経理作業の時間を設けています。業務が忙しく時間が取れない時もありますが、2ヶ月まとめてやっても大丈夫になるよう普段から工夫をしています。

例えば、掃除や普段の業務の合間にレシート登録をスマホでやっちゃうんです。自動で取引を活用して移動中に作業することもあります。
なので月末にやることは本当に少ないです。以前は、請求書は他のサービスを使っていたんですけど、いつの間にかfreeeの請求書は郵送も対応していますし、最近は一本化しています。

月末の経理だけではなく、確定申告にかける時間も、すごく短くなりました。

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freeeは「自分に向けたソフトだ」と思った


—— freeeを使い始めるときに他社製品と比較はされましたか?

しました。もともと僕が使っていた会計ソフトはパッケージ版だったので、定期的に買いなおしてアップグレードしないといけなくて。シンプルじゃないなって思っていたんです。

アップグレードする際は、特別価格で買い直しをするのですが、次のバージョンが出るまでアップグレードはしないんです。だから、随時アップデートされるクラウド会計ソフトがいいなって思っていました。例えば消費税は、9年の間に2回変わっていますが、それも難なく対応してくれましたし。

クラウド会計ソフトは他にもありましたけど、感覚的にスモールビジネスの人に目が向いているソフトがいいと思ったんですよ。サポートもソフトの設計も、個人でならではの事情を汲み取ってくれることを期待していました。やっぱりそれってデザインにも出てくることだと思うんです。その点で、「自分に向けたソフトだな」って思えたのがfreeeでした。

今はもう色々なソフトがクラウド化して横並びになはなってきてますけど、根本の意識に個人のこともちゃんと考えているのはfreeeという印象があります。

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フリーランスの魅力は自分に決裁権があること


—— フリーランスになってよかったことや、逆に悩みごとはありますか?

最初は、自分の時間を自由に使えることだと思ったんですけど、実際はそうじゃなかった。本当のメリットは、時間を含めあらゆることに対して、自分に決裁権があるということです。

新しい映像プラグインや技術が必要だと思っても、会社ではその感覚を共有できないと上長は「うん」とは言いません。フリーランスになってからは決裁が速くなったので、映像制作でもAIが絡んだプラグインなど割と早めに導入しています。

フリーランスは、できることが同じだとどんどん淘汰されてしまうので、自分ができるものや技術は自分の判断で入れていったほうがいい。そういう意味で、スピード感はいいですよね。

—— 確かに自己決定して選択できる点はフリーランスならではかもしれないですね。会社員だと、決裁に稟議が必要なことも多いはず。

ただ稟議をすることで第三者の意見を聞けるのは企業のメリットなので、一長一短だとは思いますね。

逆に会社のチーム力が羨ましいです。自分一人でできることには限りがあります。だから経理やバックオフィスの仕事を圧縮していますが、やはり組織にはかなわないですね。チームだからこそ成長できることもあるので。

なので、フリーランス同士の繋がりを大切にしてきました。

—— 横の繋がりは、積極的に作りにいく機会があったんでしょうか?それとも仕事で知り合って自然に仲良くなって?

KNOW HOW 北千住のコミュニティースペースで飲み会やイベントも開催して、それで繋がったりとかしてますね。実際お客さまと仲良くなって、ここで飲み会をしたこともありました。フリーランスのデメリットに孤独になりやすいことがあるので、このKNOW HOW 北千住を持つことでそれをカバーしています。

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フリーランスにも経営感覚は必要。freeeのレポートは定期的に確認すべき

—— 経理周りでの困りごとなどありますか?

そんなにないんですよね。本当にfreeeでうまくいっちゃってるので。freeeを導入する前は、やっぱり確定申告が大変でした。パニックになって。

あと、やっぱり振り返りができない。当たり前ですけどfreeeはクラウドソフトなのでデータが蓄積されていくじゃないですか。しかもレポート機能があるので、経費のうちのどれだけ機材に使ったのかが分かりやすい。

—— レポートはけっこうご覧になるんですか?

見ます、見ます。それまで見返すのも計算するの面倒くさかったんですけど、freeeだとパッと出てくるので。特に映像制作って機材が高いんですよ。どんどん色々なものを導入するとそれなりにソフトウェア代がかかるんですけど、必要な投資なんです。でも数字が大きくなるから怖くなってしまうんです。

最終的に経費400万円使ったうち、例えば200万円が交通費とかだったら問題ですけど、ソフトウェアに対する投資だったらそれはいいんです。経費の割合がパッと見えるのは安心感につながります。

—— 見える化できたことが大きいんですね。資産だったら中長期的に見たらリターンが大きい。

経営感覚っていうのもおこがましい規模なんですけど、freeeに変えてからそういう感覚が身についてきました。フリーランスの経営感覚は、必要だなって思いましたね。

映像もレンタルスペースも、新しい挑戦を続けていきたい

—— 今後のビジョンや、やりたいことはありますか?

個人としてできることの幅を増やしていきたいです。新しい映像技術もそうだし、レンタルスペース自体が新しい挑戦でもあるので、この挑戦をさらに続けていきたいと思いますね。

あと、自分のスキルへの投資です。個人だからこれしかできないんじゃなくてもっともっとフリーランスの可能性を追求していきたい。

—— これからフリーランスになる人にメッセージをお願いします。

小さい事業でも、経営であるという意識は持ったほうがいいと思います。持つべきだとは言いませんけど、持ったほうが健全に自分のやりたいことを運営し続けられる。そしてそれは、新しいことを始めるようとしたときに、必ず力になります。例えば私だとレンタルスペース事業ですね。

できればやる前に気づきたかったですが、僕は事業を運営しながら、自分の身をもって知ったって感じです。

—— 初めから、経営も経理とかやり方がわかっている人はほとんどいないはずです。今回のインタビューが、フリーランスの皆さんの参考になったら嬉しいですね。本日は貴重なお話、ありがとうございました!

フリーランスの方にも知識ゼロで確定申告できる『会計freee』

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