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主尋問のシナリオを作る:証人尋問について詳解します~その6~【主尋問シナリオ例付き】

今回のnoteで証人尋問についての詳解は最後です。今回は、主尋問のシナリオ作りについて述べていきたいと思います。

証人尋問の本番前、証人尋問を申し出た当事者サイドの質問者(本人訴訟なら当事者本人)は証人と打ち合わせを持って、どのような目的で尋問をするのか、証人からどのような証言を引き出したいのかについてしっかりと意識合わせをしつつ、証人からヒアリングした内容をシナリオまたは想定問答としてペーパーにまとめておくのがベストです。

質問者は、原告席から、手元のペーパーを見ながら質問をすることができます。しかし、証人は、証言台ではペーパーなど資料の持ち込みを禁じられていますので、記憶のみに頼って証言することになります。その意味で、特に証人は、シナリオや想定問答をしっかりと頭に入れておく必要があります。

もっとも、証人が敵性証人(第60回note参照)の場合は、十分な事前の打ち合わせやヒアリングは難しいことがほとんどでしょう。また、仮にヒアリングができたとしても、証人が敵性証人なら、当事者との間で認識や意見の相違があったりして、なかなかシナリオや想定問答をつくることは困難かもしれません。もちろん、当事者に都合の良いような証言をその敵性証人に強いることは適切とは言えません。敵性証人と言えども証人尋問への出廷を承諾してくれたわけで、少なくとも一定の信頼関係があるわけですから、それを損ねるような姿勢はとるべきではないでしょう。

ちなみに、わたし自身、敵性証人に証人尋問を依頼しました。元の直属の上司です。快くとまではいきませんでしたが、なんとか証人としての出廷を承諾してくれました。そして、幸運にも2回ほどヒアリング、打ち合わせを持たせてもらいました。その意味で、わたしはとてもラッキーでした。敵性証人ということで私とは認識も180度異なっていましたが、承諾してくれたこと自体とてもありがたかったです。

参考までに、その2回のヒアリングから作成した主尋問シナリオを添付します。このシナリオには具体的な背景説明は付けておりませんが、こんな感じでシナリオが作られているんだな・・・というイメージだけでもつかんでもらえればと思います。特に、本人訴訟を予定されている方は、参考にしてみてください。

このシナリオには、少し意図もあって誘導尋問のような質問もふくめています(被告の代理人弁護士から「異議」が出された質問もありました)。

証人尋問は法律論を戦わすような理論的にむつかしいものではありませんが、いろいろな意味で決して簡単なものでもないことがわかりました。目的(=証拠を得ること)をしっかりと念頭に刻み込んでおくことが非常に大切で、またそのために質問内容も周到過ぎるくらいに考えて、考えて、考えて作成する必要があります。そして、最大の敵というかハードルが「時間」。証人が話過ぎると、持ち時間はすぐに過ぎてしまいます。まあ、わたし自身の証人尋問の経験談は、後のnoteの『私が本人訴訟を選択した理由』(第33回第34回第54回第55回note)シリーズででも紹介したいと思います。

引き続き、本noteシリーズをお楽しみください!

街中利公

本noteは、『実録 落ちこぼれビジネスマンのしろうと労働裁判 労働審判編: 訴訟は自分でできる』(街中利公 著、Kindle版、2018年10月)にそって執筆するものです。

免責事項: noteの内容は、私の実体験や実体験からの知識や個人的見解を読者の皆さまが本人訴訟を提起する際に役立つように提供させていただくものです。内容には誤りがないように注意を払っていますが、法律の専門家ではない私の実体験にもとづく限り、誤った情報は一切含まれていない、私の知識はすべて正しい、私の見解はすべて適切である、とまでは言い切ることができません。ゆえに、本noteで知り得た情報を使用した方がいかなる損害を被ったとしても、私には一切の責任はなく、その責任は使用者にあるものとさせていただきます。ご了承願います。




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