開発未経験、ゲームプランナー志望の学部一年生が春〜夏にやったことのすべて

これは何?
春までゲーム制作に関しズブの素人だった筆者が、大学入学、研究室訪問、エンジニアバイト、インターン応募、……などの経験を振り返る記事です。割と長いです。


はじめまして

まちこーと申します。
都内の某理系大学に通う一年生ですが、上京する前はドへんぴな田舎で高校生をやっていました。

先日、バンダイナムコスタジオ様からサマーインターン採用の通知を頂きました。おそらく私のような学部1年生が採用されるのは少し珍しいのではないかと思います。
折角の機会ですのでこれまでの自分の活動などを振り返り、私と同じようにゲーム業界を目指す方々にとって何かしらの参考になればと思い、noteに書き起こしてみます。


自己紹介がてら、私の経歴について説明させてください。

私は九州のとある田舎町で生まれ、全校生徒90人足らずの小学校で自然に囲まれ伸び伸びと育ち、全校生徒1000人超の中高一貫校で勉強を叩き込まれたような少年でした。

幼い頃からものづくりや想像することが好きで、中学生の時にはロボコンへ出場し、全国大会でベスト8に輝いたこともあります。
プログラミングにも興味がありましたが、中1の時にEcllipseでC言語を独学しようとして挫折し、以来大学に入るまでは一切手を付けませんでした。

文章を読むのも書くのも好きで、小学3~6年生で作文の賞を4年連続で受賞したり、中学の学年劇で脚本を書いたり、RPGツクールを使ってノベルゲームを作ろうと試みたこと(これは結局未完に終わりましたが)もあります。



そんな私の運命を変えた一本のゲームがあります。
モノリスソフトの「ゼノブレイド」です。
卓越的なフィールドデザイン、魅力的なキャラクターたち、少年漫画的な熱いストーリーに、分かりやすくも忙しい、巧みにデザインされた戦闘システム。
液晶の向こう側に広がるファンタジーを通して、作り手の顔が見えてくるような手触り感、迫力、そして臨場感に私はすっかり魅了され、いつしかゲームクリエイターという職は夢から目標へと変わっていきました。
受験勉強が始まっても、私には「上京してゲームを作る」という考えしかありませんでした。

苦しかった受験勉強の日々も終わり、

やっと春休みだ!

さぁゲームを作るぞ!

と胸が高鳴ります!


虚無の3月

なにもしませんでした。
この期間が一番虚無でした。

受験後に襲いかかる圧倒的な脱力感、安心感、そして無気力感。
Unityの参考書は買っていましたが、案外覚えることが多くて毎日やる気にはなれず、一週間で10~20ページ進められれば良い方でした。

では何をしていたかといえば、Twitterです。
私にとって東京はテレビの向こうの異世界ファンタジーであり、田舎者(私)が知人0の丸腰で飛び込むにはあまりに恐ろしいフィールドでした。
そこで「○○大学(ここに弊校の名前を入力)に合格しました!」というツイートを見つけては速攻でフォローし、繋がりを広げていくという作戦を採ったのです。
実際にこれは効果を発揮し、今では大学内でかけがえのない友人たちに囲まれ、有意義な生活を送ることが出来ています。

というわけで、地方の学生で上京を控えている人はTwitterを活用しましょう。


焦燥の4月

このままではいけないと、本格的にC#の学習を始めたのが4月初頭でした。
私はプログラミングや作曲、グラフィックなどの創作を手掛けるサークルに入部します。
その規模は100人超(ただしアクティブなのは3〜4割)。それぞれの活動は「班」という名義ですが部室は一つで、掛け持ちしている人も何人もいます。

そこの先輩方との出会いは、あまりに衝撃的でした。
部長は学部の首席でアプリのリリースを経験済でゲーム会社のインターン生、3DCG班の班長はプログラミングもモデリングも作曲も一人でこなすスーパーマン、マルチメディア班の班長は工学部なのに独学でセンス抜群のデザインやモーショングラフィックスの作品を精力的にリリースするアーティスト、……
と、技術も感性も優れた化け物(称賛)の先輩ばかりで、技能スキル0の私はすっかり萎縮してしまいました。
そして、まったくの未経験で進学したことを後悔しました。


始動の5月


4月以降すっかり焦ってしまった私はプログラミングの勉強をしつつお金を稼ごうと思いました。そして、とある会社でエンジニアバイトを始めることにしました。そのあたりの話は後日記事にしようと思っています。(あまり気持ちのいい話ではありませんが)

この頃、ゲーム制作に役立つかもしれないと思いドット絵制作に乗り出しました。
下の跳ねるボールはドット絵ツールを導入したその日に、何も見ずに描いてみたものです。

それまで絵はまったく描いたことがなかったのですが、落下アニメーションなどは物理や数学を使えるということもありハマりました。今でもアニメキャラ、アイマスキャラを中心に細々と描き続けています。(Twitterはこちら

また私の学科は情報系の中でもCGやVRなどのメディア方面に明るいところで、それらもこの大学へ進学することを決めた理由の一つでした。
私は興味のある研究を行っていた教授や先生にメールを送り、どのような研究を行っているのか、またゲーム会社に就職した先輩がいればどのような就活を行っていたのかを聞き出そうとしました。


あとはTwitter経由で知り合った院生や先輩からも就活や研究室の情報を掻き集め、とにかく「行動を起こすこと」に執着していた期間でした。


暗黒の6月


バイト先の社長とのトラブルの発生、それから遅めの五月病に罹患し、精神的にとても辛かった時期です。
社長はなにかと私に口出しをするようになり、私の言葉の揚げ足取りをしては詰り、時に理不尽ともとれる説教を食らわせ、私は日を追うごとに心を疲弊させていきました。
しかしながらバイトでのコーディング経験はとても勉強になり、バイトを続けるか否かで揺れ動いていました。

サークル活動としてはBlenderを使ってモデリングの技術を学んだり、部室でUnityのチュートリアルを触ったりしていましたが、何しろメンタルがボロボロな状態だったので到底何かを創り出す気にもなれませんでした。

転機になったのは、6月末に一日だけ帰省したときのことです。
2ヶ月ぶりに会った家族は私のバイトでの実情を受け止め、心配すらしてくれて「辞めたければ辞めなさい」と背中を押してくれました。
上京前は煩わしく思っていた家族の存在が、こうも心強く感じられるようになる日が来るとは思ってもみませんでした。
18年間過ごしてきた自室を見て、ゲームを作りたい!と心から強く思っていた中学高校の頃の自分を思い出して膝から崩れ落ち、涙が溢れて止まりませんでした。

今、自分は何をしているのだろう。
「自分」を飼い殺し、本当にしたいことも出来ずにただストレスを抱えるだけの日々。こんなものはもうたくさんだ。
そうだ、自分は夢を現実にするために東京へ出てきたのではないか。

自分の原点を思い出した私は勇気を振り絞り、東京へ戻った次の週に社長に直談判し、バイトを辞めました。


開放の7月


バイトを辞めてからは精神的にも安定し(部長にはご飯を奢っていただきました。とても感謝しています)、また新しいことを始めようという気概に満ちてきました。

夏コミに出品する楽曲の作曲を手掛けていたサークルの友人から「歌詞を書いてくれないか」という誘いがあり、人生初の作詞に挑戦しました。これは本当に貴重な体験で、限られた文字数でメッセージを伝えることの難しさを痛感しました。
制作した楽曲のデモ版がこちらです。
8月下旬にはYouTubeでフル版を公開します。

そうやって文章とひたすら向き合い、自分の中に溜め込まれていくボキャブラリーを眺めていくうちに、ふと「自分はコーディングよりもライティング、アイデア出しの方が向いているのではないか?」という想いが頭をもたげました。
ちょうど同時期にはセガの採用担当の方が大学へお越しになり、弊サークル向けにサマーインターンの説明をしていただけるという機会に恵まれました。
それをきっかけに、セガを始めとする様々なゲーム会社で企画職のサマーインターンを行っていることを知りました。

調べてみると21年卒(学部3年生)しか参加できないものも多かったのですが、確かに1年生でもエントリーできる会社もありました。
企画職がとても狭き門であることは理解していたので、とにかく行動してみるしかない!業界を知るなら1年生だって早すぎないはずだ!と前のめりに突き進むことにしました。
この時には4000文字以上の文章を作成しては推敲、という作業を繰り返していて、これまでの作文経験や作詞した体験がとても役に立ちました。

私が実際にどのような内容を書いたのか、またどのような選考過程だったのかは、需要があれば(コンプラに抵触しない限りで)いつか書き連ねてみようかなと思います。


8月以降、そしてこれから


現在サークル内で、冬コミに向けてチームでゲームを作るプロジェクトが進行しています。
そちらにはエンジニア、プランナー、グラフィッカー(ドッター)としてコミットする予定です。
企画が固まり次第、Twitterやnoteの方でも宣伝していきます。

またヒストリア様の方で第12回ぷちコンが開催されており、UE4未経験の私はUdemyで講座を受講しながら学習しています。
ゲームジャムも企画されているそうなので、そちらにも参加してチーム開発の雰囲気を肌で感じたいと思っています。

更に来たるインターンの日のためにゲームデザインを書籍で勉強しておき(現在オライリーの「レベルアップ」のゲームデザインを半分読んだところです)、自前で企画書の作成にも取り組み、インターンでの知識の吸収効率を最大限まで高められるようにします。


まとめ


つい先日、サークルの先輩に言われた一言が心の底で残滓となって消えません。
「行動力も、間違いなく君の力だ」という言葉です。

これまで自分を突き動かしていたものの正体は、恐らく「焦り」だったと思います。
それは「自分には技術力がないのだ」「あと2年で結果を残さなくてはならない」という自覚に基づくものでした。

しかしそんな焦燥すらも行動力という言葉で肯定できるのならば、私はもっと自信を持って活動していってもいいのではないか?と、最近はそう考えられるようになりました。
この考えがたとえ驕りであったとしても、今コミットしていることの全てが、今後の私にとっての糧となることを信じています。

これからも初心を忘れず謙虚に、しかし前向きに頑張っていきます。

もし私に少しでも興味を持っていただけたなら、フォローしていただけると今後の励みになります!
最後まで閲覧していただき、本当にありがとうございました。



また次の記事でお会いしましょう。

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