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気になる英語&英語表現 その1

その心は

さて今日は、アメリカで生活している中で出会う、気になる英語や英語表現を紹介します。「その1」としたのは、シリーズ化の予感がするから(笑)。そして、「気になる」というのは、あくまでも「私が」ということで(笑)。

日本語にも、なぜか心に響く言葉、いかにも日本語らしい表現、または日本人がよく口にする言い回し、というものがあります。私にとって、英語は外国語なので、英語ネイティブの人の感覚とは違い、要するに、その気になりどころも違います。日々勉強である私のメモ的な意味も含め、気軽に書き留めていきたいと思いますので、よかったらお付き合いくださいませ。

① It is what it is.

これは、日常生活はもちろん、テレビを見ていても、とてもよく聞く表現です。ぴったりくる日本語訳がないパターンで、使われる状況によって、訳も異なりますが、辞書で引くと「仕方ない」とか「しょうがない」となっています。文法的に見ると、「それがあるものがそれ」となりますね。

私が最初に出会った、この「It is what it is」をよく口にする人は、前に働いていたベーカリーで部分的に一緒に働いていた頑固者で変わり者のおじいちゃんベーカーでした。クッキーなりマフィンなりがうまく焼きあがらなかったときの台詞が、決まって「It is what it is」でした。私としては、焼き直すとか作り直すとかいう手もあるんだけどな、とも思ったものですが、固執せずに次へ進むスタイルなのだとも理解できましたので、素直に従っていました。彼の「It is what it is」は、単純に言い訳、または言い逃れのようにも聞こえましたが、それよりもどちらかと言うと、心の中では不甲斐なく思っている自分を納得させるための言葉だったのではないでしょうか。

「おつかれさまです」「いただきます」「真面目」のように、ぴったりくる英語訳が存在しない日本語というのは結構あるものですが、この「It is what it is」はぴったりくる日本訳が存在しない英語のひとつだと思います。そこで、私があえて提案したい日本語訳は「そういうものです」。全てのケースで当てはまるとは限りませんが、ニュアンスとしては悪くないと思うのですが、どうでしょう?

② Go big or go home.

これは日常生活ではほとんど聞いたことがありませんが、テレビのコンテスト番組で、アメリカ人がすっごく好んで使う表現。まず文法的にみてみると「大きく行け、さもなくば家へ帰れ」ということに。やるからには全力で、大胆に挑戦し、それがダメなら帰るまで、といったところでしょう。ネットでは「一発勝負」ともありました。悪くないと思います。

実際の使い方例としては、よくあるのがこんな感じ。毎回出来が悪かった1名が脱落していく料理コンテスト番組で、制限時間内に指定の材料を利用して料理を作ることが課題だとします。番組ホストに「今日は何を作るの?」と聞かれた参加者がこんな風に答えます。「〇〇と✕✕を使って、ブイヤベースを作ります!本来ブイヤベースは何時間もかけて作る料理だということは知っているわ。でも、Go big or go homeよ!」。なんとも威勢よくは聞こえますが、取りようによっては失敗したときのための予防線にも聞こえる、と思ってしまう私は、ひねくれていますかね?「Go big or go home」という表現はとても英語的で、よって日本語訳も難しいところがありますが、ニュアンス優先で私が提案したい訳は「やるときゃやる」。

⓷ It's for the best. / It was for the best.

文法的には「それがベストのため」/「それがベストのためだった」となり、まぁ字のごとく、日本語訳にすると「それでいいのだろう」/「それでよかったんだ」となります。日本語訳にしてもニュアンスにしても、そのままとえばそのままなのですが、私としては、なぜかアメリカっぽいなと感じる表現なのです。

私は最近、こんな状況で「It's for the best.」を聞きました。一緒に働いていたパンチームの男性が、突然辞めていきました。日本でも同じだとは思いますが、アメリカでは仕事を辞める際に「Two week notice」と呼ばれる2週間前通知を提出するのがマナーです。あくまでもマナーであり、決まりではないので、突然「今日で辞めます」と言ってもそれを引き留めることはできませんが、印象は悪いですよね。今回、突然辞めていった彼は、基本的にはいいヤツなのですが、ちょっと分かっていない部分があるというか、なんというか。私は1週間ほど前に、彼が他の仕事に興味を持っているのを直接聞いていましたが、私以外のスタッフにとっては「明後日で辞めます」という、かなり突然の知らせだったのです。ちなみに彼は店舗の移動はしたものの、丸15年もの間、その会社で働いていたのです。そりゃないでしょ、とも言いたくなりますよね。
しかも、それがベーカリーのチームリーダーが1週間のバケーションをとっている間に起こったのです。チームリーダーが戻ってきたときには、彼の姿はなく、なぜか私からその事実を聞くということに。状況を理解すると、あまり感情を表に出すタイプの人ではありませんが、じっとりと怒っているのが伝わってきました。そして、数十分後、そして、そのまた数時間後に彼が私のところへ来て言ったのが「It's for the best」。あまりにも唐突だったので、最初は何についてだろうと思ってしまいましたが、そんな私の顔を見て「あぁ、〇〇のことね。ほら、もうすぐ新しいプログラムも始まることだし、結局これでよかったんだと思って」と。辞めていった彼ですが、仕事はできるのですが、とにかく休みがちで、またその休み方が気分的なものなのか何なのか。まぁ、一緒に働く方としては大いに迷惑な部分もあり、リーダーは、そのことも含めて言っていたのですね。
It's for the best. / It was for the best.というのは、良からぬことが起こっても、最終的にはそれが良い結果につながることを願う気持ちを、言葉にした表現。そう、とても前向きなんです。だからアメリカっぽく感じるのかもしれませんね。訳にはなりませんが、心の底にある気持ちとしては「めげない、めげない」といったところでしょうか。



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