地理は面白い学問です

皆さんは「地理って何を勉強するの?」と聞かれたらどのように答えますか?

私が中学や高校で授業を担当した際、1回目の授業の冒頭で必ずこの質問を投げかけていました。「国・山・川の名前とか位置を覚えること」と答える人が多かったのですが、『最新地理学用語辞典』(2004)には次のように記載されています。

地表の自然・人文にわたる諸現象を、環境・地域・空間などの概念に基づいて解明しようとする学問

つまり、私たちが生活する地表面上の出来事の背景には何があるかを自然環境や産業、生活・文化などの面からアプローチして、それを明らかにしていくことが地理だということです。

もちろん、地名やその位置・用語などで覚えなければならないこともありますが、地表面上の出来事に関する写真や統計資料などのデータを見て分析し、そこから何を読み取ることが出来たのかが重要になってきます。

次の写真をご覧ください。

これは台湾・台北捷運(地下鉄)西門駅の入口を撮った写真です。日本にある地下鉄の駅入口とは異なり、地下へ降りるのに一旦階段を登る構造となっていることにお気づきでしょうか。

なぜこのような構造になのでしょうか?

ご存知の通り台湾は日本よりも赤道に近く、太陽光線が当たる量も多いので、年間を通じて気温が高く、降水量も日本より多いです。また、台風も強い勢力で上陸するため、激しい暴風雨に襲われます。そのため、雨水を地下に入りにくくするために入口を高くするという工夫が施されているのです。

このように地下鉄の入口の構造1つ取ってみても、その地域がどういう環境に置かれているのかが明らかになるのです。

今回は台北を事例としましたが、これは台北だけに見られるもの(=地方的特殊性)なのか、高雄など台湾の他都市や降水量が多い他国・地域でも同じようなものが見られるのか(=一般的共通性)ということを調べ、地方的特殊性から一般的共通性を見出すことが出来るかを追究していくことが地理を学ぶことの面白さの一つだと私は考えます。

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