末那識の夢

 どこかで繋がっている。街は村でした。お互いがお互いを知り、ホームとよべる場所がどこなのか知っていました。我々はそのテクノロジーで人々を繋げています。繋がりは万人が求めるひとつの切望です。どこにいたってありのままの自分でいながら歓迎されている、リスペクトされている、認められているという切望です。
 わたしたちマナシキ社は旅人たちのユートピアを建国します。世界中の都市と保養地が再現されたマナシキシステム内では街と村とホストとのつながり、体験したことのないツアーが最も純粋かつ安全な形で提供されます。一人でも旅できる、でも一人でいるなんて感じさせない旅行者だけの世界を提供することが我々の使命です。

 タマキにとって旅は最も確実に孤独を味わえる手段になった。
 他人との繋がりは一回性の事象にすぎず、土地を離れることで関係性はほどけて孤独だけが取り残された。与えられただけの空間からはみ出すことのないよう、幼い頃から一人であることを心がけていた彼女にとって、旅することは「一人でいること」に一層の関心を抱かせた。
 タマキは決して快活ではない、ということはなかった。自閉的な性格、というわけでもなく、それなりに必要最低限の友人は常につくるようにしていたし、それによって何かしらの不都合が生じたことも一度もなかった。
 成人を迎えるまでに幾人かの恋人をつくり、定期的に定められた記念日にはそれなりに有名なブランドの雑貨を見繕って贈るようなありふれた気遣いも備えていた。ある場合には短期間の関係を以ってある程度の充足感を味わうことも人並みにできることだと知った。ただそれらすべてが彼女には曖昧につくられた御伽話のようだった。

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