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お子様スパゲティ

実家は田舎の総合小売店を営んでいて私はそこの長男として生まれた。ほとんどの友だちの家は農業にもかかわらず、自分家だけお店をやっているというのは少し変わっていて、放課後には必ず溜まり場になった。ファミコンはちょっとあと、最初はパソコンゲームだった。

当然お店は朝から晩まで開いており、店番の母はなかなかに忙しくご飯もゆっくり食べていることは少なかったが、作る時間もきっとほとんどなかったのではと今になって思う。こどもの頃、うちの食卓にはスパゲッティというものはなく、あったのはお店に卸されている惣菜コーナーの蒸しナポリタンだけが唯一それだった。

今思えば、蒸しという即席でしかない方法で作られたあの味が正統派ナポリタンに近い味だったことを赤羽駅のナポリタンを食べながら思い出した。

あれ、食べたい。やわらかいソフト麺のような麺を炒めてケチャップで味付けしてありきたりのハムを入れただけのスパゲッティ。袋に「蒸し」って書いてあって、なんだろ蒸しってずっと思っていた。

うちにはパスタなんて言葉はなくて、ペペロンチーノもカルボナーラも食べたことがない。ネットで調べたら「蒸しナポリタン」のレシピがたくさん出てくる。多分スーパーに行けば買えるはずだ。自分でつくる作り方もたくさん出てくる。あれが懐かしいお母さんの味だ。

小さい頃はなんでも手づくりしてもらえる家に憧れがあった。うちはハンバーグはマルシンハンバーグだったし、カレーはハウス(ククレカレーに憧れのちに取り寄せる)、麻婆豆腐は丸美屋、餃子は桃ちゃん(福島ローカル)とまさに既製品のオンパレードだった。けど、もちろん田舎の料理もたくさん食べた記憶があるし、いまだに煮しめやら味噌汁が懐かしくなる。大人も結構立って、ああうちの料理は美味しかったんだなあと気付いてきた。

東京に出てから洋食屋でナポリタンの美味しい店もいくつか行ったし、パンチョは見つけると必ず入ってしまう。やっぱり神保町のさぼうる2で食べるのも好きだけれど、あの小さい頃のナポリタンもどきもいつか食べてみたい。どうにかしてあのレシピに辿り着きたいとあらためて思った。


と思ってもう少し調べてみたら、これってのに当たった。

「お子様スパゲティ」これだ!これに違いない。

むし って書いてあるぞ。
でも西の方でしか売っていないらしい。。
でも絶対これ! 

ということで、懐かしいものを見つけることが叶いました。
では〜。


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