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乳がん手術後のリハビリinアメリカ


術後の経過

今日は、乳がん手術後のアップデートを。

  • 4月25日 両側乳房摘出手術
       (手術については→乳がん手術 in アメリカ)

  • 術後2日 家の中を歩く

  • 術後3日 慎重にゆ~っくりと外を散歩

  • 術後1週間 Dr. Bのフォローアップ→右側はまだ血種がある状態。再手術で取り除くという案も出たものの、とりあえず様子を見ることに

  • 術後2週間 Dr. Bのフォローアップ→血種は落ち着いてきている。腕の上がりは水平以下。ドレーンが1つとれた。残りは2つ。PTからの連絡を待つように言われる。

  • 術後3週間 Dr. Bのフォローアップ→手の上りは未だ水平のやや上を行く程度。コンピューターの不具合でPTの手配ができていなかったらしく、再たび連絡を待つように言われる。2つ目のドレーンがとれた。残り1つ。

  • 術後4週間 待てど暮らせどPTからの連絡なし。相変わらず腕も上がらず、腕のツッパリ感、痛みも消えず。さすがに焦りだしてきた。このまま一生、腕は上がらないのではないか?プロの手が必要だと確信し、ひたすらPTの連絡を待つ。最後のドレーンが取れた!同日、術前から予定されていたリンパ浮腫のチェック。今段階でリンパ浮腫の兆候はないものの、腕の上がらなさ、Cording(腋窩ウェブ症候群)のため、同場所(リンパ浮腫外来)で週2回のPTを受けられることに。

  • 術後5週間 待ちに待ったPTの開始!


PTとは?

PTというのはPhysical theraphyのことで、日本語だと理学療法になります。要するに日本で言うところのリハビリということですね。アメリカではPTと言うのが普通で、逆にリハビリと言ってしまうと、ちょっとニュアンスが変わってきます。Rehabilitation (リハビリテーション)を短くして、Rihalb (リィハブ)と言われることが多いですが、このニュアンスの違いを改めて「なるほどなぁ」と思った体験談をひとつ紹介しますね。

年末年始、著しく体調を崩し、緊急入院していたときのことです。
ER (Emergency Room)からの入院で、通常の病棟の病室待ちでER内にいました。私は、白血球の減少による感染症のリスクが高いということで、ER内とはいえ、ドア付きの個室が与えられました。個室外の廊下スペースには、患者さんを乗せた簡易用ベッドがすし詰め状態で、ER感ありあり。中にはお年寄りの患者さんもいるので、申し訳なくなってしまうほど。そんな罪悪感を救ってくれたのは抗癌剤によって一休さんになった頭でしたね。

私の個室の目の前だったこともありますが、妙に気になったベッドがひとつ。いつ見てもそのベッドには、まだ20代と思われる青年が寝ていました。めちゃくちゃぐっすりと。爆睡。簡易ベッドだし、人の出入りも激しく、患者さん自身、診察や検査の順番待ちのことがほとんどなので、落ち着いて眠れていない様子の人が多い中、とにかく眠り続ける彼。どこが悪いのかな?となんとなく気になっていたのです。
かなりの時間が経った後、ついにお目覚め。看護師さんからターキーサンドイッチをもらってひたすらモグモグ。よっぽどおなかが減っていたのかと。爆食。

またしばらくすると、看護師さんとの会話が漏れ聞こえてきました。看護師さんは彼に「あなたはRehabに戻らないとダメよ」と言っています。これを聞いて私は「あ、リハビリが必要な人なんだ。でもどこのリハビリなんだろう?」とつい思ったのです。彼らの会話をもう少し聞いていると、彼はRehabに戻ることを拒否している様子で、友達の家に行くと言っています。これに対し、看護師さんはなんとかしてその住所を聞き出そうとしている様子。ちゃんとした住所がある場所でない限り帰る手伝いはできないとも言っています。なんかヘンだなぁと感じていた私も、このあたりで状況が見えてきました。
ここで彼らが話しているRehabというのは、アルコール、ドラッグなどの中毒者の公正施設のことだったようです。そして、看護師さんだと思っていた女性は、おそらくはソーシャルワーカー。と思うと、あの爆睡にも、あの爆食んにも納得。親に連絡をする→それだけは嫌だ→結局親に電話、というすったもんだを、結構なボリュームで繰り広げた後、彼は去っていきました。
アメリカでRihubというとそういうことなんだなぁと実感した経験でした。だからこそ、日本でいうところのリハビリテーションはPT。

PT is amazing!

先週、待ちに待ったPTが始まりました。1回約1時間のセッションを週2回受けることになります。セラピストさんは何人もいるようですが、とにかく空きを見つけるのがやっとの状態なので、数人の異なるセラピストさんのセッションを受けることになりそうです。

ドキドキの初回、まずはガウンに着替えて傷口、および現状をチェック。腕が上がる位置もチェック。そして、リンパの流れについての説明、予定されている放射線の副作用的で腕が腫れることがある、放射線を終了して1ヶ月経っても腫れが引かなければリンパ浮腫を疑う、などなどの予備知識を叩き込まれました。とても優しく。

次は腕の余計な水分を流す施術。私の場合、リンパ節を左側6個、右側3個切除しているので、本来は脇の下のリンパに流す上半身の水分も、あえて足の付け根に流すという流れになります。家でのセルフケアができるように、説明を受けながらの施術です。初日は放射線治療が予定されていて、腕が頭上まで上がるようにならなければならない左側を重点的にみてもらいました。「初回だからできるだけマイルドにするね」と言って施術を始めたセラピストさん。「痛みレベル(1-10)が5を超えたら教えてね」とも言われ、施術中何回も「今はいくつ?」と確認してくれました。
いや~痛かったです。でも、最初は触れられるだけでも痛いほどだった箇所が、施術を受けられるほどになっていくのは分かったし、何よりも痛みをとるための痛みととらえているので、極力痛い顔はせず我慢。一通りの施術が終わって「ほら見て!」と言われて左腕を見るとなんともスッキリ。見た目同様軽いし、驚くほど肩の可動域が広がりました。セラピストさんが「Good job!」と褒めてくれるので「Good jobはあなたの方です」と返すと、笑顔で「あなたが痛いのに我慢してくれたからよ」と。

施術後は、自分でするリンパの流し方やリハビリ(ストレッチ、エクササイズ)を教えてもらって終了。
2回目も流れはほぼ同じですが、毎回宿題が増えるようです。施術を受けて良くなるだけでなく、患者が自分の体を理解した上でセルフケアできることを重要視している点は好感度大。自分でやってみることで質問も生まれますからね。ちなみに、ゆくゆくはリンパ浮腫予防のための着圧スリーブの正しい着脱法なども教えてくれるようです。
そしてそして、驚くべきかな、2回の施術後に私の左腕は、水平方向に頭上まで上がるようになったのです。ツッパリ感はまだ残りますが、こんなに早くこんなに成果が出るなんて、期待以上。PT is amazing!

今後の予定

今朝、3回目となるPTを受けてきました。前回から少し時間が経っていたので、両肩ともに可動域は衰えていなかったものの、部分的な張りの強さは自覚してました。今日も痛かったけど、効果が実感できるPTは好きです。宿題は増えたけど、家で自分でできることがあるのはいいことです。
そうそう、今日はリハビリの一環で「うつぶせに寝て」と言われ、術後初めてうつ伏せの状態になりました。止められていたということはないのですが、なんだかこわくて避けてきたのです。でも、セラピストさんと一緒なら踏み出す勇気をもらえるというもの。一歩前進。

今のところ、PTは6週間のプログラムで組まれています。今月半ばには仕事復帰するつもりだし、同じく今月中には放射線治療も始まる予定。忙しくなりそうですが、経験豊富なセラピストさんの存在は何かと心強いもの。
私がお世話になっているリンパ浮腫外来は、Cancer centerの2階にあって、同階の逆側は抗癌剤でお世話になった点滴センター。同ビルの3階にはお世話になってる癌の専門医のオフィスも、手術でお世話になったドクターのオフィスもあります。つまり、お世話になっているセラピストさんの患者は、みなガン患者なのです。PTが始まるまでに右往左往があったものの、最高のPT処におさまった私はなんてラッキーなのでしょう!

乳がん診断から9ヶ月ちょい。終わりは近い。
最後までなんとかなりますよーに。

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