心が鳴るほうへ


何かを始めるとき、自分のなかに直感的な『そわそわ』を感じる。


その『そわそわ』にはふたつの感覚があって、ひとつはいい感じの『そわそわ』で、もうひとつはなんかいやな感じの『そわそわ』だ。


そして私はそのなんかいやな感じの『そわそわ』を感じることに手をつけると、大抵なにかやらかしたり、うまくいかずに終わる。気持ちが沈む。撃沈である。
始める前にはいつも同じような感覚を持つくせに、かなしいかな、なぜか繰り返す淡い期待と撃沈。


いやな感じ、というのは、具体的に言うとやり始めることに対してどこか乗り切れない気持ちがあって、心のどこかで「やりたくねえよおぉ」と喚いている状態のこと。
それでも手をつけてしまうのは、そのことと向き合うことで何か経験値的なものを得られると期待してしまうからだ。
結果、得られるものはほとんど自分自身への教訓だったりする。


逆に、いい感じの『そわそわ』というのは、「早くやってみたい」とうずうずしたり、わくわくする気持ちに近い。そういう気持ちで始めることは、素直に楽しんで取り組めるし、しっくりとくることが多い。たとえ失敗しても、楽しんだ上での失敗なので気持ちも晴れやかに終わる。


こうして書いてみると、ものすごく当たり前というか、当然のことを言っていると思う。そりゃあ誰だってしぶしぶ取り組むことよりも、楽しくノリノリで取り組めることのほうがうまくいくだろう。
それでも不思議と、毎日生きていると、いやな感じの『そわそわ』に直面することがけっこうある。
もしかしたらそっちのほうが多いかもしれない。
今も昔も。


だから、いい感じの『そわそわ』を感じたことは、なるべく大事にしていきたい。


「苦しいことでも投げ出してはいけない」「嫌なことから逃げるのはよくない」というような空気があるところにはあるけれど、私はそれが100%ではないのだろうなあと思う(もちろん逃げるに至るまでの過程や状況にもよるけれど)。


心の直感はあてにならないようで、なる。
逃げ道があると思うとうまくいくこともある。


できれば少しでも、心が鳴るほうへ。

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