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相手方から異議申立て、争いの舞台は法廷へ!

今回のnoteも、第33回(その1)第34回(その2)、前回の第54回(その3)に続いて私自身の本人訴訟の話をしたいと思います。

私が申立てた労働審判では「元雇主は元従業員(私)に対して235万円の支払い義務がある」という私にとって満足できる結果になったところ、相手方の元雇主が異議申立て第11回note参照)を提出。私と元雇主の争いの舞台は民事訴訟の場に移されることになりました。

労働審判と民事訴訟の違いは第7回note第10回noteなどで解説しましたが、もっともわかりやすい違いが審理が行われる場所です。労働審判は会議室であるのに対して、民事訴訟は法廷です。労働審判の会議室は労働審判廷とも呼ばれることがあるようですが、普通の会議室に設置された楕円形テーブルを労働審判委員会、申立人陣営、相手方陣営が取り囲んでの審理となります。

一方、民事訴訟の法廷はテレビドラマなどで見る通りのもの。法廷の前方上段に裁判官が一名。労働審判の時に(労働審判委員会の)労働審判官を務めるのは裁判官ですが、その服装は男性の場合スーツにネクタイです(女性の労働審判官の場合は、多少カジュアルな服装であるような気がします)。対して、法廷での裁判官は男性も女性も黒い法服を着用しています。法廷の前方下段には裁判所書記官が着席します。労働審判の場には書記官は同席しませんが(東京地裁における労働審判の場合)、民事訴訟では書記官も必ず法廷にいます。

そして、裁判官に向かって左側が原告席、右側が被告席です。原告と被告が対面する形です。それぞれ、デスクとチェア2脚がデファクトで設置されています。デスクには据え置きマイクが置かれています。刑事裁判なら左側が検察官席、右側が被告人席になるのだと思います。私は本人訴訟ですから原告席に1人で着席します。被告席には元雇主の代理人弁護士2名が着席。なぜか、被告本人(当事者)は被告席には着席せず、傍聴席にいました。労働審判では元雇主の代理人弁護士は私の右隣りに着席し、私が直接顔を見ることもなく、特に緊張したということはなかったのですが、さすがに法廷で弁護士バッジを付けた弁護士2名と対面となるとちょっと緊張感も増してきます。

原告席と被告席の中間(法廷の中央)には証言台があります。民事訴訟の場合、証人尋問や当事者尋問の際に証人や当事者(原告・被告)がこの証言台の前に立つことになります(証人尋問については別途解説予定です)。

法廷後方は傍聴席です。法廷の広さによって異なると思いますが、私が使用した法廷には30席くらいの傍聴席がありました。法廷の1/3以上のスペースをこの傍聴席が占めていますが、普通の民事訴訟の場合、空いたままでガランとしています。稀に、訴訟見学オタクのような方やネタを探しているメディア関係者(?)っぽい方が入って来て傍聴席に着席することがあります。ちなみに、横浜地裁では、例えば午前10時~11時の間に同じ裁判官が何組かの事件を審理するようなシステムになっているようで、自分の番を待つ当事者やその代理人弁護士が傍聴席に着席して待つこともあります。

東京地裁と東京高裁が同居する合同庁舎ビルは3階から8階が法廷となっているようです(第13回note参照)。

さて、法廷の様子はざっとそんなところですが、私の場合、労働審判で異議申立てがされたわけです。繰り返しになりますが、これによって、制度上、労働審判申立て時に東京地裁に民事訴訟の提起があったものとみなされます。そこで、まず、「労働審判の申立人」から「民事訴訟の原告」となった私がしなければならないことが、「訴状に代わる準備書面」の作成・提出です。簡単に言えば訴状で、記載内容や文面を民事訴訟用(労働審判用ではなく)にアレンジする必要はありますが、そのエッセンスは「労働審判手続申立書」と同じと考えて差し支えないと思います。同書面といっしょに、証拠説明書と書証も作成・提出する必要があります。ほとんど労働審判の時に提出した書証と証拠説明書と同じになると思いますが、改めて提出する必要があります。もちろん、証拠(書証)を追加しても減らしても問題ありません。

ここまでお読みいただきありがとうございました。続きは次回(その5)とさせてください。今回は法廷の様子などの説明でしたが、争いの舞台が法廷となると、私自身グッっとギアーを上げていくような感覚になります。しかも、さらに数か月、下手すると1年程度紛争期間が延長されるわけですから、戦略の練り直しも必須。引き続き、そうした様子を私の体験談を通して皆様へお届けしたいと思います。

街中利公

本noteは、『実録 落ちこぼれビジネスマンのしろうと労働裁判 労働審判編: 訴訟は自分でできる』(街中利公 著、Kindle版、2018年10月)にそって執筆するものです。

免責事項: noteの内容は、私の実体験や実体験からの知識や個人的見解を読者の皆さまが本人訴訟を提起する際に役立つように提供させていただくものです。内容には誤りがないように注意を払っていますが、法律の専門家ではない私の実体験にもとづく限り、誤った情報は一切含まれていない、私の知識はすべて正しい、私の見解はすべて適切である、とまでは言い切ることができません。ゆえに、本noteで知り得た情報を使用した方がいかなる損害を被ったとしても、私には一切の責任はなく、その責任は使用者にあるものとさせていただきます。ご了承願います。

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