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記事一覧
『ミシンと金魚』永井みみ 2024年㊳
老人文学②。
思考と台詞が入り混じった、変わった小説。
安田カケイという人の、壮絶な、半生。
読んでいる間に、調子よくミシンを踏むようにタタタターンとテンポが乗ってきてどんどん進む。
いつのまにか、カケイさん独特の言葉のリズムに、乗せられて、こっちまで喋り方が移りそうだ。
それは、心地よい、感覚。
ケアマネを経験したという作者は、仕事に就いている間、どんなにかたくさんの物語を聞いたことだろう、
『ひとりでカラカサさしてゆく』江國香織 2024年㊲
江國香織の本は、10代の終わりから20代前半にかけて、文字通り貪るように読み、その中の何冊かは私の中で特別な居場所を持っている。
3年くらい前に刊行されたこの本は、私にとって久しぶりの江國香織だった。
あらすじを読んでびっくりしたのは、話の軸になるのが80代の友人3人の猟銃自殺だったことで、このような年代の人物、また題材を江國香織が書く、ということだ。
これだけの登場人物を書き分けるのはさすが
『おまじない』西加奈子 2024年㊱
西加奈子の本は初めて読む。
親しみのある感じで読みやすい。
呪いの対義語、おまじない。
こんなこと考えていいんだ思っていいんだ、とものすごくほっとした。認めたくなくても、いい子いい子で育ってきてしまった子供が、大人になっていく過程で感じる生きづらさ、が確かにある。
書いてくれてありがとうという気持ちになる。
#読書感想文 #西加奈子
『全て緑になる日まで』大島弓子 2024年㉜
最後にかけてのどんでん返しがすごい、というのは大島弓子のどの作品についても言えることで、語られてなかった事実が明かされても、全然騙されていた気分ではなく、ああそうだったんだねと、登場人物に対する理解が深まるから、物語自体への感動につながる。
一風変わったタイトルも、読み終えると、読む前とはまるで印象が変わっている。馴染んでいる。
手元にあるのは読んでしまったので、大島弓子作品、また補充をした。
『ロングロングケーキ』大島弓子 2024年㉛
死んだ人間が、生きてる人間にちょっとだけ憑依して…って物語は夏にぴったりだね。
切ない。
だけど、やり残したセイシュンがフォークダンス踊ることっていうのは、泣き笑いしたね。
タイトル、なるほど。
#大島弓子 #ロングロングケーキ