地味にしんどい放射線治療。でもゴールはすぐそこ!
大丈夫なのか?でスタートした放射線治療
昨年11月から約5ヶ月の抗癌剤治療、4月下旬の手術を経て、最後の大きな治療の山場である放射線治療が始まりました。今日で全25回中の12回が終了したので、ほぼ折り返し地点。
ドクターから「最初の1、2週間は何も感じないかも」と言われていたのですが、私の場合はいろいろありまして。
放射線治療を始めるにあたり、まずシミュレーションと呼ばれる照射場所の確認、マーク付け、上半身の型取り、治療中の呼吸の確認などが行われます。順調に進んでいるかと思いきや、放射線ドクターの口から驚くべきことを告げられたのです。「左の肺に軽い気胸がみられる」
実は、乳がんの発覚に伴い検査をしていく中で、左肺に癌ではない異常が見つかり、平行して治療をしてきています。肺の生検をしたときには運悪く気胸にもなり、とーってもつらい経験をしたので「気胸」という言葉を聞いたときのショックは結構なものでした。思い返せばその2週間前くらいに、なんだか息がしづらいな、という数日間があったのは確かですが、そのまま治ったので薬の副作用かなと思っていたのです。ま、肺問題については機会があればまた別の時にでも書くことにしましょう。
とにかく、その軽い気胸のせいで、放射線スケジュールが一度白紙になり、たまたまスケジュールされていたCTスキャンの結果を待ち、シミュレーションもやり直すというすったもんだがありました。結局、予定より1週間遅れで放射線を開始できることになったのですが、治療する側と問題児の肺が同じ側ということもあり、正直、心配は心配です。放射線ドクターも肺ドクターも現状を理解した上でのGoなので、大丈夫ということなのですけどね。
とにかくこれ以上、敵は増やしたくない。
とは言え、放射線治療は早いにこしたことはないということなので、開始できるのは喜ぶべきこと。ところが、放射線開始の数日前からまさかの風邪っぴき。喉の痛みに始まり、多少熱も出ていましたが、もう必死で治しましたよ。術後で体力が落ちていたところに仕事も再開したタイミングだったので、治癒力も弱いようで、放射線を受けられる程度まで必死に直した、というのが本当のところ。実は未だに鼻水がズルズルしてたり…
そんなもんで、当初は余裕と思われていた最初の1週間は風邪を抑えながらの治療となり、良いスタートとは程遠いものでした。
でも、「終わりよければ全てよし」と言いますからね。肝心なのは終わりの方。
倦怠感一本勝負
風邪が落ち着いてきた2週目、やってきたのは倦怠感でした。抗癌剤のときもそうでしたが、私の場合、突如としてものすごい眠気に襲われる、これが倦怠感の顕著な症状のようです。誰かと話をしているときなど、指で目をこじ開けていないといけないくらいになります。そんな倦怠感が日に何度もやってきます。そんな感じなので、仕事はできるだけ早めにあがって、家では食事とお風呂以外は横になっていることが多くなりました。予想以上に地味にしんどい、これが私の放射線の感想。抗癌剤は、倦怠感はもちろん、吐き気、脱毛、ドライマウスなどなど副作用のオンパレードだったので、あれと比べたら楽勝のはず。でも、地味にしんどいなぁと思わずにいられません。
助かっているコト
週5×5週間の放射線治療で助かっていることも多々あります。
①距離が近いこと
自宅と病院:車で10分程度
自宅と職場:車で7分程度
職場と病院:車で5分程度
②パーキングパス
何科にかかろうと誰もが苦労するのがパーキング問題。車のキーを預けて車を停めてもらうValleyサービスもありますが、駐車スペースを見つけるために駐車場内をグルグル回らなければいけないことも多々。
その点、放射線の患者には特別のパーキングパスが渡され、確保された場所に駐車することができる。これは本当に助かる!
⓷スタッフがいい感じ
放射線治療は週5で顔を合わせるスタッフなので、お互いにいい関係を築くことは重要。放射線の技師さんたち、看護師さんたちがとても感じが良いことに感謝。フレンドリーでありながらも、質問にはちゃんと答えてくれるし、つらさも理解してくれる。
放射線科のドクターに初めて会った時の電子カルテに
"I greatly appreciate the opportunity to take care of this very pleasant woman."
と見つけたときは感動だった。
アメリカで治療を受ける恩恵
放射線治療の副作用として、倦怠感とともに避けられないものが、照射された肌への影響とのことでした。肌が赤くなったり黒ずんだり、固くなったりするのは必然とのことで、毎日の保湿が重要だと理解していました。
ところが、私がお世話になっている病院では、肌を放射線から保護するMapitel filmというものが取り入れられていたのです。一度付けたら5週間つけっぱなしということを聞いて、超汗っかきな上に肌も強くない私は、フィルムは使わないという話をしていたのですが、いざ治療初日になると当然のようにフィルムが貼られました。ドクターも「嫌なら途中でやめてもいいから」と言うので、とりあえずそのまま治療を受けました。手術で胸の結構な範囲が麻痺しているということもあるかもしれませんが、今のところ心配していたほどの痒みはありません。ただ、汗やシャワーでフィルム剥がれ落ちてくるのはどうしようもありません。照射位置を超えて剥がれ落ちてくるたびに、看護師さんが修正してくれます。
このフィルム、おそらく日本ではまだ使用されていないのではないでしょうか。少し調べてみたところ「Mapitel filmが肌の保護に効果があることが分かった」という記述は見つけましたが、少なくともメジャーなものではないようです。アメリカでもまだ日が浅そうだったので、技師さんに使い始めてどれくらいたつのか聞いてみたところ、私の病院ではまだ1年くらいとのことでした。3年くらい前から使い始めている病院もあると言っていましたが、これはひとえに費用の問題のようです。私の病院では寄付金でこの費用が賄えているから、患者である私は一切お金を払わなくていいとのこと。それだけに、毎回剥がれたところを貼りなおしてもらうたびに申し訳ない気持ちにはなりますが、ドクターからも看護師さんたちからも、このフィルムを使って欲しい、または使ったほうがいい、という気持ちがビシバシ伝わってくるので、もう無理!となるまでは頑張って使ってみようと思っています。
このフィルム、ご覧いただけるように、結構あからさま。フィルムを貼られた私を見て、うちの旦那さんは「Rizardみたいだ」なんて言っていましたっけ。失礼ね。
その一方で、職場では誰も何も言いません。私が放射線を受けていることを知っているからなのでしょうか。それにしても「それは何のため?」とかもないなぁ、なんて思っていた矢先のこと…
立ち寄ったコンビニのレジのお兄さんが私のフィルムを見て
「新しいタトゥーを入れたの?」って…
おぉ、そうきたかぁと思いつつも
「いや、放射線治療中なの」と答えると、
「おぅ…」って…
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