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before展覧会「第66回日本伝統工芸展」

日本伝統工芸展は昭和29年から開催されている展覧会です。その背景には、昭和25年に施工された文化財保護法があります。その結果、歴史上もしくは芸術上において特に価値が高いと認められる工芸技術を、国として保護育成する流れができ、現在まで至っています。

日本伝統工芸展では6つの部門に分かれて応募されています(そんなことすら初めて知りました)。陶芸、染色、漆芸、金工、木竹工、人形、諸工芸です。

開催スケジュール

全国を巡回している日本伝統工芸展ですが、既に終了している場所のものは省略しました。

2019.10.25~2019.11.4(石川県立美術館

2019.11.06~2019.11.11(大阪高島屋7階催事場

2019.11.14~2019.12.01(岡山県立美術館

2019.12.04~2019.12.25(島根県立美術館

2020.1.2~2020.1.19(香川県立ミュージアム

2020.1.22~2020.1.27(仙台三越本館7階ホール

2020.2.4~2020.2.9(福岡三越

2020.2.13~2020.3.1(広島県立美術館

※詳しくは各会場のHPをご確認ください。

今、どうして伝統工芸なのか(自分的に)。

「日本伝統工芸展」は名前こそは聞いたことはありましたが、鑑賞に行くことはありませんでした。そんな時に、2019年9月22日に放送されたEテレの日曜美術館「生まれゆく技と美~第66回日本伝統工芸展~」を見て、どうしてか心が動かされました。

ここ数年は美術鑑賞というと絵をメインに観に行っていました。彫刻作品が展示されていることもありました。私自身は絵を描く趣味はないのですが、何かしらアート作品をつくるとしたら何が向いているだろうかと考えて、子供時代の記憶を遡ってみることに。

幼少期によく遊んでいたのはレゴブロックです。その後はプラモデルにミニ四駆。そうだった、美術よりも図工の方が好きだったことにあらためて気付きました。自らの手で何かを作り出す行為、表現といえるような密度の高いものでないものの、形を立体的に感じられる物が好みだったと思い出しました。

その時の記憶と、何気なく見ていた日本伝統工芸展を取り上げていた日曜美術館がフッと結びついたのです。各賞を受賞された作家さんの元を訪れて、作品が完成するまでの経緯や苦労したこと、作品作りに込めている思いなどがインタビューされていました。

職人の方々が本人の技術のすべてを注ぎ込んで制作した作品を、美術という枠でももちろん見ることができます。あるいは、アート的な部分はいったん横において、生活の中の道具として見ることもできます。装飾的な美しさは専門家や同業者の方が、その技術的な難しさなどはよりわかるのでしょう。

工芸品には作家の社会や世界に対する思想や哲学はあまり含まれていないかもしれません。含まれていたとしても、作品を通してそれを伝えるのは難しいような気がします(受け手側の捉える力も求められます)。現代アートのように作家が何を伝えようとしているのか、で見るものではないのでしょう。実際に目にして、自分が何を感じるのか、脈々と受け継がれてきた美しさ、例えば、棚田の景観を見た時に感じるような時間の重みのうえに成り立つ美しさに心が揺さぶられるかもしれません。

伝統的工芸品の、”的”ってなんだろう。

伝統工芸というワードで色々と調べていると、伝統的工芸品という名称に出くわしました。どうもバックグラウンドとなる法律の違いのようです。こちらは「伝統的工芸品産業の振興に関する法律」に基づいて経済産業大臣が指定しています。その際には以下の5つの要件を満たしている必要があります。

1、主として日常生活の用に供されるものであること。
2、その製造過程の主要部分が手工業的であること。
3、伝統的な技術又は技法により製造されるものであること。
4、伝統的に使用されてきた原材料が主たる原材料として用いられ、製造されるものであること。
5、一定の地域において少なくない数の者がその製造を行い、又はその製造に従事しているものであること。
引用:経済産業省HP

また、東京で全国の伝統的工芸品に出逢えるギャラリー&ショップとして、「伝統工芸 青山スクエア」というお店があります。
こちらでは販売だけではなく、展覧会も行われており、各都道府県で指定を受けている伝統的工芸品の品々を身近に見ることもできます。
ちなみに我が島根県では、
・石見焼(陶磁器)
・石州和紙(和紙)
・雲州そろばん(文具)
・出雲石燈ろう(石工品)
の4つの伝統的工芸品が指定されています。

まとめ

最近は現代アートに関する書籍を読み耽っていますが、アートや美しさに対する定義や考え方が本当に多種多様になっています。自分のアンテナに引っかかったものは、馴染みのない、よく知らない分野であっても、「まっ、いいか」と思わずに好奇心の門をくぐっていきたいですね。

本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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