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ぴしゃぴしゃ音が鳴ったなら(ft.『Bad Act David』)【Sandwiches #79】

 おはようございます! せや、昨日二度寝がひどいと書いたばかりやけど、それじゃいかんと目覚ましをかけてね、けさは8時きっかりに起き出したのです。ついでに頭を動かす意味で、そのままこのnoteに向かっておる。しかし、もとはといえばSTAY HOMEシーズンがはじまったばかりのころ、「Sandwiches」#1からの数十回は毎日朝8時に投稿していたんよねえ(ようやれておったもんじゃ)。かくしてひとは怠けてゆくのであります。

 「楽曲紹介」シリーズ、3rdアルバム『Circles』ものこり3曲となりました。朝からお話するにはちょいとそぐわぬ、夜を歌ったこちらの楽曲「Bad Act David」を聴いていただきましょう。

 プロデューサーのアズマリキさん曰く、「不思議なボーカルのメロディーだ。コード的には外れているようで、合っているようにも聴こえ。合っていないようにも聴こえる」ちゅうことで、ややや、後付け的に申しますとね、そんなメロディのつくりかたも、意図的にやったと言えなくはないのです。なぜかって、当初から「ハズす」ことを目的にしていたからなのだ。

 (これもあくまでわたし自身が聴きなおしたときのいち印象にすぎぬ、とそこはしつこく念押ししておきたいが)『Circles』においては、「Wash」「Standard」「Kamakura」「Blu」「Prophets」「D.O.L.O.R.」と、ひたすらに諦観を滲ませにじませ、シリアス寄りのムードが続きます。

 先日からくりかえしになるけれど、『Circles』は「おのれの薄暗い感情にフォーカスしたいという思いから制作した」作品です。しかし、全体のトーンがとにかく一辺倒や、とそんな印象を与えることは避けたかった。

 リードトラック「D.O.L.O.R」を聴き終え、わかったわかった、なんやら悲しいのね、でも肩が凝ってきたわあ……なんて、聴くものの緊張がうんざりに変わってくるところでようやくちょっとおどけてみせる。「ハズす」。緩和の役割を果たす曲が必要だと思ったのです。

 だから、先にふれたメロディについても、歌詞についても、どこか不自然さを意識して残している。その違和感こそ、ピエロのごときファニーなセンス(と薄暗い不穏さ)を醸してくれるのではと考えた、なんてちょっと浅はかすぎかしらん。

 これは歌詞カードか、あるいは「TREEZ MAG.」なんかを手に入れてくださった方のみがわかることなのだが、表記がちとおかしなことになっていまして、たとえばサビの部分。

Shut up baby! 死んだような顔や
白なときがいま 淀んでる夜の表紙に
あけすけなプライドひからせて baby
まるで別人 仮面かぶり 踊ってるバック・ブギー

 ぜんたいよくわからんけども、とくに太字の部分に注目していただきたい。「」やら「」やら、あれよ、『ハリー・ポッター』シリーズに登場する不思議ちゃん、ルーナ・ラブグッドみたいなしゃべり方にしてあるのだね(知らない方に説明すると、語尾にいちいち「〜だもン」とついたり、特徴的な話し方をするキャラクターがいるのです。調べてみれば翻訳版独自の味付けのようで、ファンの間ではかなり賛否わかれているそう。こりゃだいぶ余談やったか……)。

 制作当時ルーナちゃんを意識したつもりはなかったが、表記の面でなにかしらの遊びをいれたいと考えたとき、自然と採用されたのがこうしたスタイルだったのです。とうぜん、曲を聴いてもこれらのカタカナが浮かび上がることはありません。あくまでおのがうちに留める種類のこだわりです。

 加えていま振り返ると、こうしたことばづかいはデビューアルバム『Orang.Pendek』の雰囲気に立ち戻る意味でもあったような気がします。たとえばだいぶ前にご紹介した「S.N.S.」とか(さわらのさる、浮世にはばかる(ft.『S.N.S.』)【Sandwiches # 25】)ね、当時はもっと歌詞が無責任で奔放だったなあ、なんて、そのラフさもまたよしと書き散らした結果でありました。

 さいごに、曲名の「Bad Act David」は単語の頭文字をひろっても「BAD」 になるのだけど、これ最初自分で気づいておらんかった。そもそも「David」? デイビットで誰ぞねえ。適当な謎をおいて、とんずらです。

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